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原発政策論議「政治の都合」で2度目の封印、結論は3年後に先送り

2018年04月03日 06時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

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現状維持の方針が固まったエネルギー基本計画。有識者会議で原発政策を真正面から議論することはなかった Photo by Ryo Horiuchi

 国策民営で進めてきた原子力発電所の在り方について、何も語らずに逃げ切ろうというのだろうか。

 エネルギー基本計画(エネ基)の見直しを議論する経済産業省の有識者会議は、“現状維持”の結論のまとめに入った。次の見直しのチャンスは3年後までない。

 焦点の原発については、従来通り「重要電源」としつつ、新増設、建て替え(リプレース)には踏み込まないことで調整が進む。

 ここ数年間、政府は原発の新増設、リプレースの判断をめぐり、大きく揺れていた。

 エネ基に基づき、2015年に策定した長期エネルギー需給見通しは、30年度の電源構成(総発電量に占める各電源の割合)で原発比率を20~22%と決めた。

 しかし東日本大震災後、原子力規制委員会の審査や立地自治体の同意のプロセスが長引き、順調に再稼働が進まないため、目標達成が見通せなくなっていた。

 そこで、16年には政府関係者の一部から「そろそろ話をしてもいいじゃないか」と新増設、リプレースの選択肢が浮上した。しかしその後、安倍政権が失速し、見直し議論が始まった昨夏には「計画の骨格を変える時期ではない」(世耕弘成経済産業相)とトーンダウンした。

 その後の衆院選で与党が大勝し、盤石の政権基盤を確保した安倍政権は、もう一度新増設、リプレースに踏み込もうとした。ところが、昨今のいわゆる森友問題で窮地に陥り、2度目の封印となったのだ。

エネ基達成の本気度どこへ

 森友問題で頭がいっぱいな安倍政権はもちろんのこと、与党の自民党内でも原発政策を真正面から議論するつもりはさらさらない。

 ある自民党関係者は「センセイ方は、原発についてはこのままクリンチ状態でいって、自分たちの世代で何も起こらないように願っている」と明かす。

 いったい、エネ基達成への本気度はどこへ行ったのか。

 エネルギー自給率向上や低炭素化社会の実現に貢献する原発について、具体的な議論は避けられなかったはずだ。3月26日時点で、国内の原発で廃炉を決めた17基を除いた43基のうち、再稼働したのは7基にとどまるからだ。

 原発は今、予見性のない事業になった。再稼働に関して立地自治体の同意が必ず得られる保証はない。規制委員会の審査が長引き、安全対策コストは膨らむ一方。司法に“止められる”リスクもはらむ。

 こうした状況もあり、エネ基の現状維持が決まった翌日、四国電力は伊方原発2号機(愛媛県)の廃炉を決めた。

 震災から7年を経てもなお、規制委員会へ新規制基準への適合性審査すら申請していない原発は18基。このうち半数近くは廃炉の可能性が高いといわれる。原発が“重要電源”でなくなる日は近いかもしれない。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 堀内 亮)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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