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孫正義社長の懐刀が60億円投資を仕切るソフトバンクのAI人材育成

2018年07月03日 06時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

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ソフトバンクのAI人材育成とは
初期メンバーの高桑蘭佳さん(中)と石川貴大さん(左)。尖った人材の交流から、新たなAIビジネスを生むことが狙いだ Photo by Hiroyuki Oya

 日本発の"尖った"人工知能(AI)人材を育成したい──。

 ソフトバンクグループ傘下のAI人材育成会社、ディープコアが本格的に始動した。5月末にAIベンチャーへの投資に特化した60億円規模のファンドを設立。AIを使った防犯カメラの映像解析や、接客サービスを手掛けるベンチャー2社への出資を決めた。

 ディープコアは、もともとは汐留事業4号株式会社という名前で、孫正義会長兼社長がいつ新規事業を立ち上げてもいいよう用意されていた企業の一つ。昨年秋に社名変更し、社長に就任したのは孫社長の懐刀だった仁木勝雅氏である。

 仁木氏はソフトバンクで投資企画部長として、数々のM&Aを仕切ってきた。2016年9月に地元・広島の総合スーパー、イズミへ転身したが、約半年で退職して復帰した“出戻りエース”である。

 復帰を決めた理由について、「ソフトバンクを辞める前に考えていたことと、ディープコアの目的が近かった」と仁木氏は明かす。

 積極的に企業買収を仕掛けるソフトバンクで、投資企画部長の仕事は、次なる投資先を探すことだった。ところが、何百社ものM&A候補リストに並ぶのは、米国やインドなど海外企業ばかり。

「日本に投資したくても、企業の数がそもそも少ない。起業家支援から始めないと、海外勢に負けてしまう」(仁木氏)

 こうして復帰した仁木氏に、孫社長は「ウェルカム・バック。頑張れよ」と声を掛けたという。

5年で投資100件

 ディープコアがこだわるのが、起業につなげる環境づくりだ。東京大学の近くに共同オフィススペースをつくり、起業家の交流を後押しするとともに、米エヌビディアと協力してディープラーニングなどの計算資源を提供する。

 支援する起業家の“卵”として、約200人の応募者から初期メンバーに選ばれたのは、学生や社会人など約80人。「エンジニア主導で起業につなげたいので、テクノロジーに強い尖った人材を集めたかった」と仁木氏は説明する。

 その1人が、東京工業大学大学院1年の高桑蘭佳さんだ。AIの自然言語処理の手法を使い、「彼女」と「奥さん」の違いを解析した記事で人気を博したライターとしても活動する高桑さんは、「AI業界は女性の視点が少ない。私の生活の中心は恋愛なので、恋愛×AIの会社を起業したい」と語る。

 東大工学部3年の石川貴大さんは、1年間休学してベンチャー企業でエンジニアとして働いた経歴の持ち主。「技術力のあるエンジニアが評価され、ヒーローになれる場をつくりたい」と、エンジニアの地位が低い日本の業界構造を覆そうと意気込む。

 今後5年で100件の投資を計画しているというディープコア。孫社長が食指を動かすAIの雄は誕生するか。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 大矢博之)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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