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サムスン半導体投資減額の衝撃、バブルの陰りは東芝メモリにも?

2018年08月06日 06時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

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東芝メモリが建設を開始した新たなフラッシュメモリー製造拠点の北上工場
東芝メモリが建設を開始した新たなフラッシュメモリー製造拠点の北上工場。サムスン電子の投資減額で新たな判断が迫られる Photo:kyodonews

フラッシュメモリーの活況はピークアウトか

 半導体フラッシュメモリーの活況はピークアウトを迎えたのだろうか──。

 世界規模で半導体市場がバブル化する中、業界をけん引する韓国サムスン電子が2018年のNAND型フラッシュメモリーの投資計画を減額したことが分かった。

 半導体製造装置業界を中心に衝撃が走っており、英調査会社IHSマークイットは18年のサムスンのNAND型フラッシュメモリー投資額の予測を約30%も引き下げ、76億ドル(約8300億円)に下方修正した。17年の113億ドル(約1.2兆円)に比べても大幅な減額だ。

 世界半導体市場統計(WSTS)によると、17年の世界半導体市場規模は16年比22%増の4122億ドル(約45兆円)で過去最高だったが、その原動力がフラッシュメモリーだ。サムスンは巨額資金を三次元(3D)構造のメモリーを中心とする設備に投入し、17年の世界シェアを38.7%に引き上げて2位の東芝メモリの16.5%を突き放した。

 東芝メモリも、主力の四日市工場で3Dメモリーの設備投資を増強し、2ヵ所目の拠点となる北上新工場の建設を開始するなど、サムスンに対抗して投資額を増やしてきた。IHSによれば、17年の投資額は、協業する米ウエスタンデジタルとの合算で50億ドル(約5500億円)。18年もこの水準を維持するのか、それともサムスンに続いて投資を減額するのか、半導体業界全体が注視している。

半導体バブル終焉の始まり?

 背景には、今年初めから続くフラッシュメモリー価格の下落がある。サムスンは17年に3Dメモリーの量産で先行したが、今や東芝メモリ、韓国SKハイニックス、米マイクロン・テクノロジーなど業界全体が相次ぎ量産に参入。さらに、中国で紫光集団が総額3兆円のメモリー工場を年内にも稼働させる見込みで、価格競争は激しさを増している。

 ある東芝メモリ幹部は、「サムスンさんは17年に投資を激しくやり過ぎたので調整を入れているようだが、市況全体に変化はない」と冷静さを崩さないが、「モノ不足だった17年は顧客も二重発注したのでバブルが起こったが、それが修正されつつあるのは確か」と認める。

 もっとも、米アップルが株主でもある東芝メモリは、今秋の新型iPhoneに向け、再びフラッシュメモリーの出荷拡大が期待できる場面だ。だが、スマートフォンの需要はピークアウトを迎えつつあり、あらゆるものがネットにつながるIoTや、ビッグデータでばら色の未来が語られてきたデータセンター向けの需要も出荷実績が試される局面に入ってきた。

 急速に意識され始めた半導体メモリーのバブルの終焉。半導体の主役を演じてきたフラッシュメモリーの投資環境は曲がり角を迎えている。

(「週刊ダイヤモンド」委嘱記者 村井令二)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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