このページの本文へ

学生向け、開発者向けの学習支援施策を披露

クラウド分野での人材不足を補うAWSの教育プログラムとは?

2018年09月03日 08時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 2018年8月31日、アマゾン ウェブ サービス ジャパン(AWSJ)はAWSの教育プログラムについての説明会を開催した。圧倒的なIT人材の不足という課題に対して、衆議院議員の小林史明氏は国家戦略と取り組み、AWSJ代表取締役社長の長崎忠雄氏がAWS教育プログラムをそれぞれ披露した。

衆議院議員 小林史明氏、AWSJ代表取締役社長の長崎忠雄氏、STANDARD代表取締役 石井大智氏

圧倒的な人材不足時代で必要なスキルとは?

 発表会に登壇したAWSJ代表取締役社長の長崎忠雄氏は、AWSビジネスアップデートを披露した後、「このままだと2030年までに約60万人のIT人材が不足する」という経産省の調査について言及。また、Linkedinの「持ちべきスキル 2018年のトップ10」での1位がクラウドのスキルになり、IT系の年収ランキングでもAWS資格保持者が上位にランクインしていると説明し、クラウド分野での教育の重要さをアピールした。

ITS資格保持者の年収ランキングでは上位にAWSの資格がランキング

 続いて登壇したのは、自由民主党の衆議院議員で総務大臣政務官 兼 内閣府大臣政務官を務める小林史明氏。「通信事業者という規制を受ける側から、ルールを変える側に移り、日本にテクノロジーを実装し、多くの人がフェアに参画できる仕組みを作っていきたい」と語り、人口減少・人生100年時代、テクノロジー進展という3つのトレンドに向けた国の施策について披露した。

 人材に関しては、2030年には78.9万人が不足するという認識。内訳としてはIT企業が61.6万人、ユーザー企業が17.3万人不足すると見込まれており、情報セキュリティや先端IT人材も不足が見込まれるという。また、求められる人材も、ビジネスを作り上げられるトップ人材、サービスをデザインできるIT人材など多様な人材が必要なほか、ビジネスパーソン自体のITリテラシの底上げも重要になるという。

第4次産業革命で求められる人材

 そのため、初等中等教育、大学においてはリテラシを醸成しつつ、工学系・情報系などの専門人材の教育を強化。さらに社会人の学び直しを進める「リカレント教育」も積極的に推進していく。「リカレント教育は、海外では20%くらいあるのに、日本では2%程度。まだまだ伸びしろがある」(小林氏)。また、トップ人材発掘のための「未踏プロジェクト」や「異能べーション」、裾野の拡大については子ども・学生、社会人、障害者、高齢者などがICTを学ぶ「地域ICTクラブ」などを展開する。

 さらに行政も積極的にテクノロジーを採用しており、保育所入所選考にAIを活用した埼玉県さいたま市、子育てシェアと就業を進めた奈良県生駒市、秋田県湯沢市、マイカー相乗りを進めた北海道天塩町など、いくつかの事例も披露された。また、中央省庁のシステムも2018年6月の各府省庁CIO連絡会議で「クラウド・バイ・デフォルト原則」が決定し、パブリッククラウドの優先的な利用が推進されるほか、日本版のFedRAMPにあたるクラウド安全性評価制度の検討も開始されたという。

クラウドサービス利用の各国動向

学生向けプログラムのほか、開発者向けのAWSマンガもスタート

 続いては、長崎氏からのAWSの教育プログラムの紹介に移る。AWSの資格認定制度と言えば、AWS CERTIFIED(AWS認定)が知られているが、これとは別に高等教育機関向けのカリキュラムとして「AWS academy」が用意されている。教育機関はAWS Academyに申請すると選出された2人の教育者はまず入門コースの「AWS Academy Cloud Foundations」と専門知識までカバーする「AWS Academy Cloud Computing Architecture」を取得し、認定資格に合格し、さらに技術審査員にプレゼンを行なうことで、コースプログラムに組み込むことができる。現時点では、麻生情報ビジネス専門学校と船橋情報ビジネス専門学校で授業でAWSを学ぶプログラムを2019年4月からスタートさせるという。

AWS認定、AWS Academy、AWS educate

 また、オンサイトのAWS Academyに対して、オンラインの学習カリキュラムとして「AWS Educate」も用意されている。すでに1500を越す学校がAWS Educateを採用しており、日本では早稲田大学、九州大学、広島大学、近畿大学などが利用できる。登録することで、学習に必要なコンテンツやトレーニング、コラボレーションツール、Job Board、AWSへのアクセスが可能になるという。

 AWS AcademyやAWS Educateのような学生向けのプログラムだが、 社会人向けにはおもにデベロッパー向けの学習支援プログラム拡充していく。まず、6月のAWS Summitで発表されたデベロッパーとスタートアップ向けの施設である「AWS Loft Tokyo」が10月にオープンする。また、発表会同日にオンラインコンテンツ「なな転び八起きのAWS開発日記」も開始された。ある女性プログラマーがAWSのSAの助けを受け総合力を持ったエンジニアとして成長するマンガで、Amazon Lightsail、AWS Cloud9、Amazon Amplifyなどが紹介される予定となっている。

AWSマンガ「なな転び八起きのAWS開発日記」もスタート

 発表会ではSTANDARD代表取締役、日本ディープラーニング協会 試験委員でもある石井大智氏も登壇。エンジニア時代に人材不足の課題を痛感し、人材教育を手がけるようになった石井氏は、AI人材の不足感や個人だけでなく組織教育の重要性を共有し、AWSの教育プログラムへの期待を示した。

■関連サイト

初出時、小林史明氏の名前の記載に誤りがありました。お詫びし、訂正させていただきます。本文は訂正済みです。(2018年9月3日)

カテゴリートップへ

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

アクセスランキング

  1. 1位

    TECH

    訓練だとわかっていても「緊張で脇汗をかいた」 LINEヤフー、初のランサムウェア訓練からの学び

  2. 2位

    ITトピック

    若手が言わない“本音の退職理由”上位は/「データ停止は景気後退よりも企業の脅威」6割/クライアントに告げずAI活用するフリーランス、ほか

  3. 3位

    ビジネス・開発

    最悪のシナリオは「フィジカルAI」による基幹産業の衰退 日本の勝ち筋は、“同期技術”と“ドメイン知識”

  4. 4位

    Team Leaders

    ファイル名が命名規則に合っているかの自動チェック、Power Automateのフローで実現しよう

  5. 5位

    TECH

    “GPUなし”ノートPCで動くLLMで、ローカルAIエージェントを自作する

  6. 6位

    TECH

    糖尿病超早期を採血なしで検出、予防へ! 代謝や臓器のつながりに着目した予防法開発

  7. 7位

    ビジネス

    廃校がAIの心臓部に!? 地方の遊休施設を「AIデータセンター」に生まれ変わらせるハイレゾの挑戦がアツいぞ

  8. 8位

    データセンター

    液冷技術の最先端が集うイノベーションラボ「DRIL」、印西のデータセンターに現わる

  9. 9位

    TECH

    業界横断で“サイバー攻撃から供給網を死守” NTT・アサヒ・トライアルらが「流通ISAC」始動

  10. 10位

    Team Leaders

    バックオフィス業務もAIに“丸投げ” マネーフォワードが「Cowork」機能を2026年7月に投入へ

集計期間:
2026年04月08日~2026年04月14日
  • 角川アスキー総合研究所