最新パーツ性能チェック 第237回
大型空冷のファンなし運用でもイケた!
「Athlon 200GE」はPentiumにGPU性能で勝るライトユースの決定版だ
2018年10月24日 11時00分更新
Athlon vs Pentium、宿命の対決再び!……「Athlon 200GE」はどこまで使える?
2018年9月28日、AMD製のローエンドAPU(CPU)「Athlon 200GE」の販売が解禁された。これまでSocket AM4の低価格ミドル〜エントリーはRyzen 3/5やGPUを統合したRyzen Gシリーズで、さらに安いローエンド帯はCPUの設計自体が古い“Bristol Ridge”ことAシリーズAPUが守ってきた。
Zen+Vegaベースの新生ローエンドAPUである「Athlon 200GE」。ようやくこれでSocket AM4プラットフォームがBulldozer世代の呪縛から開放されるのだ……
そんななかAMDが投入したのが、今回チェックするSocket AM4版のAthlonだ。Ryzen Gと同じくCPUにZen、GPUにVegaというAMDの最新アーキテクチャーの組み合わせになっている。これにより、AMDのSocket AM4プラットフォームはZenベースの製品でフルカバーされたことになる。
Athlon 200GEは現行Ryzenシリーズと同じSocket AM4マザーボードで利用できる。外見も刻印以外はRyzenと共通になっている
今回は非常に限られた時間ながら、Athlon 200GEをテストをする機会に恵まれた。AthlonといえばかつてインテルのPentiumシリーズと真正面から対決していたCPUだが、2014年のKabini以降音沙汰がなく、その血筋は途絶えたかと思われていた。
だがSocket AM4プラットフォームで、再びPentiumに対抗できるCPUとなって戻ってきた。そこで今回は宿命のライバルであるPentiumも準備。Athlon 200GEがどの程度のパフォーマンスを発揮するのかチェックしてみたい。
チープながらCPUクーラーも付属する。Ryzenのクーラーを見慣れた目からすると本当に大丈夫か心配になる小ささだが、OCCTで強烈な負荷をかけてもしっかり冷やしてくれる(後ほど検証する)
Athlon 200GEとは何か
検証に入る前にAthlon 200GEのスペックを軽く整理しておこう。2コア4スレッド、CPUのクロックは3.2GHzのブーストなし、そして重要なのは「倍率はロック」……つまりRyezn GシリーズのようにOCはできないということだが、ローエンドモデルなのでやむなしといったところか。
| Ryzen 3 2200G | Athlon 200GE | A12-9800E | |
|---|---|---|---|
| CPUアーキテクチャー | Zen | Zen | Excavator |
| コア/スレッド数 | 4 / 4 | 2 / 4 | 4 / 4 |
| ベースクロック (ブースト時最大) |
3.5GHz (3.7GHz) |
3.2GHz | 3.1GHz (3.8GHz) |
| L3キャッシュ | 4MB | 4MB | |
| 搭載GPU | Radeon Vega 8 | Radeon Vega 3 | Radeon R7 |
| CU数 | 8基 | 3基 | 8基 |
| SP数 | 512基 | 192基 | 512基 |
| GPUクロック(最大) | 1100MHz | 1000MHz | 900MHz |
| 対応メモリー | DDR4-2933 | DDR4-2666 | DDR4-2400 |
| 外部GPU接続 | PCI-E Gen3 x8 | PCI-E Gen3 x4 | PCI-E Gen3 x8 |
| TDP | 65W | 35W | 35W |
設計そのものはRyzen Gシリーズをそのまま小さくしたようなものになっているので、特筆すべき部分はない。ただ運用上若干注意すべき点があるので、まとめておこう。
② B450マザーはBIOS更新しなくても初期BIOSで動作する
③ PCI-Express 3.0のレーン数は“CPU全体で”10レーン
④ 10レーンの使い道はチップセットにx4、M.2にx2、グラボはx4となる
➄ 内蔵GPUの同時出力数は2画面まで
①についてはRyzen以降のAMDプラットフォームのお約束というべきものだ。安価な300シリーズチップセットを搭載するマザーボードで低予算PCを組む場合、BIOSが対応してないとPOSTすらしない。最新BIOSになっているのを確認できるマザーボードを購入しよう。それが無理なら一番新しいB450チップセットを搭載するマザーボードを選ぶのが無難だ。
③~➄については、ローエンドならではの成約といえる。グラボへの接続がx16の所をx4にすれば、相応の性能ダウンは避けられない……と言いたいところだが、CPUがAthlonのままで、グラボをハイエンドクラスにするシチュエーションは中々想像し難い。x4だろうがx16だろうが、CPUパワーそのものがボトルネックになるからだ。
グラボへの接続がPCI-Expressのx4、M.2 NVMeへはx2接続といっても、既存のx16接続のグラボやx4接続のM.2 SSDは問題なく利用できることは言うまでもない。

この連載の記事
-
第473回
デジタル
Ryzen 7 9800X3Dと9700Xはどっちが良いの?! WQHDゲーミングに最適なRadeon RX 9060 XT搭載PCの最強CPUはこれだ! -
第472回
sponsored
触ってわかった! Radeon RX 9070 XT最新ドライバーでFPSゲームが爆速&高画質に進化、ストレスフリーな快適体験へ -
第471回
デジタル
8TBの大容量に爆速性能! Samsung「9100 PRO 8TB」で圧倒的なデータ処理能力を体感 -
第470回
デジタル
HEDTの王者Ryzen Threadripper 9980X/9970X、ついにゲーミング性能も大幅進化 -
第469回
デジタル
ワットパフォーマンスの大幅改善でHEDTの王者が完全体に、Zen 5世代CPU「Ryzen Threadripper 9000」シリーズをレビュー -
第467回
デジタル
Radeon RX 9060 XT 16GB、コスパの一点突破でRTX 5060 Tiに勝つ -
第466回
デジタル
Radeon RX 9060 XTは6.5万円でVRAM 16GBのお値打ちGPUになれたか? -
第465回
デジタル
遅れてやってきたPCIe5.0 SSDの大本命、リード14GB/秒超えのSamsung「9100 PRO」を実機レビュー -
第464回
デジタル
Radeon RX 9070シリーズの仕上がりは想像以上だったことがゲームベンチでわかった -
第463回
デジタル
Ryzen 9 9950X3Dは順当進化。3D V-Cache搭載Ryzenの最強モデルだがクセありな部分はそのまま -
第462回
デジタル
RTX 5070の足を止めた「Radeon RX 9070 XT/ 9070」レビュー - この連載の一覧へ

