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ポーラHD株めぐる“争族”大バトル、訴訟手数料だけで1.7億円!

2018年08月04日 06時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

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Photo by Masataka Tsuchimoto

 東京地方裁判所へ納める手数料が約1億7000万円にも上る裁判が3日に幕を開けた。

 化粧品大手ポーラ・オルビスホールディングス(HD)と同社の鈴木郷史社長およびその親族を相手取り、2代目社長だった鈴木常司氏(鈴木社長の叔父で2000年急死)の妻(以下夫人)が鈴木社長の保有するHD株の大部分(約4191万株)は「本来、遺産だった」と確認する民事訴訟を起こしたもの。約4191万株のうち、法定相続分(4分の3)の約3143万株が夫人のものであることの確認も求めている。

 原告が訴えで主張する利益を見積もった訴額は、提訴時の株価で算定して約1615億円。訴額に応じて裁判所への納付手数料も約1億7000万円まで膨らんだ。

 夫人と鈴木社長らはかつて、総額486億円といわれた常司氏の遺産などをめぐり約100件の訴訟を繰り広げた末に和解した。一度は決着がついていたものの、遺産相続を巡る新たな疑惑が先ごろ表面化したことを受け、夫人側が再び訴訟に乗り出し、3日に第1回口頭弁論が開かれた(表参照)。

 提訴の主な根拠は、HDの元ナンバー2らが「常司氏が亡くなった直後、鈴木社長がポーラグループ有力会社の株約69万株の譲渡契約書を生前に作られたように捏造した」と、昨年末に内部告発した点にある。偽の譲渡契約書を根拠に鈴木社長は有力株を常司氏から手に入れてグループ支配を強め、その際に不正に得た株がHD上場を経て現在のHD株約4191万株になった、というのが夫人側の主張だ。

 鈴木社長は持ち株比率で第2位のHD大株主であり、仮に夫人側の主張が全面的に認められれば、HD経営に与えるインパクトは大きい。3日の法廷にはHD関係者や報道関係者が詰めかけた。

 双方代理人が出廷し、鈴木社長ら側は「常司氏の相続・事業承継を巡り、夫人側と140件以上の訴訟などがあったが08年までに最終的にすべて解決した。不起訴合意まで交わした紛争の不当な蒸し返しに過ぎない」などと主張して却下を求めた。つまり、門前払いの決定を求めた。対して夫人側は、「和解成立時に知り得なかった疑惑が浮上した」と反論する方針だ。

ポーラ美術館所蔵の美術品相続でも“争続”

 疑惑が引き起こした法廷闘争は実は複数始まっており、本件は”本丸”に位置付けられるものだ。

 本丸以外に提起されたものは大きく2つある。1つは、「夫人VS鈴木社長(とその親族、ポーラ美術振興財団など)」の対立構図で、神奈川・箱根にあるポーラ美術館所蔵の美術品839点が「本来、遺産相続の対象だった」という確認を求めるもの。根拠は本丸訴訟同様に、「鈴木社長による寄付確約書の捏造疑惑が浮上した」ことにある。

 もう一つは「元ナンバー2らVSポーラ美術振興財団」の対立構図で、元ナンバー2ら2人が内部告発後に解任されたポーラ美術振興財団理事職の復帰を求めるものだ。

 前者は8月27日に第1回口頭弁論が予定されている。後者はすでに係争中だ。

 3件の訴訟の中で本丸が本丸たる所以は、訴額の大きさが飛び抜けていることと、鈴木社長の捏造疑惑に対して裁判所が正面から判断する可能性が高いためだ。

 もし本丸の訴訟で疑惑が認定されれば、他の訴訟に影響することは必至。再燃した“争続”は、HDの現経営体制の崩壊を招きかねない。夫人側はHD定時株主総会がある来年3月ごろまでに1審を終えようという構えだ。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 土本匡孝)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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