人脈情報をビジネスに活かせる名刺管理サービス「Sansan」のレビュー第3回目は、人物管理機能やダイレクトメールの送信、見込み案件の管理などを紹介する。名刺の情報が蓄積することにより、想像を超える価値を生み出す源泉となってくれるのだ。
名刺の名寄せをしていれば昇進や転職といった経歴もわかる
名刺を交換・登録しても、いつかは昇進・異動したり、転職するもの。同社が手掛ける個人向け名刺管理サービス「Eight」であれば、自動的に名刺データが更新されるのだが、ユーザー企業サイドで名刺を管理するSansanの場合は「名寄せ」が必要になる。名寄せとは、同一人物の名刺が登録されたときに情報を紐づけることだ。
基本的には、名刺の氏名に加え、住所や会社名、メールアドレスなどが一致していれば「自動名寄せ」機能によりまとめられる。すると、その人物の詳細画面で名刺をまとめて表示できるようになり、昇進や異動、転職といったキャリアがまるわかりになるのだ。時系列は名刺交換日が基準となるので、名刺をスキャンする際に交換日を登録するのはとても重要になる。
名刺をデータ化してしばらくたてば自動名寄せが行なわれるが、名寄せが行なわれなかった場合、手動で名寄せする必要がある。「ホーム」画面の「同一人物候補」をクリックし、対象を絞り込む。2枚の名刺が左右に表示されるので、まとめるなら「同一人物です」をクリック、別人なら「別人です」をクリックする。
人物の詳細で、名刺交換日と役職情報、交換した自社の担当者名、名刺の画像が一覧表示できる。行なっていることは複雑なことではないのだが、この画面の価値は相当なものだ。たとえば、相手が以前いた部署や会社がわかれば、スムーズなコミュニケーションが可能になる。現在の部署とは関係なくても、過去の職歴に関するビジネスであれば話を聞いてもらえるかもしれない。現在は経営企画室にいる人でも、以前は人事部にいたことがわかれば、人事部向けのサービスを営業するキーパーソンを紹介してもらうこともできる。以前、その人と名刺を交換した社内の人間にヒアリングして、営業の突破口を教えてもらえるかもしれない。昇進のスピードがすごければ手厚くケアするというのもありだろう。
この効果は、名刺が溜まれば溜まるほど、利用するユーザーが多ければ多いほど大きくなる。何年もかけて数万枚の名刺が蓄積した時、社内の誰もがスマートなアプローチができるようになり、円滑なコミュニケーションで結果につなげられる世界が見えてくるかもしれない。
担当者それぞれを発信元としてメールを一括送信できる
名刺のメールアドレスにメールを一括送信することも可能だ。名刺を交換した全員に年末年始の挨拶をしたり、メディア関係者にプレスリリースを送付したり、取引先に新商品の紹介をしたりできる。とはいえ、一般的な同報配信メールだとなかなか開封してもらえないし、邪魔に感じられると配信停止依頼が来てしまう。そこで役立つのが「One to One」という送信方法だ。
Sansanのメール一括配信機能では、固定のメールアドレス、もしくはユーザーのアドレスから送信対象に一斉にメールを送るほか、名刺の所有者のメールアドレスから送ることができるのだ。この「One to One」送信を利用すれば、自分の担当者から個人メールが来たように見えるので、開封率が向上する。もちろん、開封率が上がれば問い合わせの数も増え、案件につながる可能性も高まる。
さらに、営業担当がアプローチ済みの相手を、別の担当者がフォローするといった効果も期待できる。たとえば、多数のクライアントにアプローチしている営業担当者はすべての取引先をリアルタイムでフォローすることはできない。しかし、その時点では少し距離があるクライアントが話を聞きたいな、と思っていることもよくあること。そんな時、「One to One」で何らかのメールが届けば、コミュニケーション復活のきっかけになるのだ。
この機能も、名刺が溜まるほどに効果が期待できる。もちろん、送るメールの内容や頻度にも多数のノウハウが必要だが、その送信インフラを自由に使えるというのはやはり便利なところだ。
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