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東芝が火力発電事業に大ナタ、再建で兄貴分GEの領域侵す覚悟はあるか

2018年08月30日 06時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

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東芝 火力発電機器
東芝は火力発電機器の工場のラインを改変し、タービン以外の製品を造ることも検討する Photo by Hirobumi Senbongi

 東芝が、タービンなどを製造する火力発電機器事業に大ナタを振るうことになりそうだ。人員削減は必至で、低収益から脱することができなければ存続も危ぶまれる状況だ。

 東芝の火力発電機器事業は火の車だ。2018年3月期は117億円の営業赤字を計上。今期第1四半期も34億円の赤字で、止血のめどは立っていない。

 東芝幹部は「2年後、新規製造の受注残が大幅に減る。中国で故障した他社製タービンの修理といった“落ち穂拾い”に競合が群がっている」と市場の縮小を嘆く。

 背景にあるのは、地球温暖化防止のための化石燃料離れだ。火力発電への逆風を受け、火力発電用タービン最大手の米GEは1万2000人、独シーメンスは6900人のリストラを断行している。

 東芝は目下のところ、4月に会長兼CEOに就任した三井住友銀行出身の車谷暢昭氏の主導で、構造改革の論議の真っただ中だ。

 11月に発表する東芝再生の5カ年計画の策定に向け、事業ごとに「最低でも営業利益率5~7%を狙えるかを検討」(平田政善専務)しており、改善の見通しが立たない事業は撤退・再編を検討する。

 火力発電機器事業(一部水力などを含む)の営業利益率は今期第1四半期マイナス5.2%と社内で最低水準だ。下位の部門をばっさり切れば確実に整理対象になる。

 それでなくとも火力発電機器事業には、「明らかな余剰人員がある」(証券アナリスト)。発電事業者による投資は今後も縮小が見込まれることから、車谷氏がどんな処方箋を示すのかに注目が集まっている。

保守サービスも多難

 車谷氏は発電機器の保守サービスで稼ぐ方針を示している。だが、これだけで事業をテコ入れするのは難しい。

 発電事業者へのサービスでは、すでにGEやシーメンスが先行しており、センサーで故障を予知し稼働率を高めたり、需要に応じた発電を支援したりといった実績を持つ。東芝は「補修はやっているが故障予知は一部のみで、これからという段階だ」(同社関係者)。

 これから東芝単独でサービスの体制を整えてグローバル大手と渡り合っていくのは簡単ではない。

 しかも、東芝の主力である蒸気タービンはGEのガスタービンとセットで納入されることが多く、両社はいわば兄弟の関係にある。兄貴分のGEが注力するサービスの領域に東芝が乗り込んでいくには相当な実力と覚悟が必要だ。

 利益の9割を稼いでいた半導体メモリ事業を売却した東芝は、残る事業を改善して生き残るしかない。だが、主力とみられていた火力発電機器やエレベーター事業が減収減益になるなど事業環境は厳しくなっている。

 車谷氏が東芝の常識にとらわれない改革を打ち出せるかが同社の命運を握る。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 千本木啓文)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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