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お手軽オーバークロックで5GHz突破にチャレンジしてみました

8086K搭載BTOならベストバイ!? 静音PC「Silent-Master」の実力

2018年06月29日 17時00分更新

文● 宮里圭介 ●編集 ジサトラカクッチ

提供: サイコム

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お手軽設定機能でオーバークロックに挑戦
空冷クーラーでも5GHzオーバーで動く!?

 静音仕様の空冷CPUクーラーは、騒音を小さくするためファンの回転数が下げられているので、冷却性能は一般的な空冷CPUクーラーと比べても低いことが多い。これに対し、冷却性能を重視しているのが水冷クーラーだ。オーバークロックを試すなら水冷クーラーを使うのが半ば常識となっているだけに、静音仕様の空冷CPUクーラーでオーバークロックを試すこと自体がイレギュラーだといえる。

 にもかかわらず試してみたのは、Core i7-8086Kのポテンシャルを知りたいというのがある。ターボブーストの最大クロックである5GHz。この動作クロックで全コアぶん回せれば、性能面ではかなり満足できるものとなるだろう。

 なお、オーバークロックでの使用は保証外となるため、最悪壊れてしまう危険がある。推奨する使い方ではないため、試すのであればあくまで自己責任で行ってほしい。

オーバークロック設定はBIOSの自動設定でお手軽に

 水冷クーラーではないこともあり、ギリギリまで設定は詰めなくていいだろうというお気楽な発想から、ASUSのマザーボードに搭載されているオーバークロック設定機能を使うことにした。この機能は本当にお手軽で、使用するCPUクーラーの種類と用途を選ぶだけで、動作するだろう設定を自動的に決定してくれるものだ。

 今回は、多少動作クロックを盛りたかったこともあって「Gaming/Media Editing」の設定を選択した。CPUクーラーは背の高いサイドフローの「NH-U12S」を搭載しているので、種類としては「Tower cooler」を選択。これだけで、CPUパフォーマンスとして33%アップという設定が完了した。ちなみに33%アップというが、再起動後に確認してみたところ、最大で全コア52倍という設定になっていた。この数値はターボブーストを無視したベースクロック比での計算のようだ。

F11キーを押すと実行できる簡易オーバークロック設定機能、「EZ Tuning Wizard」を使用した。デフォルトでは40倍設定となっている。

「PC scenario」では、主に使う用途を選択。今回は「Gaming/Media Editing」を選択した。

「Main cooling system」では、使用するCPUクーラーのタイプを選択する。ここでは「Tower cooler」を選択。

これだけで設定は完了。Nextを押して設定を保存、再起動することでオーバークロック設定で動作するようになる。

 ちなみにこのCPUクーラーは熱風が横に噴き出すサイドフローのものだが、ケースファンがちょうど直線上にあるため、熱風をケース内に拡散させることなく素早く排出できるという絶妙な位置関係にある。長時間の利用でケース内温度がじりじりと上昇し、やがてCPUが不安定になる……といった心配が少ないのがありがたい。

ケースファンが直線上に並んでいるので、CPUクーラーからの熱風がそのままケース外へと排出されやすい、良構造だ。

いきなり5.2GHz動作設定になっているも難なく起動

 簡易的な自動設定だけあって、ゆるめの設定になっているのかと思っていたのだが、再起動して動作クロックを確認してみたところ、なんと5.2GHzという攻めた設定になっていた。

タスクマネージャーを開いてみたところ、5.2GHzという数値が目に飛び込んできて驚いた。

 強力な水冷クーラーと組み合わせたCore i7-8700Kをオーバークロックさせても5GHz動作がいいところで、5.1GHz以上を安定動作させるには大型ラジエーターの水冷クーラーや、殻割りまで必要になることが多い。それだけに、5.2GHzという設定で動いていることにかなり驚かされた。

 さて、無事に52倍で起動してはいるものの、負荷をかけても安定しているかは別問題だ。そこで「CINEBENCH R15」を動かしてみたのだが、拍子抜けするほどあっけなく完走してしまった。オーバークロックでは突然のブルースクリーンや謎の速度低下といったトラブルがつきものだけに警戒していたのだが、いい意味で期待を裏切られた形だ。

「CINEBENCH R15」は、オーバークロック時の負荷テストとしても定番。「CPU」も「CPU(Single Core)」も問題なく何度も完走した。

 5GHzで完走すればいいなと始めたオーバークロックだったが、試してみれば5.2GHzでしっかりと動いているという驚きの結果だった。ちなみにスコアは「CPU」で1706cb、「CPU(Single Core)」で230cbというもの。それぞれ標準からの伸び率は、19.6%と7.5%となる。ちなみに動作クロックは、マルチスレッドとシングルスレッドのどちらも最大5.2GHz。そのため、シングルスレッドの方が伸び率的に低くなっているわけだ。

 これだけ手軽にこんなにも性能が上がるということを考えると、Core i7-8086Kをわざわざ選ぶ価値はあるといえるだろう。標準設定のままでは微妙な結果となっていたのがウソのようだ。

 ただし、もちろんその代償はある。それがCPU温度だ。「CPU(Single Core)」では77度までしか上昇していなかったものの、全コアに負荷がかかる「CPU」では93度まで上昇してしまっていた。さすがに空冷クーラーの限界が近いといったところだろうか。

各コアの温度は90度前後、そしてパッケージ温度は93度まで上昇。ギリギリセーフ……というよりも、なんとかアウトではない、といった状況だ。

 ちなみにこの設定のまま、さらに長時間の負荷をかけたらどうなるのかと思い、標準設定のときと同じ条件で「OCCT」を動かしてみたところ、12スレッド負荷では90度を超えたあたりでエラーが起こり、OCCTが落ちてしまった。1スレッド負荷ならなんとか10分間完走したが、CPU温度は85度と92度あたりを上下する危険な状態で、かなり無理がある動作となっていた。

温度グラフの形だけは標準と同じだが、注目はその温度。単純に10度ほど上昇してしまっていた。

 ちなみに後で試したことだが、手動で54倍に設定してみたところ、起動途中でブルースクリーンとなり起動に失敗。53倍では起動こそするものの、こちらもすぐにブルースクリーンとなってしまった。どうやら52倍というのは、今回の構成ではかなりギリギリまで攻めた設定となっていたようだ。CPUとしてはまだ上が狙えそうな雰囲気ではあるのだが、これ以上は熱対策を強化したうえ、設定を詰めなければ難しそうだった。

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