結局はスマホの中の半導体の6割を米国企業が生み出している
ZTEがすぐにギブアップしたことは驚きを感じたが、実際同社の製品に占める米国企業の部品の比率を見ると納得かもしれない。
たとえば、2画面が話題となって、日本でも発売された「AXON M」だが、ABI Researchの調査夜と、Qualcomm(38%)を始め、SanDisk(21%)、Skyworks(1%)と半導体部品の60%を米国企業が占めるという。もちろん、ソフトウェアはGoogle製である
このような緊張感の高まりもあってか、Huaweiはこのような事態に備えてAndroidの代替となるソフトウェアを開発中とも言われている。
記事執筆時点でネットを見ると、ZTEのUSサイトでは「AXON M」は購入できる(独占販売のAT&Tのページに飛ぶ)。「AXON 7」「AXON 7 mini」は売り切れだが、「Blade V8」など購入できる製品もある。Amazon.comもしかり。しかし、ZTEのホームページの「Device」のリンクをクリックすると、中国語版、英語版、ともにトップページが表示される(「Enterprise」では法人向けの製品ページに飛ぶが)。
ZTE、Huaweiが米中関係でターゲットとなることは、消費者に直接影響を与えるだけではない(ZTEは米国では4位、Huaweiは米国ではあまり存在感はない)。同社の通信機器を利用しているキャリアにも影響があるはずだ。
冒頭に書いた2012年の勧告の後も、AT&TやVerizonといった大手のナショナルキャリアは別として、地域のキャリアではHuaweiの通信機器が使われている。1社からすべての通信機器を調達するキャリアはないだろうが、ベンダー選定に影響が出てくるかもしれない。
筆者紹介──末岡洋子

フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている

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