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本棚が入口? ボートが宿? オランダの仰天ホテル

2018年01月13日 15時00分更新

文● ドリル北村/ASCII編集部

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仰天ホテルを数多く扱う理由は
旅先で大きな体験ができるように

 ホテルだけでなく、ゲストアハウスやホステルなど、あらゆる宿泊施設と提携しているブッキング・ドットコム。どのように多くの宿泊施設と提携し、顧客の要望に応えているのか、チーフ マーケティング オフィサーのパパイン・ライヴァース氏に話を聞いてみた。

チーフ マーケティング オフィサーのパパイン・ライヴァース氏

―――ボートハウスなどの一風変わった宿泊施設を数多く扱うのはなぜですか?

 ブッキング・ドットコムでは、インセンティブとインスピレーションを顧客に与えなければなりません。旅でどのような経験を積んだのかが、個人のステータスになっているからです。船上はもちろん、木の上やダウンタウンの屋根の上のホテルなどを提供するのはそのためです。

 ある宿泊施設では、生きた魚をレンタルできる一風変わったサービスがあります。部屋に飾るなどして利用するのでしょうか? それともインスタ映えする写真を撮るためでしょうか? どのように生きた魚を使うのかはわかりませんが、このようなサービスは、直接足を運んで提携先を探したブッキング・ドットコムならではです。

―――最近は旅行会社以外の大手サイトでも宿泊予約サービスが始まっていますが、これら競合サイトをどうお考えですか?

【ライヴァース】 AmazonやGoogle、Facebookといったメディアカンパニーは、宿泊施設に実際に足を運んで提携先を開拓していません。ブッキング・ドットコムでは4000~50000人のスタッフが宿泊施設と直接交渉して、サービスを提供しています。したがって競合サイトは脅威に感じていません。我々の競合相手は顧客の要望です。いかに迅速に要望を満足させられるがカギとなります。

 ブッキング・ドットコムでは「いつでも、どこでも」を目指しています。深夜になってからの当日宿泊予約が1~2%ありますが、これらの要望にも迅速に対応します。また、予約したホテルにベッドを追加したいといった要望にも即座に返事をします。つまり、見ている対象が顧客であって競合他社ではないのです。

―――旅行について調べていると、御社のバナー広告をよく目にします。これら広告活動について教えてください。

【ライヴァース】 テレビで大衆に宣伝してもあまり効果がありません。目的を持っている人に宣伝していくことが大事です。オンラインは、検索した人がどのようなことに関心を持っているかを知ることができます。どこへ、なぜそこへ、どんな目的で旅にいくのかを分析し、それらに興味がある人がどこのウェブサイトを見ているのかを調べ、そのメディアに対して広告を打つようにしています。

記事のキーワード検索を調べて、その先のサイトに広告を入れることが、顧客獲得率アップにつながる

―――テレビで宣伝しても効果がないということですが、テレビでCMしてますよね。矛盾してません?

【ライヴァース】 どのような人がCMの視聴者なのかを調査するためです。違う時間、長さでCMを流し、どれに効果があるのかを調べています。顧客獲得というより効果的な宣伝の方法を探るためです。

 ある起業家の言葉に「私のマーケット予算は半分が無駄遣いだというのはわかっている。どれが無駄遣いなのかわからない」というのがあります。実際そのとおりだと思います。テレビCMではどの広告が無駄だったのかを調べているのです。

―――ありがとうございました。

ネットを駆使した最先端企業でも
提携先探しはアナログだった

 どこに行ったかではなくそこでなにを体験したか、が重要というのは4つの宿泊施設を巡ってよく理解できた。顧客によって、求めている旅の質も違う。滞在先で宿泊者同士のコミュニケーションを楽しむ人もいれば、自分だけの特別な空間で1日を過ごしたい人もいる。あらゆる顧客の要望に応えるには、それこそタイプの違う多くの宿泊施設と提携を結ぶ必要がある。

 ブッキング・ドットコムでは、約5000人ものスタッフが全世界の宿泊施設を直接足で探し交渉している。ウェブサイトすらない小さな宿泊施設がリストに載っているのはそのためだ。

 また、その膨大な提携先リストのなかから、顧客に合った宿泊施設を提案するには、マーケティング戦略も重要だということがわかった。的確な広告を出すために検索ワードを活用し、旅行に興味がある人に的を絞って訴求することで顧客獲得率を上げている。

広告は背景の画像も親和性を意識して作られている

 実店舗をもたずインターネット上でサービスを提供するOTA(オンライン・トラベル・エージェント)ならば、これは当然 のマーケティングではあるのだが、あまりにも膨大な宿泊施設を抱えるブッキング・ドットコムにおいては、ことさら効果的だ。ネットを駆使した企業でありながら、宿泊施設との提携はスタッフが直接足を運ぶというアナログなところが、おもしろくもある。

 前述の通り、アムステルだけでもこれほど変わった宿泊施設があるのだから、世界中のおもしろホテルをブッキング・ドットコムで探してみると楽しい時間が過ごせそうだ。

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