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Salesforceからはじめ、Google Cloud、AWSまでフル活用

大阪の町工場をクラウド化してる大創の衛藤さんに根掘り葉掘り聞いた

2017年11月27日 08時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp 写真●曽根田元

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大阪大東市にある大創は、段ボール箱の「抜型」を製作する創業45年のものづくり企業。そんなバリバリの町工場を2代目社長と二人三脚でクラウド化している衛藤奈々さんに、大創が手がけている抜型の事業やクラウドを手がけるようになった経緯、Salesforceを中心にしたクラウド活用、協力している鈴木商店について聞いた。

職人技の光る町工場の裏側ではクラウドがフル活用されていた

段ボール成形に必要な精密な抜型はこうやって作られる

 大創が本社と工場を構える大東市は北の門真市、南の東大阪市とともに大阪のものづくりを支える製造業の工場が数多く林立する地域。額に汗がにじむ8月、カメラマンとともに本社屋にたどり着いた筆者は、出迎えてくれた衛藤さんとともに本社前の真向かいにある工場の見学からスタートした。

 大創が作っているのは、お菓子の箱や家電を梱包する段ボール箱や紙器などを作るためのパッケージの抜型だ。ベニヤ板に刃を組み付けた抜型は、顧客側で工場の打ち抜き機に取り付けられ、段ボール箱や紙器の生産に利用されることになる。

段ボールを成形すべく、ベニヤ板に刃を取り付けた抜型

 抜型は顧客のニーズにあわせてオーダーメイドで製作される。まずはCADで設計を行ない、そのデータに基づきレーザーカッターでベニヤ板をカットしつつ、刃を挿入する溝を彫り込んでいく。あとは基本的に手作業で、熟練の職人さんが溝に沿って刃を取り付けていく。

データに基づいて、ベニヤ板を焼き切るレーザーカッター

 単純に抜型の刃と言っても、打ち抜く紙を切り抜くための刃と折れ線を付けるための罫の2種類がある。このうち刃は、打ち抜き工程で紙に食い込まないよう、抜型にスポンジでメイキングを行ない、掃き出しやすくなっている。罫については、パッケージにきちんと折り目ができるよう調整されている。Rや穴抜きなどもあるため、ミリ単位での調整が必要になる繊細な作業だ。こうして精密に組み上げられた抜型は、厳正な最終チェックを経て、顧客に納品される。

切り抜き刃の両面にはスポンジが付けられ、段ボールに刃が食い込まないようになっている

 大創では同じような工場を大阪のほか、佐賀、東京、神奈川にも持つほか、代理店を介した海外展開も積極的に進めている。こうした製造業を支えるシステムとして、社長といっしょにクラウド導入を進めているのが今回取材した衛藤氏だ。以下は、インタビュー形式でクラウド導入に関わるまでの経緯とSalesforce(セールスフォース・ドットコム)などのクラウド活用について聞いてみることにする。

トップ主導のSalesforce導入 課題はコミュニケーションロス

大谷:普段見られない抜型の工場見学、楽しかったです。ベニヤをレーザーカッターで焼き切る時に出る焦げた匂いや職人さんたちの作業がすごく印象的でした。確かに最近のPCや家電製品って、商品を梱包するパッケージすごく凝ってるじゃないですか。その後ろに、こういう抜型があるかと思うと、なんだか萌えますね。

衛藤:そう言ってもらってなによりです。最近は海外で現地生産して日本に輸入するという製品も多いのですが、現地の会社だとこういう抜型製作までは難しいということで、日系企業に採用してもらうことも多いです。海外企業も最近はパッケージにこだわるので、現地企業の採用も少しずつですが、増えていますね。香港や中国から始まり、インドネシアやベトナムに進んで、昨年はドイツの業界最大規模の展示会にも初出展しました。北米や南米のほか、先日はパキスタンのお客様も来ましたね。

大創 本部 経営推進室 課長 衛藤 奈々氏

大谷:とはいえ、こういう町工場でクラウドを使っているイメージがちょっと沸きずらかったのも事実です。CADの設計でPCも使っていたようでしたが、工場は端末も見当たらなかったし。まずは衛藤さんのプロフィール的なところから教えてください。

衛藤:はい。もともと高校卒業した後に渡米して、ボストンの音大で打楽器のプロになるつもりだったのですが、東海岸で住むにはとにかくお金がかかるので、泣く泣く帰国してきたんです。その後、大阪の電器メーカーで派遣として働いていたのですが、英語が話せたこともあり、2010年7月に地元の大創に採用してもらいました。だから今は近所からチャリ通勤ですね。入社した当時は、海外部で営業と貿易実務などを担当していました。

大谷:じゃあ、基本的にはITからはやや遠いポジションだったんですね。

衛藤:とはいえ、アメリカの大学では一人一台PCが与えられ、ポータルサイトから課題の提出とかやってました。Facebookのアカウント作ったのもそのときですからね。そういう教育を受けてきたので、普通にパソコンは触れるし、日本に帰ってきてからAccessの資格も取ったりしてました。

大谷:なるほど。衛藤さんが入ったときには、大創のITへの取り組みはどんな感じだったんでしょうか?

衛藤:2010年には、社長(当時の副社長)の先導でSalesforceを導入しました。ここからは聞いた話になるのですが、以前は古式ゆかしきWeb掲示板とメーリングリストで情報共有していました。しかし、とある営業のパソコンでメールが受信できなくなったため、社長が状況確認に行くと、週報として流されていた情報がほとんど未読だったそうです。良かれと思って流していた情報が、まったく活用されていない。この事実にショックを受けたそうで、クラウド導入のきっかけとなったそうです。

大谷:コミュニケーションの質を上げるのが目的だったんですね。

衛藤:気がつけば、社内でもベテランから若手へのノウハウの継承も進んでおらず、拠点ごとの情報共有もできていませんでした。こうしたトップの課題感から、情報共有を推進するためのITツールの選定がスタートし、リリースされたばかりのセールスフォース・ドットコムの社内向けSNS「Chatter」を導入することになったんです。社長としては、『メールは通知、Chatterは共有』というマーク・ベニオフCEOのコメントがすごく響いたようです。

大谷:社長もお若いようですが、先進的なITには興味あったんですね。

衛藤:そうですね。社長のお父さまにあたる現会長も先見の明があったので、携帯電話やパソコン、インターネットの導入もかなり早かったようです。私が見た限り、その遺伝子は確実に今の社長にも継承されていて、クラウドもいち早く試そうという話になりました。もちろん、社内には昭和世代のベテランも多いので、社長も彼らのところに直接足を運んで、協力をお願いしたようです。

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