「avenue jam」特別対談 第22回
対談・Planetway CEO 平尾憲映× 九州大学 SBRC エグゼクティブ・ディレクター岡田昌治 第1回
インターネットは無法地帯
2018年06月19日 09時00分更新
情報国家エストニアの技術をコアにもつ、日本のテクノロジーベンチャー・プラネットウェイ。同社代表の平尾憲映CEOは業界の有力者にも太いパイプをもっている。九州大学ユヌス&椎木ソーシャルビジネス研究センター 岡田昌治エグゼクティブディレクターもそのひとりだ。岡田氏はノーベル平和賞受賞者のムハマド・ユヌス博士とソーシャルビジネスを推進するための国内外のプロジェクトを担当してきた。事業を通じて社会課題を解決するソーシャルビジネスは、プラネットウェイが掲げる「世界を変える」ビジョンとおなじ方向をめざしているという。岡田氏は平尾代表そしてプラネットウェイのどこを買ったのか。ふたりの対談を通じてあきらかにする。
Speaker:
プラネットウェイ 代表取締役CEO
平尾憲映
九州大学 ソーシャルビジネス研究センター エグゼクティブ・ディレクター
岡田昌治
世界で起きていることはすべてミニスカート
平尾 ぼくはつねづね「インターネットの次」を作るんだと言っていて、話が合う人が少ないんですが、岡田先生はすぐに可能性を理解してくれましたね。
岡田 インターネットとの関わりはもともとインターネットビジネスを扱うNTT-Xでやっていた分野だったんですよね。当時からインターネットは暗黒世界というか、法律もルールもない世界だったので、普及したときにどうなるかという危機感をもっていました。平尾くんに「インターネットの世界をより現実世界に近づける」要するに誰が何をしているかがちゃんと見えるような世界にするんだという話を聞き、これはインターネットの夜明けがきたなと感じたのが最初でした。
平尾 岡田先生は「暗黒時代を変えるために、情報の流れを見える化して、どこから情報が出ているかを担保するのが大事だ」とパッと返してくれた。もっと話したいと思い、岡田先生からソーシャルビジネスについて伺って感じたのは、ぼくらの技術を組み合わせることでより具体化していくだろうと。ソーシャルビジネスという箱が用意されていて、そこに必要な大砲の弾がそろったような印象を受けました。
岡田 ビル・ゲイツによれば1994年がインターネット元年。ただ、コンピューターもミサイルの弾道計算をするために必要だった軍事用大型計算技術が基になったし、インターネットも、戦時中に情報流通を確保するためのネットワークを基本に商用化したものです。どちらも技術開発の基点が軍事というよろしくない基点から発展した。その結果、今のような世界になってしまいました。
平尾 責任所在があいまいになってしまう世界ですね。
岡田 一方で、裸足で歩いているような途上国の人々もスマホやケータイを使えるような世の中ができあがりました。子どもたちにスマホをもたせれば数年後、英語や日本語がペラペラになり、百科事典級の知識が得られるような時代に。これからはインターネット革命とソーシャルビジネス革命が合わさってくる。インターネットはまだ両刃の剣で暗黒部分が強いですが、平尾くんの技術が入ると、インターネットの世界が社会の問題を解決するツールとして使えるようになるはずだと思います。
平尾 自分自身が変えようとしている世界のことを「スマートキャピタリズム」と言いたいなと。いま資本主義社会は限界に来ています。資本主義は米国主体企業がつくりだしたストリームだと思いますが、アメリカに負けた日本と、ソ連に負けたエストニアが手を組み、アメリカが作った資本主義をぶち壊そうとしているのがプラネットウェイなんです。
岡田 ぼくは世界で起きていることはすべてスカートだと思ってるんです。
平尾 ミニスカートですか?
岡田 スカートの長さは短くなったり長くなったりのくりかえしでしょ。ようするに振り子なんです。コンピューターもそう。大型から小型になり、クライエントになり、また、データセンターになり、クラウドで大型(データセンター)に戻っている。インターネットはまだ新しいものなので、暗黒の世界に一旦行ってしまった。ハッカーそのものがくりかえしをやっている状態です。そのとき、くりかえしの土壌がセキュアな場所にならないといけない。それこそスカートの丈が変わるくらい平和なものにしないといけないんですよね。
(第2回に続く)
(提供:プラネットウェイ)
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