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中学受験に勝つ子どもが、部屋ではなくリビングで勉強している理由

2018年07月04日 06時00分更新

文● 西村則康(ダイヤモンド・オンライン

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リビングの“生活音”で脳が活性化する!? 中学受験の基礎は家庭でつくられる!
写真はイメージです

年々大きく変化しつつある中学入試だが、実は合否を決める9割が親の仕事。子どもが過酷な中学受験を乗り切るためには、家族のフォローが不可欠だからである。では、親は受験を控える子どもをどのように支えていけばよいのか。“中学受験のカリスマ”で『中学受験は親が9割』著者・西村則康氏が、中学受験に取り組む子どもの親が知っておくべきことや心がけるべき習慣をアドバイスする。

子どもとうまく接することができている?
家庭教師を選ぶ13のチェックポイントとは

 前回、中学受験をするなら進学塾での学習が不可欠であると述べたが、「塾だけで成績が伸びない」「より学力をつけたい」という場合は家庭教師を併用するケースもある。

 中学受験における家庭教師の本当の役割は、受験勉強をいかに効果的にやるかというアドバイスをすること。そして、塾の授業で理解があいまいだった部分をきちんと定着させ、試験で使える状態にすることだ。家庭教師だけで中学受験を乗り切るというのはまれなので、塾での学習と自習に加え、家庭教師は週1回のペースで活用するのが望ましいだろう。

 では、自分の子どもに合った家庭教師はどうやって選べばよいのか。家庭教師の派遣会社もあれば個人で張り紙をしているところなど様々なタイプがある中から、力量を見定め、子どもと相性がいい人を探し出すのはなかなか難しい。本来なら、プロの家庭教師を名乗る以上、どんなタイプの子どもにも臨機応変に合わせられることが基本だが、こうした先生は数少ないのが現状である。

 実は塾にも同じことが言えるのだが、「先生の採用」というのはかなり大雑把だ。学歴がしっかりしていて、学力テストがほどほどにできて、人間的に常識的であればすぐに採用されてしまう。コミュニケーション能力や、臨機応変な教え方のスキルなどはまったくチェックしない上に、採用後は研修期間などもなく現場を担当させられるケースも少なくない。

 結局のところ、家庭教師の人間性、コミュニケーション能力、力量は親がチェックして見抜くしかないのだ。それらをあらかじめ知るためには、まず「担当予定の先生の体験授業を受けられる会社」を探してみること。それができない場合は、初回に担当の先生が来た際に注意深く授業の様子を見学するのがよいだろう。この時に、子ども部屋で家庭教師と子どもの2人で勉強させてしまうと授業後に子どもに感想を聞いても、おそらく「やさしかった」「よくわかった」くらいしか答えないため、親自身の目でしっかり確認することが大切だ。

 以下に、家庭教師を決める時に親がチェックすべき13のポイントを挙げておく。無料体験授業を受ける際などの参考にしていただきたい。

・身だしなみはきちんとしているか?
・きちんと挨拶ができるか?
・正しい位置に座って指導しているか?
・子どもとうまく接することができているか?
・子どもを楽しませることができているか?
・通常のコミュニケーション能力があるか?
・親の相談にきちんと乗ってくれるか?
・講師としての教科指導スキル、力量は十分か?
・子どもの個性やクセをすぐに見抜けているか?
・学習に必要な「姿勢」「鉛筆の持ち方」まで指導しているか?
・授業中に子ども自身に説明をさせているか?
・短所ばかりを注意していないか?
・やたらに叱ったり、怒鳴ったりしていないか?

リビングの“生活音”で脳が活性化!?
中学受験の基礎は家庭でつくられる!

