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有名大近辺に続々出店「大学生は無料」カフェが儲かる仕組み

2018年03月01日 06時00分更新

文● 藤崎雅子(ダイヤモンド・オンライン

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学生無料を可能にする
ビジネスモデルとは?

大学のすぐそばにある「知るカフェ」。勉強や雑談、休憩など、思い思いの時間を過ごす大勢の学生で賑わっている

 大学生なら無料でコーヒーやジュースが飲める「知るカフェ」が、じわじわと店舗数を増やしている。

 2013年12月に1号店となる「同志社大学前店」がオープンして4年あまりだが、国内では「東京大学前店」や「京都大学前店」、「早稲田大学前店」など有名大学の近くに16店舗を展開する。16年からは海外にも進出。現在、インド工科大学に3店舗を出店中で、インドの他の大学や、アメリカのハーバード大学やイェール大学などにも続々オープンする予定だ。

 無料とはいえ、コーヒーや紅茶、ココアなどドリンクの種類は豊富で、無線LANや電源の設備も整っている。学生は授業の合間に訪れてひと息いれたり、友だちと立ち寄っておしゃべりしたりするのに便利で、常に満席に近い状態の店舗も少なくないという。

 実はこの「知るカフェ」、単なる喫茶店ではない。就職活動に関する情報を得たい大学生と、求める人材を採用したい企業とを結ぶ場でもある。

「知るカフェ」とスポンサー契約を結んだ企業は、店内で自社や業界を知ってもらうイベントを開催したり、企業紹介パンフレットを設置したりといったアピールができる。そのスポンサー企業からの協賛金によってカフェが運営されているため、学生には無料サービスが提供可能なのだ。現在、三井物産や野村證券、日本マイクロソフトなどの大手をはじめ、約130社がスポンサーとして名を連ねる。

1~2年生のうちから
企業と接する機会を提供したい

「知るカフェ交流会」に参加した学生からは、「社会人に気軽な雰囲気で質問できた」「少人数で話しやすかった」などの声があがっている

 「知るカフェ」を運営するのは株式会社エンリッション。創業の出発点は、代表取締役CEOを務める柿本優祐氏の学生時代の経験にある。

 柿本氏は就活を始める前から多くの社会人の話を聞く機会に恵まれ、自身のキャリア観によい影響を受けた。一方で、周囲の学生は大量の企業に「とりあえずエントリー」し、短期間で就職先を決めていく。そんな就活のあり方に違和感を持ち、「もっと早い段階から、学生が社会人と接点を持てる空間をつくりたい」と考え、 準備期間を経て「知るカフェ」立ち上げたという。

 同社営業本部リーダー・生雲勝之氏は、「大卒者の3年以内離職率が約3割と高い状況が続くなか、入社後のミスマッチが起こらないよう、1、2年生の頃からしっかりキャリア支援をしていくことに重点を置いています」と語る。

 各店舗では、企業と学生の小規模な交流会が頻繁に開催される。時期や店舗によって回数はさまざまだが、多い時は1店舗で週10回以上開催されることも。

 その内容は、店舗名になっている大学OB・OGなどの現役社員がやってきて、業界の動向や仕事の魅力を話したり、就職活動の相談に乗ったりするもの。学生の定員は各回5人までとなっているため、少人数で密なコミュニケーションが可能。かつ、普段着で参加できる点が、企業で開催される会社説明会やキャリア支援イベントと異なる。

 創業以来、早期からのキャリア支援を重視していると言う通り、1、2年生が参加できる交流会も少なくない。テーマは「自己分析のサポート」や「より有意義な学生生活を送る方法」など、就活前の学生が興味を持てる内容だ。同社の考えに共感する企業が増え、学生の意識も変わってきたのか、1、2年生が参加できる交流会は増える傾向にあり、今年度の参加者数は昨年度の約6倍に増加した。

 ただし、「知るカフェ」は就活イベントスペースではなく、あくまでカフェだという。

「いつも利用しているカフェだからこそ、就活生はもちろん、1、2年生でも構えることなく気軽にイベントに参加できます。今後もカフェ空間としての質を高めることを大切にして、より多くの学生に企業と接する機会を提供していきたいと考えています」(生雲氏)

 今やAIが求職者と企業のマッチングや面接まで行う時代だが、仕事や企業との出合いは、理論や数値では語れない感覚的な部分も大きいはず。人と人とが直接つながる「知るカフェ」のようなサービスが、今後、就活のかたちにどう影響していくかが注目される。

(藤崎雅子/5時から作家塾(R))


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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