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日本企業がアップル・MSに追随して再エネ100%経営に注力する理由

2018年08月16日 06時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

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電力会社による大規模集中型発電から、自分で使うエネルギーを自分で作る分散型が広がっている(写真はイメージです) Photo:PIXTA

 事業で使う電気をリニューアブル(再生可能)エネルギーで100%まかなう――ひと昔前は夢物語だった目標を達成しようという取り組みが、「RE100」だ。

 RE100とは、2014年に脱炭素化による地球温暖化防止などを目的に、国際環境NGOのクライメートグループが始めた共同イニシアチブのこと。達成方法には、自社施設での再エネによる自家発電・自家消費がある。他に、市場で発電事業者から再エネ電力購入する方法、例えばグリーン電力証書の購入などがある。

 効率化よく達成するために、施設の省エネ化による温室効果ガス削減とセットにするケースが多い。

 すでに、アメリカのアップルやマイクロソフト、スウェーデンの家具大手イケアなど、日本でもお馴染みのグローバル企業が加盟。今年7月時点で約140社に上る。

 日本企業で口火を切ったのは、昨年4月に加盟したリコーだ。その後は積水ハウスとアスクルが、今年に入り大和ハウス工業、ワタミ、イオン、城南信用金庫が加盟。7月には丸井グループ、エンビプロ・ホールディングス、富士通の3社が立て続けに加盟し、8月6日時点で合計10社となった。日本でもRE100がじわり広がってきたのはなぜか。

世界の潮流はエネルギーの自立化へ

 RE100が世界的に普及している背景に、「ESG投資」の活発化がある。

 これは、環境、社会、企業統治の英語の頭文字を組み合わせた用語で、これらに配慮する企業を対象とする投資のことだ。

 ESG投資は7種類に分類される。多量の温室効果ガス排出量が気候変動に影響を及ぼす化石燃料など、特定の業界を対象から除外するネガティブ・スクリーニング、逆にESGに優れた銘柄のみを選別するポジティブ・スクリーニングなどだ。

 日本でも今年6月に三井住友銀行、7月に日本生命保険が、それぞれ新規の石炭火力発電事業への投融資を規制すると発表したほどだ。

 世界のESG投資額が2500兆円以上に達する中、例えばアップルは、部品を供給するサプライヤーに対し再エネ導入を強く推奨。日本の調達先では、イビデンと太陽インキ製造が100%再エネ化を宣言した。このように、グローバル企業が再エネ化を取引先の選定基準にするケースが出てきた。

 そのため、「海外展開を視野に入れる企業は、自社でも脱炭素化、再エネ100%を実現しない限り、グローバルサプライチェーンに入れない。彼らとは対等にビジネスすらできないという危機感を持つ必要がある」(RE100加盟企業の関係者)という。

 このようにESG投資という大きな流れの中で、RE100が広がってきたと見られる。加盟各社は、ここで培った高い環境技術を他社に提案するなど、本業として生かせるという副次的な効果を大きな魅力として感じている模様。例えば、大和ハウス工業は今年2月、再エネ100%のモデルケースとなるオフィスビルを建設した。太陽光、リチウムイオン蓄電池、井水・太陽熱利用ハイブリッド空調システムなどを備えており、この技術を自社の水平展開だけでなく、本業にも転換する戦略を打ち出している。

 脱炭素化を熱心に議論していた時代は終わり、世界はエネルギーの自立化へ向かっている。ただし、前出の関係者によれば、現状ではほとんどの日本企業は環境への投資対効果の正確な数字を求める経営陣が多く、実務担当者が及び腰のようだ。

 というのも、3~5年で組まれる中期経営計画と違い、RE100の目標は20年、30年スパンで組まれるため、正確なリターンが読めないからだ。

 だが、そう悠長にもしていられない。「海外の環境技術に関する展示会では、日本企業のブースは隅に追いやられて見向きもされない。一方でヨーロッパ各国は商談をどんどん進めている」(前出の関係者)という現実もあることを、肝に銘じておくべくだろう。

(「週刊ダイヤモンド」委嘱記者 大根田康介)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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