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疑惑のゴーン氏、年収19億円でも「日産CEOの報酬は低い」と力説

2018年11月19日 19時30分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部,重石岳史(ダイヤモンド・オンライン

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東京地検特捜部が逮捕状を取ったとの報道がなされたカルロス・ゴーン氏
Photo:Reuters/Aflo

仏ルノー・日産自動車・三菱自動車の会長を兼務するカルロス・ゴーン氏が自らの報酬を過少申告した疑いがあるとして、東京地検特捜部が金融商品取引法違反の容疑で事情聴取を始めたとの報道が出ており、容疑が固まり次第逮捕する方針という。過少に申告した金額は億単位にのぼるとされる中、ゴーン氏の高額報酬について「週刊ダイヤモンド」が2018年7月に報じた記事を再掲する。

 6月26日、横浜市で開かれた日産自動車の定時株主総会。ある男性株主が最終盤に質問に立ち、日産で昨年発覚した完成車の無資格検査問題に触れ、「あれだけのことを起こして誰がどう責任を取ったのか」と怒りをあらわにする場面があった。

 怒りの矛先は、日産の社長兼最高経営責任者(CEO)である西川廣人氏の報酬額に向けられた。西川氏の2017年度の報酬は前年度比26%増の5億円。度重なる不正発覚で株価を毀損したにもかかわらず、経営者が高額報酬を安穏と受け取っていたとすれば、個人株主に「誰も責任を取っていない」と批判されても仕方あるまい。

 だが、日産会長のカルロス・ゴーン氏の回答は明快だった。

「日産CEOの報酬は非常に低い。会社の規模や優秀なリーダーを持つ重要性を考えると、決して不当な水準とは思えない」

 ゴーン氏によれば今回、外部のコンサルティング会社を使い、業界内外のグローバル企業の役員報酬を調査。その結果、日産と同規模のグローバル自動車メーカーCEOの平均報酬額は1770万ドル(約19億6000万円。年額、以下同)だった。これと比較し、日産CEOの報酬は明らかに低く、しかも西川氏は問題発覚後に報酬の一部を自主返上している、というわけだ。

トヨタで初の10億円超も

 ちなみにゴーン氏自身の報酬額は、前年度比33%減の7億3000万円。ただしこれに加え、ゴーン氏は会長を務める三菱自動車から2億2700万円、会長兼CEOを務める仏ルノーから740万ユーロ(約9億5000万円)の役員報酬を受け取っている。つまり3社で総額約19億円という、まさにグローバル水準の報酬をしっかり受け取っているのである。

 他の自動車メーカー首脳の報酬額はどうか。例えばスズキ会長の鈴木修氏は2億2000万円、ホンダ社長の八郷隆弘氏は1億5500万円、三菱自CEOの益子修氏は1億4100万円だ。一般のサラリーマンからすれば垂ぜんの額だが、ゴーン氏の言うグローバル水準に照らせば庶民的にすら見えてしまう。

 一方、トヨタ自動車の豊田章男社長は3億8000万円。だが17年度は副社長のディディエ・ルロワ氏に10億2600万円を支払い、同社の役員報酬として初めて10億円を超えたことが話題になった。ルロワ氏といえば、トヨタがルノーからヘッドハンティングし、今やトヨタ車販売の最高責任者を務める人物だ。

 ゴーン氏が総会で強調したのは、グローバル競争が激化する自動車業界において「世界に通用する」経営者を採用し、つなぎ留めることの必要性だ。そのために競争力のある役員報酬が不可欠というゴーン氏の主張と実践は、清貧を美徳とする考えが根強い日本社会に、新たな変革を迫っている。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 重石岳史)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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