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出光・昭シェル統合に“物言う株主”が突き付けた「新条件」

2018年07月17日 06時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

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出光・昭シェル統合の「新条件」とは
経営統合に合意し、握手を交わす出光興産の月岡隆会長(右)と昭和シェル石油の亀岡剛社長 Photo by Ryo Horiuchi

 経営統合を正式に発表した石油元売り業界2位の出光興産と同4位の昭和シェル石油。統合の是非をめぐり、泥沼化していた出光経営陣と創業家のバトルの落としどころ、つまり創業家が認めた統合の「新条件」が明らかになりつつある。

 創業家側は、「創業者、出光佐三氏の理念継承」と「一族からの新会社取締役への就任」が統合の前提条件であると公言してきた。もっとも、すでにその要請は盛り込まれていたものだ。

 ところが、従来の創業家の主張とは一線を画する“異色の条件”が二つ含まれていた。

 一つ目は、出光と昭シェルとの統合が基本合意に至った場合、出光が1200万株の自己株式を取得すること。二つ目は、2019年度から3年間の中期経営計画に、最終利益の50%、またはそれを上回る一定割合による株主還元を行うと明記することである。

 自社株買いや配当引き上げによって、資本効率の改善を経営陣に迫るのは、アクティビスト、いわゆる「物言う株主」の常とう手段といえる。

 創業家が経営陣に反旗を翻してから約2年。その間に、株主還元に関する要求を突き付けることはなかった。突如として盛り込まれた統合条件の背景には、創業家側の説得に回り、出光経営陣との仲介役を果たしたアクティビストの代表格、村上世彰氏の存在がありそうだ。

 実際に、出光の17年度当期純利益は前年度比84.1%増の1623億円と過去最高益をたたき出したにもかかわらず、配当性向10.2%と株主還元には消極的だったからだ。

 その統合条件について、村上氏の発案の有無を尋ねたところ、出光の広報部は「答えられない」としている。とはいえ、市場関係者は「村上氏のアイデアなのは明らかだ」と推測している。

実を取った大きな代償

 統合を急いだ出光と昭シェルは、互いが当初求めていた対等合併ではなく、株式交換によって昭シェルが出光の子会社になるという“軍門に下る”手法を選んだ。

 昭シェルの亀岡剛社長は「国内における業界環境からして、統合は待ったなし。形式上、昭シェルは子会社となるスキームだが、新会社の取締役、役員についてはフェアな形で選出していく」と語った。つまり、名より実を取った格好だ。

 もっとも、その代償は小さくないかもしれない。

 結果として、アクティビストら外圧の介入により創業家を説き伏せることに成功し、経営統合という大目標を実現できた側面がある。

 それによって、新生出光の経営陣は、アクティビストが突き付けたとされる高い要求に振り回され続けることになる。経営の自由を奪われた出光は、苦難の船出を強いられそうだ。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 堀内 亮)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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