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食べていないのに太る!肥満者の7割が陥る「モナリザ症候群」の恐怖

文● 森 江利子(ダイヤモンド・オンライン

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食べ過ぎているわけでもないのに太ってしまう…体質や加齢のせいと諦める前に疑うべきなのが、肥満者の7割が陥る「モナリザ症候群」だ。「モナリザ症候群」の原因は、自律神経にあるという。カロリー制限や運動だけではなく、自律神経を整えることが、ダイエット成功の秘訣になるかもしれない。(清談社 森江利子)

現代人に増加中?
交感神経の働きが衰えて肥満に

食べていないのに太るのは、体質や加齢のせいではなく、交感神経の働きが衰えていることが原因かもしれません

「モナリザ」という名は、ルーブル美術館に収蔵されているあの有名絵画とは無関係だ。「モナリザ症候群」は「Most Obesity kNown Are Low In Sympathetic Activity」の頭文字(kNownのみ2文字目のN)を取ってつけられた造語で、和訳すると「肥満者の大多数は交感神経の働きが衰えている」という意だ。

「日本人の肥満者の実に7割が、この『モナリザ症候群』に当てはまると言われています」

 こう語るのは、医師の森田豊氏だ。交感神経とは、活動量の多い日中に活発になり、心臓の動きや血管の収縮などの内臓の働きをコントロールする自律神経の一種。交感神経の働きによって副腎からアドレナリンというホルモンが出て、心身が活性化するため、いわばアクセルのような役割を持つ。

「アドレナリンには、消費カロリーを上げて脂肪を燃焼させ、脂肪をため込みにくくする効果もあります。また、やる気を引き起こす役割もあるので、日中を活動的に過ごすためにも欠かせません」(森田医師、以下同)

大切なのは
自律神経の“メリハリ”

 一方で、夜間に力を発揮するのが副交感神経だ。副交感神経が働くと、心身ともにリラックスして、体は省エネモードに切り替わる。つまり、ブレーキのような役割だ。

もりた・ゆたか/医師・ジャーナリスト。秋田大学医学部、東京大学大学院医学系研究科を修了、米国ハーバード大学専任講師を歴任。現在、現役医師として医療現場で医業に従事する。また、テレビや雑誌などのメディアでジャーナリストとして活動。『今すぐ「それ」をやめなさい!Dr.モリタのやめるだけで健康になる50のヒント』(すばる舎)など著書も多数。森田豊公式ホームページ(http://morita.pro/

「自律神経のバランスは、心身の健康のために欠かせません。しかし、このバランスが乱れて、日中に交感神経が働かなくなってしまうと、アドレナリンの分泌量が減り、活動量が落ちます。その結果、消費カロリーが減って太りやすい体になってしまうのが『モナリザ症候群』の正体です」

 肥満の原因を「加齢のせい」「体質的に太りやすい」などと考える人は多いが、実は自律神経のバランスの乱れが原因となっているかもしれないのだ。

 とはいえ、「モナリザ症候群」を回避して痩せやすい体になるためには、とにかく交感神経を活性化させればいいのかというと、そう単純な話ではないようだ。

「睡眠不足が続くと、やる気が出ないという経験は誰にでもあるはず。これは、休息が不十分で、交感神経の働きが鈍くなっている状態です」

 あくまでも、日中は交感神経、夜は副交感神経、というバランスが大切なのだ。

「2つの自律神経が交互に、メリハリある働きができる体であれば、『モナリザ症候群』のリスクは少ない。脂肪を燃焼し、痩せやすい体になります」と、森田氏は語る。

 では、どうすればメリハリをつけられるのか。実は、自律神経は「メリハリをつけよう」という意思の力では、どうにも動かないのだという。意思ではなく行動によってコントロールしなければならないのだ。

意思の力では変わらない
自律神経コントロールは行動から

「日中は、仕事や家事などを精力的にこなすことで、交感神経のスイッチがオンになります。また、とにかくちょこまかと体を動かすこと。日常的に、移動にはタクシーではなく徒歩、エスカレーターではなく階段を使うなど、小さなことでもアクティブに動くように心がけてください」

「逆に夜は、しっかりと副交感神経の働きを高めてリラックスする。そのためにいちばん効果的な習慣は入浴です。熱過ぎるお湯はNGで、ぬるめの38~40℃のお風呂に10~15分つかるのがベスト。副交感神経の働きを高めてしっかり眠れば、翌日もまた元気に活動できるはずです」

 昼間、しっかりと動いていれば、夜は自然に眠くなる。副交感神経へのバトンタッチもスムーズになるはずだ。

「忙しい現代人は、睡眠時間や入浴時間が減っているというデータもあります。それでは自律神経は乱れるばかり。生活習慣を見直して、自律神経を整えれば、少しくらいおいしいものを食べ過ぎても、自然と太りにくい体になれます」

 生活のメリハリが、自律神経のメリハリにつながるのだ。

 健康ブームにより、ダイエットに対する意識も高まっている。TVや雑誌もこぞってダイエット方法を紹介しているが、「摂取カロリーをとにかく減らすための食事法」や「できるだけ消費カロリーが多くなる運動法」といった方法論が主流だ。

 食事を減らしても、運動量を増やしても痩せにくいという人も少なくないが、「自律神経の働きに着目することで、ダイエットに成功する方も多くなるはずです」と、森田氏。

「そもそも本来の健康とは、ダイエットによる痩身や体型維持ばかりではなく、精神的、社会的にも充足できることを指すはずです。自律神経のバランスを整えることで、精神的にも充足感や自己満足感を得られ、バリバリ働けるので社会貢献にもつながりますよ」

 ダイエットのためといって、無理な運動や極端な食事制限を行う前に、メリハリのある生活を心がけてみてほしい。


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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