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薄毛治療薬でEDになる!?AGA薬にまつわるウソ・ホント

2018年08月16日 06時00分更新

文● 布施翔悟(ダイヤモンド・オンライン

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多くの男性の悩みの種である、男性型脱毛症(AGA)。治療薬を飲むことで症状が改善される一方、性欲減退やEDのリスクがあるという話もよく聞く。そこで、選ぶべきAGA治療薬やその副作用、新薬が出てくる可能性などについて、東京メモリアルクリニックの佐藤明男院長に聞いた。(清談社 布施翔悟)

フィナステリドのみの服用で十分
ミノキシジルの効果は半年間

薄毛治療で選ぶべき治療薬とは?
AGA治療薬の選び方や副作用、気になるサプリの効果は…? Photo:PIXTA

 男性型脱毛症(AGA)における主な治療薬は「フィナステリド」「デュタステリド」「ミノキシジル」の3種類になる。まずは、それぞれの違いについて聞いた。

「AGAは、睾丸から分泌されているテストステロンが、DHTという毛が長く太くなるための毛周期を短縮化させ、薄毛につながるホルモンに転換されることが原因です。この過程でテストステロンをDHTに変化させるのが5α-還元酵素。そこで、その5α-還元酵素を阻害してDHTの産出を抑制し、毛周期を正常に戻すのがフィナステリドとデュタステリド。この2つを5α-還元酵素阻害薬と言います。5α-還元酵素にはI型とII型があり、II型だけに効くのがフィナステリドで、I型とII型両方に効くのがデュタステリドです」(佐藤院長、以下同)

 もうひとつの「ミノキシジル」は、もともと血圧を下げるための薬だという。

「かつては血管拡張が直接作用だと言われていたのですが、今はIGF-1という、毛周期の維持につながる成長因子の分泌を増やすとされています。ただ、脱毛の直接原因であるホルモンに関与しないので、フィナステリドとデュタステリドよりも効果は低いでしょう」

 佐藤院長によると、複数の薬を併用する必要はなく、フィナステリドのみの服用で効果は十分だという。

「5α-還元酵素阻害薬とミノキシジルを併用すると2倍の効果が期待されると思われがちですが、ミノキシジルの効果は半年たつとなくなってしまうケースが多い。3、4年たてば、5α-還元酵素阻害薬のみ服用している人とほとんど同じような状態になってしまうので、ミノキシジルを使うか使わないかは患者本人にお任せしています」

治療薬の副作用はほぼゼロ!?
治療開始は早めの方が効果アリ

 また、デュタステリドはもともと原価が高く、1ヵ月で9000円ほどかかるという。

「その点、フィナステリドはジェネリックも出ているので、1ヵ月あたり5000円程度で済みます。発毛効果の優位差がそこまであるわけではないので、より安いフィナステリドを選択する方が長く継続できるでしょう。デュタステリドは皮脂腺への影響が強いため、頭皮のベトベト感がかなり解消されるという利点がありますが、ベトベト感解消と発毛は関係がありません」

 AGA治療薬を飲むうえで都市伝説的に懸念されるのが、性欲減退やEDといった、男性機能にかかわる副作用だが、佐藤院長の診療データによると、副作用はほぼないという結果になったという。

「私の病院に来た161人の10年間のデータを集計した結果、性欲が減退したという人が9人、EDになったという人が4人。薬を飲んですぐに症状が出なければ副作用ではない可能性があるため、治療開始から副作用が出た期間も集計してみたのですが、性欲減退が平均して約1年後、EDが約3年後でした。そのうえ、性欲減退やEDが起こった患者は、どちらも平均で45歳から46歳以上。40歳以上の男性がEDを起こす発生率が約20%ですので、薬の服用とは関係なくEDや性欲減退が起こった可能性が高いです」

 32歳で性欲減退したという患者もいたそうだが、その後自然に治ったそうだ。

「この人の場合は心理的なものが原因だったため、自然に治りました。プラセボ効果の逆で、あまりにも副作用のことを考えすぎると、実際にそうなってしまうことがあるのです。これをノシーボ効果と言います」

 どうやら、副作用はほぼないものと考えてよさそうだ。また、AGAは進行具合によっては手遅れになる可能性があるため、症状が出たと感じたら早めに病院で診てもらい、投薬治療を開始するべきだという。

「AGAは25歳ぐらいから発症します。進行度合いは1型から7型まであり、人によって差はありますが、およそ5年ごとに1ランクずつ上がっていきます。161人の10年間のデータを見た結果、進行度が低い人ほど、その後の治りがいい。仮に7型から治療を開始しても、なかなか改善しないのです」

亜鉛やノコギリヤシの効果は?
毛髪再生医療にも期待

 前述のとおり、AGAの治療で使われているのは、主にフィナステリド・デュタステリド・ミノキシジルの3つだが、それ以外に新薬が出てくる可能性はないのだろうか。

「残念ながら開発中の新薬はないようです。ホルモンに作用する薬に関して言えば、現在使われているもの以上の薬が出てくる可能性は低いでしょう。ただ、薄毛はAGA以外にも髪の毛の老化が原因とされる説があり、論文も発表されています。そこには髪の毛の老化を予防するような薬剤を開発しなければならないという記述もあるので、それが新しい展開かもしれません」

 AGA治療薬以外にも、亜鉛やノコギリヤシなどのサプリメントが薄毛に対して効果があるといううわさがある。そこで、その真偽を聞いた。

「ノコギリヤシを飲んでいたアメリカインディアンは、薄毛が少ないということが戦前からわかっていました。そこで、アメリカのメルク社が徹底的に研究して作ったのがプロペシア(フィナステリド)です。ただ、北米原産の特殊なノコギリヤシには効果があるのですが、日本で手に入るノコギリヤシは中国や南アフリカ製のものですので、おそらく効果はないと思います」

「亜鉛の場合、医学的に論文が出ています。亜鉛欠乏症でも脱毛が起きるので、そういった人には効果があるでしょう。ただ、実際に亜鉛欠乏症という方はほとんどいません。胃潰瘍や味覚障害が症状の一つなので、そういった症状がある方は、念のために飲むのもいいかもしれません」

 サプリメントは、あくまでも気休め程度に飲むのがよさそうだ。

 
 先日、毛髪再生医療において明るいニュースがあったという。6月4日に、理化学研究所と医療ベンチャー企業のオーガンテクノロジーズが、「髪を作る器官である『毛包』を大量生産することに成功した」と発表したのだ。佐藤医師も研究チームの一員であり、臨床実験を担当しているという。

「実際の治療に導入するのは2020年。治療には人工皮膚が用いられるのですが、現在は、全身で2000万~3000万円とかなり高額です。髪の毛のみの治療も、最初はそれぐらいの値段になると思います。一般の人たちが治療しやすくなるまで何年かかるかは判断しかねますが、値段はいずれ下がっていくはずです」

 これから先、さらに効果的かつ、安価な治療薬や治療法が出てくることを期待したい。


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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