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マルチクラウドでのコスト最適化、ワンクリックDB環境運用、ネイティブSDN機能

Nutanixが新ソリューション「Beam」「Era」「Flow」を紹介

2018年07月09日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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マルチクラウド環境でコスト最適化/コンプライアンス管理「Nutanix Beam」

 続いてシニアソリューションアーキテクトの鈴木孝規氏が登壇し、今年の.NEXT Conferenceで発表された3つの新ソリューション「Nutanix Beam」「Nutanix Era」「Nutanix Flow」について紹介した。

 まずNutanix Beamは、今年3月に買収を発表したミンジャー(Minjar)のクラウド最適化ソリューション「Botmetric」をポートフォリオに統合するもの。具体的には、マルチクラウド環境において、個々のクラウド環境におけるコスト予測と、一元的な財務状況(予算/コスト状況)の監視、セキュリティコンプライアンスのチェックや是正といった機能を提供するサービス(SaaS)である。したがって、IT管理者だけでなく財務管理者なども利用対象としたダッシュボードが提供される。

「Nutanix Beam」の概要。コストとコンプライアンスの視点から、個々のワークロードを最適なクラウドへ展開するようサポートする

 「昨年発表した『Nutanix Calm』は、マルチクラウド環境におけるアプリケーションのライフサイクル管理を行うソフトウェアであり、『IT管理者/開発者の視点』でデプロイなどを自動化するものだった。一方、今回のBeamは『ビジネス視点』で、コストやセキュリティのコンプライアンスを管理するものとなる」(鈴木氏)

 複数のクラウドを横断したかたちで可視化できるダッシュボードが提供され、利用しているクラウドサービスやコストの状況だけでなく、たとえば「リソースの利用状況に対してインスタンスサイズが大きすぎる」「インスタンスの古い(不要な)スナップショットが運用コストを押し上げている」といった問題をマシンインテリジェンスが発見し、削減可能なコスト額も含めて最適化を提案してくれる。さらに、こうした問題を解決し、最適化する操作もワンクリックで即座に行えるようになっている。

 また、セキュリティコンプライアンスの準拠状況もマルチクラウド環境全体が一元的に可視化され、問題の深刻度が高いものから優先的に対処することができる。PCI-DSSやHIPPA、NISTといったセキュリティポリシー群が標準でビルトインされており、自動でチェックが行われる。データやインフラに対するチェック項目は250以上が用意されているほか、カスタムのチェック項目も利用できる。また、上述したコスト最適化と同様に、コンプライアンス上問題のある設定があればワンクリックで修正できる。

クラウドコストの統合的な可視化と最適化の提案

インフラとデータにまつわるセキュリティポリシー準拠のチェックと是正

 なお、現時点でNutanix Beam(Botmetric)が対応するのはAmazon Web Services(AWS)とMicrosoft Azureだが、今後、Google Cloud Platform(GCP)やオンプレミスのNutanixにも対応予定だとしている。

DBのプロビジョングからクローンまでワンクリックでシンプルに「Nutanix Era」

 2つめのNutanix Eraは、データベース(DB)の管理を自動化により簡素化するソフトウェアである。具体的には大きく2つ「Copy Data Management」機能と「タイムマシン」機能を提供し、DBのプロビジョニングをはじめ、バックアップ/リストアやクローン/更新などをすべてワンクリックで操作可能な環境を提供する。現時点では「Oracle Database」と「PostgreSQL」に対応している。

 鈴木氏は、従業員が1000名以上の規模になるとDBインスタンスを200個以上、そのインスタンスコピーを各10個以上持っているような企業が多く、そのコピーデータだけでストレージ容量の45%以上を占めているというデータもあると説明する。Nutanix Eraは、そうした複雑化しがちなDB環境の運用をシンプルにするソリューションだという。

 Copy Data Management(CDM)機能では、Nutanix EraのインスタンスがDB環境(外部物理サーバーでも可)を丸ごとコピーしたのち、Nutanix環境で完全なクローンを作成したり、あるいは仮想マシンのみ(DBの内容はコピーしない)立ち上げたりできるというもの。前者は開発/テスト用途でのDB環境構築を迅速にするほか、後者はDBサーバーとデータのどちらに不具合があるのかわからない場合の問題切り分けに役立つという。いずれも操作はワンクリックで済む。

 またタイムマシン機能は、スナップショットとDBのトランザクションログを組み合わせることで、ユーザーが望むタイミングのDB状態に戻すことができる機能となる。「スナップショットを取った時点だけでなく、任意の時点に戻せることが大きな特徴」(鈴木氏)。

Nutanix EraのCopy Data Management(CDM)機能。クローンDBをワンクリックで準備できる

タイムマシン機能。スナップショットとDBトランザクションログを組み合わせて、任意の時点のDB状態に戻すことができる

Nutanix環境組み込みのSDNで可視化やポリシー制御など「Nutanix Flow」

 最後に紹介されたのが、Nutanix環境(AHV)にネイティブで組み込まれるSDN機能のNutanix Flowである。アプリケーショントラフィックの可視化からポリシーベースでの自動制御、マイクロセグメンテーションによるセキュリティ強化といった機能が提供される。

 鈴木氏は、Flowがもたらす価値のひとつとして、従来の“North-Southトラフィック”だけでなく、内部の仮想マシン間で発生する“East-Westトラフィック”に対してもポリシー制御やマイクロセグメンテーションが適用でき、マルウェアの内部拡散のような内部脅威からアプリケーションを保護できると説明した。なお、ポリシー設定は論理グループ単位で行うことができ、設定も容易だという。

Nutanix Flowの概要と提供される機能の例

 なお、ニュータニックスでは今年3月ネットシル(Netsil)という企業も買収しており、その技術をNutanix FlowやPrismに統合していく計画だ。ネットシルはコンテナ化されたアプリケーションを自動検出/マッピングし、アプリケーション/コンテナ間の通信を可視化するとともに、大きなレイテンシの発生などの問題を抽出する機能を提供する。「現状(のFlow)は仮想マシン単位での通信の可視化にとどまるが、ネットシルではレイヤー7、アプリケーション間のトラフィックと問題を可視化できるのが特徴となる」(鈴木氏)。

今後Nutanixポートフォリオに統合予定のNetsilの機能概要

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