作り込まれた世界観、そしてアンドロイドたちの運命の行く末に魅了される
あなたが紡ぐ物語、『Detroit: Become Human』はどんどん世界観にのめり込むシナリオとゲームシステムが魅力
5月25日に、PlayStation 4用ソフト『Detroit: Become Human』が発売される。個人的に東京ゲームショウ2017で初めてプレイし、ずっと気になっていたタイトルだ。今回、発売に先駆けて途中までだがじっくりプレイさせてもらった。後述するが、本作はストーリーがかなり重要となってくるので、極力ネタバレを避けながら紹介したい。
アンドロイドがそこら中にいる世界
便利と引き換えに、多くの問題も生まれた社会
本作の舞台は、2038年のデトロイト。AIやロボット工学の発達により、人類史上最も便利な「道具」としてアンドロイドが生み出された世界だ。現代で街のショーウィンドウにブランド物の洋服が展示してあるように、アンドロイドが並び、一般家庭でもがんばれば手が届く価格で販売されている。
アンドロイドは、ほぼ人間と変わらない容姿で、人間を超える知性を持つ。家事手伝いとして購入されるアンドロイドもいれば、警察の一員として働くアンドロイドもいるなど、様々な労働や作業を人間の代わりに行なってくれる、社会には不可欠な存在として描かれている。
話は少しそれるが、人工知能などのニュースを観て、自分が働いている職業は、将来ロボットがやるようになるのではないかと不安になったことはないだろうか。本作では、まさにその不安が実現した世界でもある。
アンドロイドにより、面倒なことをしなくて済む便利な社会となったが、アンドロイドが肩代わりすることで必要とされなくなり、職を失った人たちが増え始める。アンドロイドに助けられる人が増えた分、アンドロイドに職を奪われ恨む人も増えてきたのだ。そんな実際に現実世界の未来で起こってもおかしくない世界が本作では描かれている。
意思や感情などをもち、自らの判断で行動する“変異体”が出現
物語は、家庭用アンドロイドがオーナー(アンドロイドを購入した人)に反逆し、その娘を人質に立てこもるという事件が発生するところから始まる。本来アンドロイドが持ち合わせていない意思や感情などをもち、自らの判断で行動する“変異体”が現れたのだ。
プレイヤーは、「KARA/カーラ」「CONNOR/コナー」「MARKUS/マーカス」3体のアンドロイドを操作してストーリーを進めていくことになる。最初に登場するのは、変異体捜査のスペシャリストとして警察と行動を共にするコナー。前述の立てこもり事件の現場に駆け付けたコナーを操作し、アンドロイドができることや、どうすればストーリーが進められるのかなどをチュートリアル形式で確認しながら進められる。
余談だが、アンドロイドはプログラムにより行動範囲が制限されており、ストーリーとは関係のない場所に行こうとすると、プログラムの命令が視覚化された赤い壁ができて、通れなくなる。人間を操作するゲームであれば、もろにゲーム感が出てしまい没入感が薄れてしまうこともあるが、コナーはアンドロイドなので、理にかなっている。ここら辺は上手いなと感じた。
ストーリーを進めながら、アンドロイドがどのように社会に溶け込んでいるか、人間がアンドロイドをどのように利用しているのか、アンドロイドに対してどういう感情を持っている人がいるのかなど、本作の根底にある世界観をプレーヤーがしっかり確認できるようになっている。ちなみに、最初のコナーのチャプターは体験版でプレイ可能なので、発売前に体験しておくのもありだ。
あなたの選択でストーリーが大きく変わる
悩む選択も突き付けられる
『Detroit: Become Human』の特徴の1つといえば、プレイヤーの行動や選択でストーリーが大きく変わる点。様々な場面で突き付けられる選択肢への回答により、ストーリーは分岐し、徐々に変化していく。
実際にプレイしていて感じたのは、ぐぬぬ……と悩む場面が多いということ。詳しくは書かないが、果たしてこの選択であっているのだろうか……と考えさせられる選択を幾度となく突き付けられる。アンドロイドとして選択すべきなのか、人間の考え方で選択すべきなのか、正常なアンドロイドとして動けばいいのか、自らの意思を持って動けばいいのか。明確な答えがない問いに対して選択し悩みながらプレイしていくうちに、どんどんゲームにのめり込んでいってしまう。もちろん、この選択によって、ストーリーは変化していく。
また、本作では各場面でやらなくてはいけないことと、やってもやらなくてもいいことが存在する。例えば、手がかりを探す場面で、次に進めるための手がかりと、そうではない手がかりがあり、次に進めるための手がかりを見つけてしまえば、ほかの手がかりは探さなくても話が進められる。しかし、その手がかりが直後のストーリー進行に大きく影響しなくても、後のチャプターにおいて分岐を左右することもあるのだ。
1つのチャプターを終えると、自分がどんな選択をしてきたかが「フローチャート」として表示される。チャプターが終わった後であれば、そのチャプターのフローチャートを確認して別の選択をしていけば、また違ったストーリーを味わうことができる。ただ、これはプレイヤーの好みになるだろうが、チャプターごとにやり直すとストーリーへの没入感が薄れてしまうため、ひとまずはストーリーを最後までやり遂げてから気になるチャプターを選んでやり直した方がいいかもしれない。
境遇も立場も異なるアンドロイドの物語
先述したが、プレイヤーが操作できるのはカーラ、コナー、マーカス。環境や境遇、立場が異なる3体のアンドロイドで、それぞれの物語が楽しめる。プレイしていて特に感じたのは、周りにいる人間のアンドロイドに対する見方の違い。アンドロイドをモノとして扱う人や、人間と同じように接する人、アンドロイドを憎む人など様々。アンドロイドに対してどういった考えをもつ人がいるのかを、それぞれの物語で知っていくことができる。
また、選択によってはそれぞれの物語が交差したりしなかったりするようなので、そこもプレイするうえで楽しみな1つだ(ちなみに私がプレイしたところまででは物語が交差することはなかった)。
あなただけのストーリーを堪能しよう
『Detroit: Become Human』を途中までじっくりプレイさせてもらって一番思ったのが、物語の続きが気になるということ。ドハマりしている海外ドラマの続きが気になってソワソワする感覚に似ていると思う。途中までだったが、それだけストーリーは面白く、色々と思考を巡らせながら楽しめる内容になっていると感じた。
正直、私が好んでプレイするゲームがアクションばかりのため、オープンシナリオ・アドベンチャーというジャンルは楽しめるのか不安だったが、自分の選択でストーリーが変わっていくという面白さにハマり、今は発売が待ち遠しくて仕方がない。『Detroit: Become Human』がどういったゲームか気になるという人は、体験版をプレイしてみれば、どういったゲームなのか程度であれば把握できるはずなので、ひとまずそちらを体験してみよう。5月25日、あなただけのストーリーを堪能しよう。
作品概要
タイトル:Detroit: Become Human
プラットフォーム:PlayStation 4
ジャンル:オープンシナリオ・アドベンチャー
プレイ人数:1人
CERO:D(17才以上対象)
発売元:ソニー・インタラクティブエンタテインメント
開発:Quantic Dream
価格(パッケージ版):通常版 6900円(税別)、Premium Edition 8900円(税別)
価格(ダウンロード版):通常版7452円(税込)、Digital Deluxe Edition 8532円(税込)
© Sony Interactive Entertainment Europe. Developed by Quantic Dream.
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