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写真をアルバムにすると、家族関係に好影響を与える!?

2018年09月06日 06時00分更新

文● 吉田克己(ダイヤモンド・オンライン

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親子で「アルバム」一緒に見てますか?

写真をアルバムに収め、親子や夫婦で見る――昔に比べて減ったと思いませんか?
Photo:PIXTA

「最近あまりしなくなったことにどんなことがありますか?」――筆者も含めて、電車の中で新聞を読む、映画館に行く、書店に長居する、CDやDVDを買う、カメラを使う……といったあたりではないだろうか。

 これらはたいがい個人的な行動であることが多いが、「家族や友人と一緒にすることとしては?」だったらどうだろう。

 例えば、写真集や図鑑、絵本、アルバムなどを親子で一緒に、あるいは夫婦で眺める時間がなくなったのでは?と聞かれて、「たしかに、最近全然ないなぁ」「自分が子どもの頃にはけっこうあったけど、親になってからはめったにないなぁ」といったように思う人は多いのではないだろうか。

 たしかに、インターネットが高速になり、スマホ(携帯)で得られない情報もほとんどなくなり、写真を撮ればすぐにSNSで共有できるようになれば、わざわざ写真をプリントすることはほとんどなくなるだろう。

 しかし、そのように生活スタイルが変化することで失われてしまうこともあるのではないだろうか?

 そんな疑問から出発し、「子育てと写真の関係」そして「アルバムが子育てに与える影響」をテーマに調査、研究を進めてきた大学の先生がいる。大阪教育大学教育学部の小崎恭弘准教授がそうだ。氏は「イクメン」を支援するNPO法人ファザーリング・ジャパンの理事でもある。

 元々は、とあるインタビューで「子育てと写真の関係」についてコメントしたことがきっかけで、あるアルバムメーカーから「アルバムが子育てにどのような影響を与えるのか研究してほしい」との依頼があり、前例がなかったがゆえに、個人的な関心を持って始めたという。

アルバムメーカーが調査した子育てとの関係

 以上のきっかけで始まった調査・研究は、アルバムメーカーのナカバヤシ株式会社を調査主体として、2ステップに分けて実施された(2016年4月~2018年3月末)。

 ステップ1は「フォトアルバムが育児に与える影響に関する検討」と題された予備調査、ステップ2が「写真・アルバムが持つ子育てへの影響について ~乳幼児を持つ保護者と大学生の自己形成への影響の点より~」と題された実態調査となっている。

 それらの詳細は修士論文(PDF)にもなっており(サマリー参照)、調査・分析結果として、以下のように結論付けられている。

〈 写真・アルバムと関わることは子どもの成長にとって、自己効力感(自身に対する信頼感や有能意識)が高く、他者との関わりに長けた人格形成に良い影響を与えるといえる。

A.アルバムの利用率が高い保護者ほど、子育てに対してポジティブな感情(「子育ては楽しい」「子育てを通して自身が成長できる」ほか)を抱く傾向にある。

B.アルバムを所持している家庭ほど、子どもが抱く家庭への「親密度・愛情」度合いなどが強く、「家庭不和」が低くなる傾向にある。

C.写真・アルバムと関わる経験が多い子どもほど、自己の形成において「自立性・協調性」が強く現れる。〉

 AとBに対しては、特段の違和感を抱く読者はいないだろう。ただし、Cについては、あくまでも相関分析(重回帰分析)の結果であり、因果関係を説明し切れているわけではないことを付け加えておきたい。

 翻って本稿では、その後(2018年6月)に「ALBUS」を運営するROLLCAKE株式会社が調査主体となり、上記の調査・分析とは独立に行われた調査――全国の0歳~9歳の子どもを持つ男女1000名(有効回答:男性500名・女性500名)を対象――の結果に沿って、調査対象者の日頃の意識や行動について見ていきたい。

6割の人が「子どもの写真をアルバムにしていない」

 本命の調査結果を見る前に、平成に入ってからの写真関連の市場規模の変化を見ておきたい。

 2018年8月25日号の「週刊ダイヤモンド」によると、1世帯当たりの年間の費目別の支出額において、平成元年から30年までの最大値と最小値は、「カメラは、ピークが平成19年の2922円、ボトムが平成29年の982円」「写真撮影・プリント代は、ピークが平成11年の8617円、ボトムが平成30年の3487円」となっている。

 一方、「通信費は、ボトムが平成元年の7万4370円、ピークが30年の15万9309円」となっている。カメラや写真撮影・プリント代はピーク時の半分以下になっており、金額ベースではこれらの減少よりも通信費の増加のほうが大きい。ちなみに、「世帯主のこづかいは、ピークが平成4年の24万5508円、ボトムが30年の8万1992円」と下がり続けている(苦笑)。

 カメラにかける金額が減少の一途を辿っているのは、スマホで簡単に撮影できるようになったからであることは容易に想像できるが、問題は、なぜプリントしなくなったのか?アルバム化しなくなったのか?という点である。

 先の調査によると、「子どもの写真をアルバムにしていない」人は全体のほぼ6割に上る。ただし逆に、5冊以上持っているという人も全体の2割以上いる。

出典:「ALBUS(アルバス)調べ」

 ではなぜ、プリントしてアルバムにするということをあまりしなくなったのか? 

