フィッシングの判別はもはや不可能、リテラシー教育が必要
──フィッシングメールや標的型メールに対してはどう取り組めばいいでしょう?
デイビス 「フィッシングメールを『簡単に見分けられる時代』は確かにありました。しかし現在は、犯罪者側のスキルが上がっていて、判別すること自体が非常に困難です。調査があります。10万人の一般消費者に対してクイズを出して、正しいメールかどうかを判別してもらうものでしたが、95%以上が判別できませんでした。サイバー犯罪がいま一番狙っている場所は、重要な情報を扱っている少数の個人です。人材こそが最も大切な課題と言えるでしょう」
── ネット接続可能な機器が、知らず知らずに増えているというお話がありました。そのリスクを避けるために必要なことは?
デイビス 「複数ありますが、ひとつは正しいところから買って、セキュリティ関連のニュースに常に耳を傾けることです。製品は著名メーカーで、長い間サポートが続くものがいいでしょう。もうひとつは買ったらできるだけ早くデフォルトのユーザーネームとパスワードを変えること。こうした機器への攻撃は、たいてい『ブルートフォースアタック』というパスワードを狙ったものになるためです。
さらに高い安全を得たいなら、家の中にあるネットワーク機器の状態が分かるソフトなどを導入すべきです。様々なセキュリティ製品がありますが、それぞれ別のレイヤーでの保護が可能になります。
ただし最初にやるべきことはもっとシンプルです。しかし簡単なこともなされていないというのが現状ですね。5年も前の機器をそのまま使っているなんて最悪です。最近のメーカーの製品はカスタマイズも容易で、10年前に比べればだいぶ楽になりました。デフォルト設定で使わないという点から始めてください」
── これだけネットに接続する機器が増えると、その全体像を把握するだけでも大変です。統合して管理できるコンソールなども必要では?
デイビス 「確かに理想的ではあります。ただ、実現には難しさもあります。機器ごとに異なるプロトコルやアーキテクチャを利用しているからです。複雑なものを分かりやすくするためにチャレンジが必要でしょう。
とはいえ(パソコンやタブレットであれば)我々のソフトで把握することができますし、例えばGoogle Wifiの 『Google Mesh Network」も詳細な情報を提供してくれます。何がつながっていて、どのぐらいの接続速度を必要としているか。スマートTVのほうがサーモスタットより速度が必要だが、サーモスタットも速くないといけないなどですね。またどの機器とどの機器が連携しているかなども分かります」
ゲームをターゲットにしたパフォーマンス改善には意欲的だ
── 一方でセキュリティソフトはPCの性能に影響を与えるから入れたくない……と思っている人もいまだにいるようです。
デイビス 「『セキュリティソフトはリソースを消費しすぎる』から困る。確かに、そういう時代はありました。ただ、現在では、重い負荷の処理はクラウドに任せることができます。また、リブセーフの『アプリブースト』の機能を利用すれば、プレイしているゲームに優先的にリソースを割り当て、バックグラウンドで動作するソフトによって速度が低下するのを抑えることも可能です。また、『ウェブブースト』の機能を使えば、ウェブサイトにある不要なビデオの再生を止めるなど、リソースの無駄遣いを減らせます。結果として、重要なソフト、ゲーム、ウェブブラウザーなどが使用するリソースを確保できます。こうしたソフトのインストールによってパフォーマンスの向上が実感できるでしょう」
── 国内では、マウスコンピューターなど、セキュリティソフトがゲームプレイに与える影響を数値化して公表する企業が出てきました。マカフィーの開発チームもこれに協力して、ホワイトリスティングを使ったゲームの最適化といった結果を出していますね。
デイビス 「ここは我々としても興味深いと感じている取り組みです。ゲームのプレーヤーはいまだにパフォーマンスに対する偏見を持っています。だからゲーミング時のパフォーマンスには最大限の関心を払っています」