このページの本文へ

「東レよ、お前もか」財界総理出身企業も落ちたデータ改ざんの闇

2017年11月29日 06時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷
日本を代表する超優良企業として、ダメージ・コントロールの“巧みさ”を見せつけた会見だった。左端は、現在の東レの顔である日覺昭廣社長 Photo by Hitoshi Iketomi

 ほんの一瞬だった。

 11月28日、子会社における製品検査データの改ざんに関する緊急記者会見に臨んだ東レの日覺昭廣社長のマイクを持つ右手の動きがぶれ、左右の目をしばたたかせた。

 記者団から「いつ、日本経団連の榊原定征会長に具体的な報告をしたのか」と問われた時だった。榊原会長は、東レの社長・会長・最高顧問を歴任した“かつての顔”であり、2014年からは財界総理である経団連の会長を務めている(現在は東レの相談役でもある)。

「昨日(27日)です」

 常日頃から、歯に衣着せぬストレートな発言で知られる日覺社長が、さもばつが悪そうに答えたのには理由がある。

 実は、前日の27日の日本経団連の記者会見で、神戸製鋼所や三菱マテリアルなどで不祥事が相次いでいることについて問われた榊原会長は、「日本の製造業全体の信頼が揺らぎかねない」という趣旨の強い懸念を示したばかりだったのだ。榊原会長は、記者会見の終了後に初めて東レの幹部から具体的な内容を聞かされたのだという。

 だが、データ改ざんは榊原氏の社長在任中に始まっており、全く無関係とは言い切れない。

「文春砲」が公表を後押し

 今回の不祥事では、タイヤの補強材などを製造している子会社の東レハイブリッドコード(愛知県)で08年4月から16年7月までの約8年間にわたり、計149件の不正行為が行われていた。その内容は、最終的に顧客に渡す「納入製品の検査成績書」に記載する元データの数値を都合よく書き換えていたというもので、国内外の13社に出荷していたという。

 発覚したきっかけは、11月3日にインターネット上の掲示板に「東レの子会社でデータの書き換えがあったようだ」という趣旨の書き込みがなされたことだった。

 しかしながら、この子会社では、16年7月の段階で不正を把握しておきながら、1年以上問題を公表しなかった。この点について、東レの日覺社長は「噂のような形で広まってしまう前に、正確な情報を把握してから世間に公表すべきだと考えた」という釈明した。

 さらに日覺社長は、世間を騒がせている神戸製鋼所や三菱マテリアルのデータ改ざんの問題がなければ、「公表することは考えなかった」との認識を明かしたが、これには首を傾げざるを得ない。

 それが本音だったのだとすれば、やはり、一連の不祥事のどさくさに紛れて公表を決めたのではないかという疑念は拭えない。

 公表を急がなければならない別の事情もあった。近々発売される「週刊文春」誌上で、大々的にスキャンダルとして取り上げられているのである。発売前に自ら世間に公表して火種をもみ消そうとの魂胆が見え見えだ。

「東レよ、お前もか」。財界総理を輩出した超優良企業ですら落ちた不正の闇は、いったいどこまで広がっているのか。今後、産業界を巻き込んだ大騒動に発展する可能性がある。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 池冨 仁)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

カテゴリートップへ

最新記事
最新記事

アスキー・ビジネスセレクション

ASCII.jp ビジネスヘッドライン

ピックアップ