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東芝のLNG売却交渉、最終調整でも気が抜けない2つの心配事

2018年10月30日 06時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

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懸案だったLNG事業の売却に向けて最終交渉に入った東芝 Photo by Reiji Murai

「日系は遠慮したけど、米国企業なら買いたたくだろうね。お手並み拝見です」。エネルギー業界関係者は、東芝の交渉力に興味津々だ。

 東芝は米国テキサス州で展開する液化天然ガス(LNG)プロジェクト「フリーポート」について、米ガス大手のテルリアンと売却に向けて最終交渉に入った。

 2019年から20年間、年間220万トンのLNGを引き取る契約を米フリーポート社と13年に結んだが、これが東芝の懸案事項になった。LNGの販売先がほとんど見つからず、このままでは最大1兆円の損失が出るリスクがあるのだ。このため事業を売却する方針を示していた。

 今年8月の1次入札を前に、みずほ証券、英バークレイズ証券とファイナンシャルアドバイザー契約を結び、国内の電力・ガス会社、商社などに事業売却の感触を探った。しかし、けんもほろろの応対。まったく相手にされなかった。

 国内各社は必要なLNGを調達済みで、おなかいっぱい。安く買えるならと期待を抱いた企業もあったが、結局、「国内企業は、東芝から買いたたいて事業を取得した場合のレピュテーションリスクを恐れた」(LNG関係者)という。

 国内企業に売却する思惑はもろくも崩れ、1次入札に参加したのは海千山千の海外勢。中国政府系エネルギー大手のペトロチャイナ、米ゴールドマン・サックス証券などの名前もあった。

 2次入札に残ったのは、テルリアンのほか、石油メジャーの米エクソン・モービル、英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルといった超つわものばかりだった。

売るなら「今でしょ」

 売却交渉をめぐり、最大のネックになっているのが、契約期間である。

 LNGマーケットの中心はアジアで、売り手から買い手に主導権が移っている。市場の流動性を高めようと、買い手は伝統的な長期契約(15~20年)から、より短期の契約にシフトし、調達の柔軟性を高めているのがトレンドだ。

 従って、LNGの売り手であるテルリアンは、東芝が望む20年の長期契約は受け入れ難い。ある業界関係者は「契約期間と数量を細切れにする可能性もある」と読む。

 東芝にとっては、“物言う株主”たちの存在も厄介だ。ファンド関係者は「安く売るのは承知しないと投資家が圧力をかけている」と明かす。高値ならテルリアンがごね、安値なら投資家がごねる。まさにタフな交渉となる。

 東芝首脳は「高く買ってくれないなら、売らなくてもいい」と強がってみせるが、電力需要の旺盛なアジアは20年代前半までLNGの需要が堅調に推移する見込みで、売るなら「今でしょ」と冒頭の業界関係者は言い切る。

 問題を先送りすれば、「あのとき売っておけばよかった」と後悔しかねない。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 堀内 亮)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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