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2019年はオーバーテイク合戦!? スーパーフォーミュラ最新マシンをチェック!

2018年07月19日 17時00分更新

文● 栗原祥光 撮影●栗原祥光

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 2019年以降のSUPER FORMULAに導入される新型車両「SF19」のシェイクダウンが7月4日、富士スピードウェイで実施。DOCOMO TEAM DANDELION RACINGの野尻智紀がドライブするホンダ製NRE(ニッポン・レース・エンジン)を搭載したSF19は、時折強い雨の振る天候の中、午前中20周、午後33周と着実に走行を重ねた。

空力を見直しオーバーテイクをしやすいマシンへ

 SF19は現行車種SF14と同様、イタリアのダラーラアウトモビリ社が設計・制作を担当。SF14のコンセプトである「Quick & Light」を継承しつつ、安全基準をFIA2009年レベルからFIA2016年レベルへとアップデートされた他、空力を見直すことでオーバーテイクし易いマシンへと進化を遂げているという。

 ダラーラはハースF1マシンを製造するマニファクチャラー。そのためか、各所にF1の最新空力トレンドが散りばめられたマシンに仕上げられている。

 フロントウイング先端はF1と同じU字型に湾曲し、SF14では2枚だったフラップが、小型化されつつも3枚へと増加。ドラッグを減らしつつダウンフォース量を増やすことに成功した。フロントウィングの翼端板にはカモメ・ウイングと呼ばれるミニウイングを搭載するのも現在の空力トレンド。

 外観においてSF14との大きな違いは、フロントサイドポッド前には大きなポッドウイングを備えたこと。これはフロントタイヤが引き起こす乱流を整えるのに効果があるという。

 ノーズ下のフロアフロントの両サイドにはトンネルを設置。積極的にボディ下に空気を流すことで、リアディフューザーから大きなダウンフォースの獲得に効果があり、先行するマシンの後ろについてもダウンフォースレベルが大きく変化しないという。

 ウイングの翼端板には、雨のレースでの視認性を上げるべく、FIA世界耐久選手権(WEC)に参戦するLMP1マシンのようなLEDリアランプを搭載したのもポイントだ。

 また、タイヤサプライヤーである横浜ゴムから「フロントのグリップレベルを上げることで敏捷性とオーバーテイクの機会を増やす」との提案から、従来に比べて1cmタイヤ幅を広くしている。なお13インチホイールは従来と同様だ。

現役ドライバー・野尻選手が語るSF19の特徴

 午前と午後のセッションの合間には記者会見が行われ、トヨタエンジン仕様とホンダエンジン仕様の2種類のシャーシが展示された。

 会見で日本レースプロモーションの倉下明社長は「2年前、初めてダラーラを訪れた時『貴方は何が欲しいのか?』と尋ねられ、追い抜き、最高速度、ラップタイムの順でお願いしますと伝えました。それから年月が経ち、今日に至ったことをうれしく思いますし、来年4月にSF19がサーキットに勢揃いして、白熱したレースが展開されることを楽しみにしています」と既に来シーズンが待ち遠しい様子。

 ダラーラアウトモビリ SF19プロジェクトリーダーのファビオ・グリッパ氏は「SF19を作るにあたり、ピュアレーシング、アグレッシブを表現できるようにデザインしました。現在のフォーミュラーカーは、安全基準を達成するために大きく重くなる傾向ですが、SF19では安全規格をクリアーしつつ、F1に比べて80kg軽い車体重量を達成しました。ダウンフォースは、F1に近いレベルに達していると思います」と挨拶。その後、「ボディシェイプを狭めつつ、搭載するコンポーネントは変わらないため、その調整に腐心しました。また冷却にも力を注いでいます」と、開発のポイントを話してくれた。

 走行後、テストドライバーを務めた野尻選手は「コクピットの横にウイングがついているのですが、ちょっと乗り辛い。でも空力パーツが大好きで、ついていればついているほどカッコいいと思うんですよ。ですからスタイリングは気に入っています」と見た目に関しては好印象。

今回テストドライバーを務めた野尻智紀選手

 一方「コクピットに乗った時の景色は違っていて、SF14は前がスッキリして見えるけれど、SF19はちょっと前が上がって見えるように感じた。コクピットの中は同じで違和感がはないですね。」と、少しだけ違和感を覚えた様子。

 しかし、走行の手応えについては「有効にダウンフォースを使っていかないと速く走れないと思った。それはSF14でも同じで、継承されていると感じました。ダウンフォースをフロアーで稼いでいる印象がある一方、セッティングが難しいクルマで、ドライバーだけでなくエンジニアにとっても挑戦しがいのあるクルマだと思います。セッティングがすごく決まったらとてつもなく速いけれど、決まらなかったらとても遅いかもしれない。どのサーキットに行っても、今までより1秒2秒速く走りたい。ドライバーの負担が増えるかもしれないけれど、僕はガンガン行きたいですし、速い方が楽しいですよね」とコースレコードを更新するマシンの手応えを感じていたようだ。

 今後はヘイローを装着するかどうかなどの検討しつつ、テストを重ねていく予定。7月7日と8日に開催されたSUPER FORMULA第4戦富士では3番と4番のピットで車両を展示するほか、8日にはピットウォーク中に野尻智紀選手によるデモランが行なわれた。

 また、7月31日と8月1日の2日間、富士スピードウェイで2回目のメーカーテストが実施され、この時はトヨタ製NRE搭載車両も走行する予定だ。

 F1の次に速いフォーミュラとして世界中から注目されているSUPER FORMULA。その新型車両のポテンシャルはいかなるものか、そしてオーバーテイクが増え白熱したレースとなるのか注目したい。

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