「avenue jam」特別対談 第23回
対談・Planetway CEO 平尾憲映× 九州大学 SBRC エグゼクティブ・ディレクター岡田昌治 第2回
グローバルスタンダードのため中立でありたい
2018年06月26日 09時00分更新
情報国家エストニアの技術をコアにもつ、日本のテクノロジーベンチャー・プラネットウェイ。同社代表の平尾憲映CEOは業界の有力者にも太いパイプをもっている。九州大学ユヌス&椎木ソーシャルビジネス研究センター 岡田昌治エグゼクティブディレクターもそのひとりだ。岡田氏はノーベル平和賞受賞者のムハマド・ユヌス博士とソーシャルビジネスを推進するための国内外のプロジェクトを担当してきた。事業を通じて社会課題を解決するソーシャルビジネスは、プラネットウェイが掲げる「世界を変える」ビジョンとおなじ方向をめざしているという。岡田氏は平尾代表そしてプラネットウェイのどこを買ったのか。ふたりの対談を通じてあきらかにする。
Speaker:
プラネットウェイ 代表取締役CEO
平尾憲映
九州大学 ソーシャルビジネス研究センター エグゼクティブ・ディレクター
岡田昌治
「A社が入ったらB社が入らない」
といった傾向が強い日本での進め方
平尾 資本主義が終わった後にどういう交換の仕方がされるか。仮想通貨では本来の意味で変わっていないと思うんです。そうではなく、物々交換と同じようなことが起きるのではないか。ぼくらが立ち上げようとしているのは、その新たな交換行為を支える、インターネットに代わるインフラです。自分の意思で個人情報をやりとりできて、レスキュー隊のような役割にホワイトハッカーがいる世界。そうなると、レギュレーション(規制)が大事になる。グローバルでレギュレーションを変えるとなると世界政府をつくるべきなのか、小さな動きを積み重ねてステップでやっていくべきか……。
岡田 それはスモールスタートでしょう。インターネットとおなじく最初は無法地帯になるわけですから、前例を作りながらやっていかないといけないですよ。
平尾 やっぱりコミュニティベースですか。
岡田 国際組織なんて最初から絵空事ですからね。それはインターネット世界の矛盾ですよ。ロースクールで「インターネットと法」という授業をやったことがありますが、無意味だと感じていました。無法地帯で法の話をしても意味がないと。アメリカ主導のレギュレーションはありますが、しょせん限界があります。そんなレギュレーションが世界に通用するわけはないんですよ。いまのグローバルスタンダードは"アメリカンスタンダード"でしかない。それをいかに真のグローバルにするかという問題です。
平尾 国際警察機関出身のホワイトハッカーを採用したときもおなじことを言われましたね。アメリカもSANS Instituteという企業を中心にホワイトハッカー認定プログラムを提供しているんですが、非常にアメリカ主義的だと。ローカライズもしなければ、人(講師)に依存する仕組みだと。レギュレーションの世界でもおなじことがあるのではないかと感じます。どこかに依存するのではなく、第三者機関をどうやって作るかが大事なんじゃないかと。第三者機関を作るにあたっては、ユーザー、ベンダー・SIer、グローバルにいろんな人に入ってもらわないといけない。どこまで日本企業を集めて、どのタイミングからグローバルに合流できるようにするか。グローバル企業が入れず、ガラパゴスになるような形にはしたくないので、NTTのようにサイバーセキュリティーに強い国内大手に入ってもらいたいんですが、どう進めればいいのか……。
岡田 色分けされがちですよね。A社が入ったらB社が入らないとか。日本はとくにその傾向が強い。そうではなく中立的でパワーのある会社をまず入れることが大事です。
平尾 本当のオープンイノベーションをやりたいですね。うちにはMySQL創始者として、オープンソースを推進した人間がいます。その文化を全面的に取り入れたいです。
(第3回に続く)
(提供:プラネットウェイ)
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