49型の超大型ディスプレーにLTEを搭載、顔認証でドアロックもできるというまるで未来から来たような電気自動車「Byton Concept」。2018年1月のCES2018で中国のスタートアップ系自動車メーカー「Byton」がその概要の一部を公開しましたが、4月にミラノで開催されたミラノ・デザインウィークでは実車が一般公開されました。完成度はまだ85%という開発中のモデルでしたが、今にでもそのまま走りだしそうな実車に乗り込み、一部の機能を試すことができました。
Byton Conceptの外見をみると、サイドミラーが無いことに気が付きます。しかもドアノブもありません。サイド部分にはカメラが埋め込まれ、そのカメラの映像を運転席から見ることで後方を確認できるのです。ドアのロック、開閉もドアに埋め込まれたカメラを使い、顔認証で行なわれます。つまり自動車の鍵すら不要なのです。
車内に足を踏み入れると、ダッシュボード部分に巨大なディスプレーが埋め込まれているのが目につきます。サイズは49型で、横125㎝x縦25㎝という大きさ。本体の側面いっぱいまでディスプレーになっているのです。このワイドディスプレーは「Shared Experience Display」と呼ばれ、スピードメーターなどの計器類、音楽や地図などを表示するインフォテイメントシステムなどが統合されています。もちろんタッチパネルで、指先での操作も可能となっています。
Shared Experience Displayをよく見てみると、まず左右の端には運転者と助手席の搭乗者の顔が表示されています。エンジンをかけるときは顔認識が行なわれます。また座席に内蔵された心拍計で心拍数もモニタリング。体調不調と判断されるとエンジンをかけることができませんし、運転中なら警告されます。そして、メイン部分のディスプレーには左右と後方のカメラからの映像を常時表示も可能。運転中の周りの環境もモニタリングできるのです。右側には音楽アルバムが表示されていますが、地図を表示し音声でお店の検索も可能。AI音声認識システムにも対応し、現在は「Alexa」に対応しているとのこと。
さらにはステアリングの中央にも8型のタッチパネルディスプレーを内蔵。こちらは車内環境のモニタリングなどが可能。後部座席の搭乗者との会話もできます。
なお、ドアの内側はスマートフォンスタンドになっていて、ここにスマートフォンを刺しておくと充電もできます。またスマートフォンと自動車を接続し、スマートフォンの情報やコンテンツをShared Experience Displayに表示することもできるとのこと。
後部座席には10型のディスプレーが設置されています。その上部にはカメラがあり、運転席から上下左右に動かすことも可能。運転者が後ろを振り返らなくとも、このカメラとディスプレーを使って会話ができるというわけです。もちろんディスプレーにはウェブや動画や地図などのコンテンツを表示することもできます。
コンセプトと呼ぶにはもったいないほど完成度の高いこのByton Concept。2019年に中国、そして2020年にはアメリカで販売が始まる予定です。価格は4万5000ドル、約500万円とのこと。自動運転(レベル3、2020年にレベル4にアップデート予定)にも対応しますが、ネットやWEBサービスと融合した次世代自動車としても欲しくなる製品でしょう。性能を考えると、この価格は決して高いとは思えません。日本での販売も期待したいものです。
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