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春のヘッドフォン祭 2018 第14回

ヘッドフォン祭から探る、2018年のヘッドフォントレンド

2018年05月09日 17時00分更新

文● ゴン川野 編集●ASCII

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耳の特性を測定、32段階補正でフラットな音を再現!

 次にAudeara「A-01」。我々の耳は一人一人で特性が異なり、左右で感度が違うし、年齢によっても音の聞こえ方は変わってくる。それをDSPで補正してフラット化するというヘッドフォンはこれまでに存在したが、今回の製品は医師が設計して、医療グレードの厳密さで測定がおこなわれるという。

 そのイコライジングは左右独立で周波数帯域を8、16、32分割の3段階から選択できる。補正量は100/75/50/25/0%の5段階から選択可能。なぜなら、いきなり100%補正すると違和感を感じることがあるため、任意の補正値が選べるようになっている。

 実際に体験できるチャンスがあったので8分割の個人測定に挑戦。方法はシンプルでスマホの専用アプリを使って、聴力検査のように音が聞こえる限界までレベルを自分で下げていく。これを左右の耳で低い周波数から高い周波数までおこなえば完了。その結果は折れ線グラフになって保存されヘッドフォンへ転送される。もっとも簡易な8分割でも、その効果は抜群だった。グラフを見ても左右の耳の感度の違い、高域が聞こえにくいことが一目瞭然で分かる。

 補正された音を聴くと、ボーカルのセンター定位がズレていたことに気付く。さらに低域、高域共によく聞こえるようになり、音量を上げる必要がなくなった。

 これこそが、CEOのジェイムス・フィールディング氏が目指していた効果であり、若年層でも大音量で音楽を聞くことで耳を痛める人が多いため、小音量でも音楽が楽しめるヘッドフォンを開発したのだという。この機能は耳に障害を持つ人にも非常に有効で左右の音量差などをなくしてくれるそうだ。日本での発売時期と価格は未定だが、5万円前後になりそうだ。ちなみにKICKSTARTERのプレオーダーでは499ドルになっている。

 ドライバーは直径40mmのマイラー振動板を使い、周波数特性は20Hz~22kHz、インピーダンス32Ω、アクティブノイズリダクション機能も搭載する。Bluetoothでストリーミング音源を聞いた感じでは、クセのない音色だった。ヘッドフォンの未来を感じさせるモデルだ。

 発表会ではCEOのジェイムス・フィールディング氏が説明をおこなった。

 私の耳の測定結果。なぜか2000Hzの感度が最も高く500Hzで落ち込んでいる。高域に関しては急降下である。

 補正結果をどのぐらい反映させるかの画面、試聴は75%の補正値を使った。

 ヘッドフォンは軽量で装着感が良く、長時間リスニングに対応できそうだ。

 パーツはほとんどが樹脂製で、コスパ優先な雰囲気、5万円のモデルとしてはデザイン、質感に不満が残る。

 補正機能を内蔵しているせいか、ハウジングは大きめに見える。

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