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業界人の《ことば》から 第304回

銀行との連携で日本の顧客獲得を狙うPaypal

2018年07月26日 09時00分更新

文● 大河原克行

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シンプルな料金体系で日本ユーザーが倍増

 Paypalは、1998年に米シリコンバレーで設立以来、「お金のやりとりをもっと自由に、もっと安全にすることを目指し、一貫してデジタル決済のイノベーションに努めてきたフィンテック企業である」(Paypalの曽根崇カントリーマネージャー)とする。

 個人ユーザーに対してはデジタルウォレットサービスを提供する一方、企業に対してはシンプルで低コストの決済ソリューションのほか、越境EC、訪日観光EC、モバイルアプリ、シェアリングエコノミーなどにも対応。現在、200以上の国と地域で100通貨以上での決済が可能であり、56通貨での銀行口座への入金、25通貨(日本では22通貨)での口座取引に対応している。

 全世界では、2億3700万人がPaypalを利用して、過去1年間に一度以上の決済をしており、この数は年率15%増で成長しているという。また、約76億件の取引を決済し、そのうち27億件がモバイル決済だったという。

 「2017年度は130億ドル(約1兆4400億円)の収益をあげ、総取扱高は4560億ドル(約50兆3600億円)に達し、20%を超える成長率を維持している。2018年度も同様の水準で推移している」とする。

 さらに、日本におけるユーザー数は過去5年で倍増。「マーチャントでは、日本最大級のマーケットプレイスや決済代行と同じ規模を持っている」と胸を張る。

 では、なぜこれだけの成長を遂げているのだろうか。

 Paypalの曽根崇カントリーマネージャは次のように語る。

 「カード情報はPaypalが保護しており、安心して利用できたり、不正が発生した場合にはPaypalが保証したりといった仕組みを確立している。さらに、一度Paypalで決済したユーザーは、2回目以降はログインが不要で簡単に決済ができる。また、グローバルで展開しているサービスであるため、さまざまな企業で世界的に利用できるここと、シンプルな料金体系や決済フローがシンプルである。ここに特徴がある」とする。

 Paypalは、日本における成長を加速するために3つの戦略を打ち出す。

 ひとつは、マーチャントの数を増やす「カバレージ」、2つめには、マーチャントのなかでどれだけ使ってもらうかを追求する「シェア」、そして、カバーレッジとシェアを新たな機能で拡大していく「ファンクショナリティ」である。

 これを、3 Dimention戦略と呼び、「Paypalを活用してもらう面積を増やしていくことになる」と表現する。

 昨年はマーチャントパートナーの拡大に注力。任天堂やMobageなどがPaypalを採用。パートナーとの共同キャンペーンも積極展開することで、Paypalの認知度を向上させることにも成功したという。

 今回の2つの新サービスは、「ファンクショナリティ」の強化になるものだ。

 フィンテック企業の草分けともいえるPaypalは、日本において活用される「面積」を着実に広げている。

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