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出光・昭シェル統合の真相、経営陣はファンドの外圧に屈した

2018年07月02日 06時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

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出光興産と昭和シェル石油
経営陣が創業家側の要求を受け入れ、ようやく経営統合が実現する見通しになった出光興産と昭和シェル石油 Photo by Ryo Horiuchi

 泥沼化していた創業家と経営陣のバトルに終止符が打たれようとしている。

 石油元売り業界2位の出光興産と同4位の昭和シェル石油の経営統合が実現する見通しになった。方針決定から約3年を経て、ようやく決着までこぎ着けた。

 統合に反対していた持ち分28.47%の大株主である出光創業家側は、一族から新会社の取締役を就任させるなどの条件を出光経営陣が受け入れたため、賛成に回ったのだ。

 なぜこのタイミングで経営陣は、折れたのか。長きにわたって創業家側の要求をずっと拒んでいたにもかかわらず、だ。

 その背景には、経営陣に対して増配などの株主還元や経営改善策を積極的に要求するアクティビスト、いわゆる「物言う株主」の存在があることを指摘する出光関係者は少なくない。

 5月28日にダイヤモンド・オンラインで報じた通り、旧村上ファンド関係者が運営する投資会社が出光株を約2%取得したことが判明した。

 出光首脳は「創業家と組んでいるかもしれないという話は聞いている」と明かしている。出光経営陣の間では、旧村上ファンド側からどんな要求を突き付けてくるか不安と困惑が広がっていたという。

 さらに香港の投資ファンドも出光株を数パーセント取得。出光に対してTOB(株式公開買い付け)による昭シェルの子会社化を提案したとされる。

 この提案に強制力はないものの、TOBは“対等合併”を求める昭シェルはもちろん、穏便に統合作業を進めたい出光にしても最も避けたい手段だった。市場関係者も「TOBなら合併が破談になりかねない」と懸念を示していた。

 経営陣が“外圧”に揺さぶられる可能性を懸念し、膠着状態にあった創業家との関係改善に動いたとも推測できる。

出光理念に反する矛盾

 6月28日の出光の定時株主総会では、株主から統合を後押しする声が聞かれたが、これで一件落着とはならないだろう。

 新会社の取締役に就任するといわれる、創業者の出光佐三氏の孫2人は現在、出光の社員。この2人に対して市場関係者からは「資質はあるのか」と懐疑的な見方が出ている。

 出光社内では、創業者の佐三氏が掲げた理念を今もなお大切にしている。その中にある「人間尊重」は、ほかの従業員と一致団結して国のため、人のために働き抜くことを説く。

 この理念を孫2人がないがしろにしているという声が漏れ聞こえてくるのだ。ある出光の販売店会長は、「孫たちはろくに出社もせず、仕事もしていない」と明かす。

 “外圧”に屈服した結果、出光経営陣は、創業者が重んじた理念に反するという矛盾を抱えたまま新しい船出を迎えそうだ。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 堀内 亮)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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