 中学受験をするかしないかに限らず、小学校高学年から先、子どもの力を着実に伸ばせるかどうかは、実は幼児期から小学校3年生までにかかっている。ここでいう「力」というのは、学力だけでなく、コミュニケーション力、論理的に考える力、粘り強く努力する力、知的好奇心といった中学受験でも役立つスキルも含まれており、これらの土台はこの時期につくられるのである。

 そして、この土台というのは家庭で培われるものなのだ。そのため、日ごろからの親子の関わり、家族のあり方が、塾以前に大切になってくるのである。

 たとえば、子どもと会話をする時、「宿題は?」「ほら、お風呂!」「早く!」などと言っていないだろうか。家族同士だから主語、述語、目的語をきちんと助詞でつながなくても通じる場合もあるかもしれない。しかし、そればかりでは子どもの返事も一言になってしまい、「メシ、フロ、ネル」しか言わない大人と変わらなくなってしまう。

 そうならないために、親が「今日、放課後に何か楽しいことはあった?」や「誰と何して遊んだの?」と、子どもに説明を促すようにするのがよいだろう。どんなにたどたどしくても、回りくどくても子どもの話を辛抱強く聞いてあげてほしい。親の方も、子どもと話す時はなるべく「てにをは」をきちんと使うよう意識してみてほしい。

 また、家で受験勉強をする場合、今は「自分の部屋」でやる子どもが多いようだが、小学生の学習は子ども部屋ではなく、親の目が届くリビングでする習慣をつけさせる方がよいだろう。

 子ども部屋はゲームやマンガなど子どもにとっての誘惑が多すぎる。そのような環境で、学習習慣をつけるのは大変難しいだろう。

 一方、リビングは人がいて集中できないのではないか、音が集中を乱すのではないかなどと不安に思われるかもしれない。しかし、その心配は無用だ。テレビは消すべきだが、夕食をつくる音や自然な会話、生活音は逆に安心感をもたらし、集中のジャマにはならないのだ。また、ある程度こうした音がしていた方が、脳は活性化されるともいわれている。

 また、リビングの一角に子どもの自宅学習用の筆記用具、文房具、参考書とノートのみ置き場所を決めておけば、リビングはきれいに片づける必要はない。

 このように、子どもが受験勉強に取り組みやすくなるように、身近な家庭環境から心がけてみてはいがかだろうか。

「もうちょっと頑張れそう」を
引き出せるかが合格のカギ

 中学受験では、先の予定を見据えてそこから逆算したスケジュールを立てることが重要となってくる。そこで受験日までの限られた時間を子どもにどう使わせるかは、親の力量次第なのだ。

 学校の宿題、塾での勉強、塾の復習、テスト直し…とたった1日でも受験勉強中は多くのことをこなさなければならない。そこで大切なのは、全部並列で詰め込むのではなく、「何をやるか」「いつやるか」「なんのためにやるか」を考えてから、スケジュールづくりをすることである。

 放課後から寝るまでの時間と休日すべてを塾と勉強だけで埋め尽くすようなスケジュールは立てず、「少し頑張ればできそう」というレベルに調整すること。子どもは(大人もそうだと思うが)、「もうちょっと頑張ればなんとかなりそう」と思うことに対しては、すぐに努力を開始することができるからだ。

 そして、この「もうちょっと頑張ればできそう」という感覚に導かれて努力した結果、味わうことができる成功体験こそが子どもの自信につながっていく。そのためには、たとえば、「偏差値をあと15上げる」という目標を立てるなら、いきなり勉強量を増やすのではなく、そこに向かうための「低い階段」を何段もつくってあげてほしいのだ。子どもが「それぐらいならできそう」と思えるように、会話の中で「階段」をつくりながら、子ども自身で頑張れることを見つけられるよう仕向けるのが親の役割だ。

 最後に、楽しくなければ中学受験は成功しない。もちろん、長い受験勉強は子どもにとって時間的にも精神的にも大きな負担となるだろう。しかし、「中学合格」という高い目標に向けて、一歩ずつできるようになる喜び、これが家族全員の、そして子ども自身の楽しさとなる。そして、この楽しさの経験は、受験後も子どもの将来を力強く励まし続けてくれるはずだ。

 過酷な受験勉強の中で、少しでもこの楽しさを感じてもらえることが、親の最大の役目であることを忘れずに、日々頑張る子どもに接してあげてほしい。


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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