 全体の6割を占める「子どもの写真をアルバムにしていない」という人のうち、「子どもの写真データの整理・管理は不便、面倒」と感じている人が、「常に」「時々」を合わせて8割ほどを占めている。要は、約半数の人は、面倒臭いからプリントしたりアルバム化したりしないのである。また、「子どもの写真データを整理・管理できている」という人は、同じ6割を占める人のうちの3分の1に過ぎない。

 これらを合わせると、全体の約4割の人はそもそも写真データの整理すらまともにできておらず、約半数の人は写真データの整理・管理を面倒に感じているということだ。

出典:「ALBUS(アルバス)調べ」

 実際、この6割を占める人たちに、「子どもの写真を簡単にアルバムにできるサービスがあったら利用してみたいか」どうか聞いているのだが、「どちらかというと」も含めると「使ってみたい」人は4分の3に上っている。

 単純計算すると、6割のうちの4分の3、つまり全体の45%は、「今はプリント、アルバム化していないが、簡単にアルバムにできるサービスがあれば利用しそうだ」ということになる。これは、業界にとってはまったくもってバカにならない数字である。

アルバムを作っている夫婦は仲良し?

 とは言え、プリントやアルバム化が面倒なのは今も昔も変わらないのではないか? という疑問も感じないではないが、そこはやはり、共働き化などが進み、母親が時間をかけづらくなったからではないかと推測はできる。

 そこで、アルバムを10冊以上持っているという約1割の人と、アルバムを持っていないという約6割の人とで、家族関係(家庭状況)がどの程度違うのかに着目してみたい。以下、前者を「ヘビー」、後者を「ノー」と呼ぶことにする。

 まず、「配偶者が育児に協力的かどうか」については、「ヘビー」が4割を超えるのに対し「ノー」は3割、「夫婦のコミュニケーションが良好かどうか」については「ヘビー」が3分の1、「ノー」が5分の1強、「夫婦の会話が多いかどうか」については、「ヘビー」が3割以上「ノー」が2割ほど、という結果になっている。

 さらに、「写真がきっかけで家族の会話が活発になることがあるかどうか」については、「ヘビー」は3人に1人以上が「はい」と答えているのに対し、「ノー」は6人に1人に留まっている。

「配偶者が育児に協力的かどうか」と聞かれれば、夫はまずもって「はい」と答えるに決まっているだろうから、できればこの集計は男女別に見てみたいところであるが、二番めと三番めの設問に対する「はい」の割合の違いを見る限り、どうやら「アルバムをたくさん持っている夫婦は、まったく持っていない夫婦に比べて仲良しな傾向がある」ということは言えそうである。

出典:「ALBUS(アルバス)調べ」

家族内コミュニケーションに好影響

「アルバムをつくっていると、家族内のコミュニケーションがより活発になるのか」、「家族(子どもが幼少時なら、とくには夫婦)関係が良好だから、アルバムをつくる手間を惜しまないのか」は、「鶏が先か卵が先か」というか、因果関係は必ずしも一方向ではなさそうだが、常識的に考えて、「アルバムづくりは家族内のコミュニケーションに少なからず良い影響を与える」と判断してよいだろう。

 実際、「子どもの写真をアルバムにしている」4割の人に、アルバムをつくることの良さを選択式(複数回答)で回答してもらった結果として、「気軽に見返せる」(72.8%)、「形に残せる」(64.8%)、「思い出になる」(60.2%)、「家族のコミュニケーションが生まれる」(31.4%)の順に上位を占めている。少なくとも、アルバムをつくっている人の3割以上は、「コミュニケーションのきっかけになっている」と実感しているということだ。

 最後に、同じ4割の人に、フリーアンサーで「どんなことにアルバムの魅力を感じたか」を回答してもらった結果として、以下のような回答が寄せられている。

「いま小学生の長男はもうだいぶ話もわかるので、長男が赤ちゃんの頃の写真を一緒に見ながら、私がその頃のエピソードを話して一緒に爆笑したりできています(38 歳・女性)」

「子どもが大きくなってから自分の赤ちゃんの頃のアルバムを見返していた時、『赤ちゃんの時からこんなにパパとママが可愛いがってくれてたんだね。うれしい、ありがとう』と言ってくれたことが、本当にうれしく感じました(31 歳・女性)」

――というように、親から子どもへの長きにわたっての愛情を伝えることができたというエピソードや、

「子どもの月齢ごとの写真をアルバム化したことで、娘の成長が手に取るようにわかり、アルバムにして良かったと思いました(45 歳・男性)」

――といった、親自身の明日からの活力につながるようなエピソードが見受けられた。

 アルバムをつくってもらってうれしくない子どもは、まずいないはずである。子どもが小さいあいだは、親子で一緒に眺める楽しみになるし、子どもが大きくなってからでも、夫婦間のコミュニケーションのきっかけにもなれば、駆け出し夫婦だった若かりし頃を思い出しながら初心にかえる端緒になることもありそうである。

(吉田克己/5時から作家塾(R))


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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