どんな市販薬が対象なの?
セルフメディケーション税制、はて、どんな市販薬が対象なのか? 気になりますよね。じつは、コレが結構なボリューム! 2017年11月16日現在で、その数なんと1600品目以上! エスエス製薬の「エスタックイブ」や興和の「ウナコーワ エースL」、第一三共ヘルスケアの「ガスター10」など、お馴染みの市販薬がメジロ押しなんで、しかも同じシリーズでもグレードによって対象かどうかが変わってきます。これは、その市販薬に指定成分が入っているかどうかによるんですね。
「あまりに数が多く、対象商品なのか否か分かりにくいということで、すべてではありませんが対象商品には共通識別マークが付くようになりました」(宮原先生)
薬局やドラッグストアで、このマークを見かけたことがある人も多いのでは? 今後はもっと増えていくはず。大手通販サイトのAmazonでは、すでに「セルフメディケーション税制対象商品」というカテゴリーがガッツリ設けられていたりします。
所得控除の額はどれぐらい?
さて、最後に最も気になる所得控除の金額についてです。セルフメディケーション税制を利用すると、税金はどれぐらい軽くなるのか? 従来の医療費控除は、10万円(総所得金額等が200万円未満の人は、総所得金額等の5%の金額)を超えた金額が所得控除の対象になりました。
「2017年1月1日以降に、対象となる市販薬を年間1万2000円を超えて購入した場合、1万2000円を超えた金額(上限金額8万8000円)について、所得控除を受けることができます」(宮原先生)
年間1万2000円を超えた金額が対象……。薬代、そんなに使うかなぁ? と思ったみなさん、まだ続きがあります。購入金額には「生計を一にする配偶者その他の親族の分」も含まれるんです。
「たとえば、ある人が一年間で対象となる市販薬を2万2000円分購入したとします。控除の対象となるのは1万2000円を超えた部分なので1万円。その人の課税所得が195万円以下なら所得税率は5%。住民税は一律10%なので合わせて15%。つまり1万円の15%で1500円が戻ってくる計算です」(宮原先生)
決して大きな金額じゃありませんが、戻ってくるべきお金をむざむざスルーしてしまうこともありません。とりあえず、市販薬を買ったら領収書は捨てない方がよさそうです。
「もうひとつ注意点があります。セルフメディケーション税制は従来の医療費控除の特例、つまり医療費控除の一部なんですね。それゆえ医療費控除制度とセルフメディケーション税制を同時には使うことができません。どちらを選ぶかはご本人が決めることになります」(宮原先生)
何ごとも馴れないうちはゴタついてしまうのが世の常。セルフメディケーション税制も始めは少しばかり混乱するかもしれません。でも、せっかく設けられた新制度です。しっかり利用すればお金の節約にもなりますし、これをきっかけに自分の健康に気を付けるようになればQOL(クオリティ・オブ・ライフ)も上がるというもの。ひとつも損はありません!

