Amdahlが信頼性の問題から
競争力を失い、IBMが増益
1ヵ月ほど時間が空いてしまったが、今からまたIBMの話に戻る。IBM 3081が発表されると、直ちにAmdahlはAmdahl 580シリーズを発表したものの、連載439回で説明した通り、出だしでつまずいたこともあり、IBM 3081は順調に売上を伸ばした。
画像の出典は、IBM Archives
さらに後追いでIBM 3083とIBM 3084を出し、性能面でAmdahl 580に対してのアドバンテージを確保しようとした。
ちなみにそのIBM 3084だが、こちらはIBM 3081 Model Group Kからのアップグレード、という形でのみ提供されたが、買い取り価格は(元のIBM 3081 Model Group Kの価格も含めて)870万ドル、リース契約だと月額31万8860ドル、レンタルの場合は月額39万8570ドルからとされた。
画像の出典は、IBM Archives
対抗馬となるAmdahl 580は、ベースモデルの5860(シングルプロセッサー)が360万ドル、デュアルプロセッサーでさらに動作周波数を高めた5880で710万ドルといった価格で、性能を考えると十分競争力がある価格に定められた。
IBM 3084が発表された翌年の1984年には、ミッドレンジ向けにIBM 4361とIBM 4381を発表したという話は前回説明した通り。
IBM 4331の3倍/9倍としたが、IBM 4361に関してはこの3倍の性能が発揮されるのは浮動小数点演算のみで、商用アプリケーションに関してはIBM 4331(正確にはIBM 4331 model2)とまったく変わらなかった。
要するにCPUにFPUアクセラレーターを搭載したという形だ。一方IBM 4381はデュアルプロセッサー構成にするとともに、CPUの動作周波数を引き上げることでこの性能を実現している。もっとも9倍は浮動小数点演算の数値で、商用アプリケーションでは5~6倍程度であったが、それでもずいぶんな向上である。
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