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日産がフランス企業になる!?ゴーン氏も悩むルノーとの合併論の行方

2018年04月23日 06時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

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仏政府からの強まる合併圧力に、ゴーン氏はあらがい続けるのか Photo:REUTERS/アフロ

「合併がベストの選択だとは考えていない」──。仏ルノー、日産自動車、三菱自動車の3社連合を率いるカルロス・ゴーン氏は日本滞在中の先週、周辺にそう語ったという。

 ゴーン氏の発言の背景には、ルノーと日産の統合新会社設立や合併論がメディアで盛んに取り沙汰されていることがある。「資本関係の見直し検討」とも報じられたが、ある幹部は「ゴーン氏は『あらゆる選択肢がある』と述べているだけで、合併ありきではない。従来通り各社の独立を維持しつつ、機能統合によるシナジーなどのメリットを享受し合いながら2022年の連合全体の目標を達成することが最優先だ」と、ゴーン氏の心の内を代弁する。

 しかし仏政府による合併圧力は強まっているようだ。

 日産は経営危機に陥った1999年にルノーの支援を受け、現在はルノーが日産に43.4%出資し、一方で日産もルノーに15%出資して株式を持ち合う関係にある。そしてルノー株の15%を握る仏政府は、これまでルノーを介して日産の経営に介入することを画策し続けてきた。

 14年には株式を2年以上持つ株主に2倍の議決権を与えるフロランジュ法を制定。仏政府は一時、ルノーへの持ち株比率を引き上げて日産との合併を迫ったが、ゴーン氏はこれを拒み続けた。

 だがルノーCEOの任期が切れる今年6月の株主総会を前に、仏政府周辺からゴーン氏の退任論が浮上。ゴーン氏は続投する見通しだが、それと引き換えに仏政府に譲歩し、合併容認に「変心」したとの観測も出ている。

日産に合併のメリットなし

 合併は日産にとって決して容認できるものではない。

 仏政府の最大の狙いは、日産を影響下に置くことで自国の自動車産業を立て直し、9%台と高い水準にある失業率の改善や税収増に貢献させることにある。

 それは日産にとって、経営判断が国策に縛られることを意味する。ただでさえ電動化や自動運転化など開発競争が激化する業界において、無駄な投資や経営判断の遅れは致命的だ。

 また日産が名実共に「仏自動車メーカー」となれば、足元の日本市場で販売シェアを落としかねない。販売台数や技術開発力でルノーを凌駕する日産が今、ルノーと合併するメリットは見当たらない。実は仏政府もそれを承知の上で、「保有するルノーの株価をつり上げるための駆け引きにすぎない」(市場関係者)との見方もある。

 ただ“事実婚状態”とも指摘されるルノーと日産の現在の関係が成立し得ているのは、ゴーン氏個人によるところが大きいことは事実だ。そのゴーン氏に残された任期は4年。くすぶる合併論を打ち消すためにも、持続可能な“ポストゴーン”体制を示す必要に迫られている。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 重石岳史)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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