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市場の反応を既存ドメインにフィードバックする:

「iPhoneの会社」JDIがBtoCに参入するワケ

2018年08月01日 19時00分更新

文● 盛田 諒(Ryo Morita)

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●技術の方向性決めるアイデアに

 JDIは小型〜中型ディスプレーが主力だ。スマートフォン向けディスプレーでは世界トップシェア、中でもアップルiPhoneへの液晶ディスプレー供給は同社の業績に大きく貢献した。業界外では「iPhoneの会社」と思われているところもある。今年9月にアップルが発表するとみられる新iPhoneにもJDI製のフルアクティブディスプレーが採用されるのではないかとする観測がある。JDIでは縦型蒸着有機ELの量産化を2019年度めどに進めているが、サムスン電子が採用する方式などとは異なっており、まだまだ遠い道のりである可能性は考えられる。報道ではアップルからの大型受注を量産化までの「時間的猶予」という形で伝えている。

 しかしモバイル向けはアップルのような大企業の動向次第で業績が大きく上下してしまう不安定な市場だ。アップルがiPhoneに有機ELディスプレーを採用したこと、中国スマートフォン市場が減速したことなどが同社を大きく苦しめた。

 同社では長年続いた赤字体質を脱却すべく事業構造改革を進めている。経営資源の見直し・グローバル競争への対応と並んで挙げているのが事業ポートフォリオの再編だ。同社では事業の多角化を進めており、モバイル向け以外にも、車載向け、ウェアラブル向けなどで世界トップシェアを獲得した。VR向けでもトップシェア獲得をうかがっており、多角化の足場は確実にかたまりはじめている。

 一方、今回の個人向け事業は他の事業ドメインとはやや毛色が異なる。既存ドメインがもっている技術を応用して製品のコンセプトに落とし込む「社内起業部門」をつくった形だ。自社で個人向け製品を作り、市場からフィードバックを受けて、既存の事業ドメインに「この技術をこういう方向に変えたらいいのではないか」という意見として戻すという流れを想定する。自社で看板製品を出して一発ドカンと当てるというのではなく、パートナー企業やスタートアップとも協同し、技術を市場に出していくための足がかりにするという意味合いが強そうだ。

 ただ、気になったのは発表された製品のコンセプトに既視感があったことだ。

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