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海運にも値上げの波、コンテナ船大手3社の統合が契機

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海運大手3社の社長は、3社のコンテナ船事業を統合して設立したONEに、競争の激しいコンテナ船ビジネスの命運を託す。写真右から2人目は、ジェレミー・ニクソン・ONECEO Photo:kyodonews

「国内の海運大手3社がコンテナ船事業を統合したものだから、全体的にコンテナ船の運賃が上がっちゃってるんですよね」

 コンテナ船を使う荷主たちの間でボヤキ声が上がっている。トラックのドライバー不足などにより、陸路の物流運賃が上昇傾向にあることはもはや周知の事実だ。しかし値上げの波は陸運のみならず、海運にも押し寄せている。

 きっかけは荷主たちのボヤキ通り、海運大手3社の合従連衡だ。ここ2年、コンテナ船の運賃は、過去10年間で最低レベルにまで落ち込んでいた。コンテナの荷動きは増えているのだが、コンテナを運ぶ船も増加。船体も大型化しており、需給が緩んでいる。

 そのため、コンテナ船業界では世界的に再編が進んでいる。昨年7月に日本郵船、商船三井、川崎汽船がコンテナ船事業を統合し、「オーシャン・ネットワーク・エクスプレス(ONE)」を設立したのもその一環だ。生き残りを懸け、今年4月に営業を始めている。

 そんな状況下だけに、海運業界とすれば「値上げは当然」(海運関係者)である。そもそも、国内で は大手3社が運賃をたたき合い、限られた荷主を奪い合う消耗戦が続いていたのだ。統合してまで無駄な安値を仕掛けるはずがない。

 海運大手3社は、統合前の昨年前半からすでに一部で値上げに動いていた。「統合により荷主側が相見積もりできなくなることを見越して、10~20%の値上げを先んじて迫ってきていた」(物流業界関係者)といい、収益向上への執念がうかがえた。

 ONE設立後も、「これまで3社が出していた価格の最高額を提示してきた」との意見が荷主の中では専らで、実際に、今年度の年間契約では値上げをのんだ企業が多いようである。ある製造業関係者は、「営業開始の初年度から赤字というわけにはいかないでしょうから」と、諦め顔だ。

荷主がONEにこだわる訳

 実は、営業開始後のONEはトラブル続きだった。日本郵船のシステムを導入したものの、その運用に手間取る従業員が多く、オペレーションが混乱。その他にも、輸出入に関わる書類の発行が遅れたり、請求書に間違いがあったり、ONE社内とのコミュニケーションが取りにくかったりと、荷主を大いにやきもきさせた。

 そんなトラブルがある中でONEは強硬に値上げを突き付けていたわけだが、今後も国内の荷主は同社との契約を簡単には切れなそうだ。というのも、「日本から輸送先への直行便が充実しているのはONEのみ」(別の製造業関係者)だからだ。中国などで積み替えが発生すると、荷量が少ない荷主は後回しにされるといったリスクが発生してしまう。

 企業にはしばらく、物流費の値上げを織り込んだ経営が必要になりそうだ。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 新井美江子)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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