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新型アイコス、10本連続喫煙で紙巻き派の「保守層取り込む」とCEO

2018年10月25日 06時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

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アイコス

 新型アイコスは、成長が鈍化する加熱式たばこ市場の新たな起爆材となるのか。

 米フィリップモリス・インターナショナル(PMI)は10月23日、加熱式たばこ「IQOS(アイコス)」の新モデル「アイコス3」「アイコス3 MULTI(マルチ)」を発表した(価格はそれぞれ1万980円、8980円)。国内では、11月15日の発売を予定する。

 2016年に日本で発売され、加熱式たばこという新たな市場を開拓したアイコスは、先駆者として市場で断トツのシェアを誇ってきた。しかし、17年以降、英ブリティッシュ・アメリカン・タバコの「glo(グロー)」や、JTの「Ploom TECH(プルームテック)」などの後続が存在感を増す中、苦戦を強いられている。

 アイコスの市場全体のシェアは、17年第1四半期の7.1%から、18年第1四半期には15.8%と大きく伸長した。だが、18年第3四半期には15.5%と微減しており、以前のような成長の勢いはない。また、現在20%程度を占めると推計される加熱式たばこ全体の市場シェアも、アイコスの不調もあって鈍化が指摘されており、加熱式たばこの覇者であるPMIに逆風が吹いているのだ。

年末にかけて再度
競争が激化する

 PMIは、新モデルの投入で巻き返しを図る。それまでのアイコスは、競合品のように連続での喫煙ができず、喫煙ごとに充電が必要になる点が消費者から敬遠されていた。アイコス3マルチでは、10本の連続喫煙を可能とし、ホルダー(たばこの加熱器)とチャージャー(充電器)を一体型とするなど、利便性を向上させた。また、アイコス3でも、充電時間を4分10秒から3分30秒に従来品と比べて40秒短縮するほか、ホルダーの挿入を全方位型とすることで、出し入れ時の不満を解消した。

 アイコスなどのマーケティングを担当する坂牧真美RRPディレクターは、「デバイスの種類が増えることで、これまでアイコスに躊躇してきた人にも手に取ってもらえる。また、現在『HEETS(ヒーツ)』という価格帯が安いヒートスティック(たばこスティック)を地域限定で試験販売しているが、こうしたスティックの種類の拡大などによって、より保守的な紙巻きたばこの愛用者からのシフトを促していく」と語る。

 加熱式たばこ自体に懐疑的なユーザーが一定数存在する中、アイコスの新デバイスがどこまで巻き返しに貢献するかは、判然とはしない。ただ、間違いないのは、年末にかけて再度、加熱式たばこの市場の競争が激化することだ。競合のJTは、年末から来年初頭に、アイコスやグローと同じ高温加熱型の新デバイスの発売を予定している。異なる特性を持つ複数のデバイスが各社から展開されることで、消費者の選択肢はさらに広がる。

 JTは20年までに加熱式たばこのシェアが30%になるという予想を崩しておらず、PMIに至っては、数年で加熱式たばこのシェアが過半数を取るという強気な目論見をするなど、各社は加熱式たばこにはまだまだ開拓余地があると踏む。競争の激化は、さらなる市場の“再成長”のきっかけとなるだろう。

 日本市場でのアイコスの今後について、PMIのアンドレ・カランザポラスCEOが本誌の単独取材に答えた。

携帯電話だって
初めは懐疑的な人がいた

――日本での加熱式たばこの普及具合をどう見るか。

 加熱式たばこのカテゴリーは今、たばこ市場全体の20~21%を占めていますので、3年後にこれが50%になっても、驚くことではありません。もちろん、競合他社の製品もありますので、これから普及はどんどん加速していくでしょう。

――JTは年末以降に新製品を投入する。競合他社の動向をどう見るか。

 競合他社はもちろん歓迎します。消費者の選択肢が増えれば増えるほど、紙巻きたばこから加熱式たばこへのシフトが増えるからです。

アンドレ・カランザポラスCEO
アンドレ・カランザポラスCEO。1957年ギリシャ生まれ。85年にPMI入社。東欧エリアのプレジデントなどを経て、13年より現職。

 競合他社の製品も今後、改善は続いていくと思いますが、われわれは、常にこのカテゴリーの先頭でありたい。アイコスは、味、満足感でベストだと思っていますし、リスクへの評価も科学的に裏打ちされています。

 競合他社というと、たばこ会社だけではなく、スタートアップ企業も入ってくるでしょう。そういった意味では、最先端の技術を持つために、他社との提携はもちろん、買収なども選択肢です。一つの会社でイノベーションをやり遂げるのは困難ですから。グーグルやアマゾンが毎月のようにやっていることですよね。

――今後デバイスはどのように進化していくか。

 スモークフリー製品は二つの要素から成り立っています。消耗品(たばこスティック)部分と、消費するためのインターフェース(デバイス)です。われわれが心掛けているのは、味と満足感を十分提供しながら、なおかつリスクを削減する。その両方のバランスを取らなければならないのですが、このバランスが非常に難しい。ただ、優先すべきなのは、まずはリスクの削減、その次に味と満足感です。その上で、デバイスの電気特性や、個人が使う上でのデザイン・使い勝手などを改良していきます。

――まだまだ加熱式たばこに懐疑的なユーザーもいる。

 メーカーとしては、保守的な人にも加熱式たばこに切り替えてもらえるよう、製品の改良に努めていきますが、消費者側にとっては時間が必要なのかもしれません。より多くの製品が登場することで、少しずつなじんでいくのだと思います。

 例えば、初めて携帯電話が市場に登場した時、すぐに飛びついた人もいれば非常に懐疑的だった人もいます。自分は固定電話でいいですと。ところが、最終的にみんな携帯電話、いや、もはやスマートフォンを使っていますよね。変化には時間がいるのでしょう。

 あえて言えば、厚生労働省が前向きな支援をしてくれれば、もっと普及は早まるでしょうけどね(笑)。

――ちなみに、アンドレCEOはアイコス3とアイコス3マルチのどちらが好みですか。

 アイコス3の方ですかね。私はかなりのヘビースモーカーなので、連続で吸えるのが10本というのは少ないんですよ。だから、アイコスはいつも2台持ち歩いています(笑)。

(週刊ダイヤモンド編集部 山本輝)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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