すごいけど、まったく売れなかったVoodoo 5
── 自作の話に戻りましょう。はい、思い出のエピソード!
まっちゃん はじめて自作で組んだ時に、補助の4pinを差さずに困った挙句、顧客を装って自分のショップに電話かけたことがあります。声でばれて、「まっちゃんさん?」「はい……」って。いろいろ話した後に、差さってないですよねと。解決して、次の日にめっちゃいじられました。入って確か2ヵ月目ぐらい。最初の給料で。
フジヤン なんの知識もなくてよくパーツショップの店員になったね?
まっちゃん 知識を身に着けたいと思って。
すーさん 自分の本音は「安く自作パーツが手に入るかもな」ってこと。社販とかあるのかな~なんて妄想しながら。
まっちゃん それを考えなかったかというと嘘。でも自分ひとりで学んでいくよりはいいかなと。パソコンって面白いなっていうのは、入ってから感じました。
すーさん 僕個人の話をすると、いろいろなパソコンパーツに初期に触れたのは大きいなと思いますね。買ったことのないパーツとかきて、触れた。
── 一番印象深いのは?
すーさん やっぱり#9ですよね。あとはVoodoo 5。当時Voodoo 4はお店に置いてたんですけど、Voodoo 5はさすがに売れないだろうって。しかしある日入荷してきた……興奮しました。
まっちゃん Voodoo 5?
すーさん 3dfxね。
── 3dfxはVoodooという、SLIの走りみたいなビデオカードを出していたんですよ。
クマさん そしてそこから、複数のカード使うぐらいなら、1枚のカードに複数チップを載せてしまえというコンセプトが生まれた。
すーさん 本来なら2枚差すところを、1枚のカードでデュアルGPUにしたら早くなるんじゃないのっていうやや強引なコンセプトでした。もともと何枚か差せたんだけど、差せるんだったら、カードにどんどん載せちゃえばいいんじゃないのっていう考え方ですね。そして、ファンが4つ付いてるのが高級機種。これを目の当たりした時には感動しました。でか~って感じですよね。
── 接続はAGPだけど、長いケースじゃないと入らない。各社パッケージの箱も凝ってましたよね。
まっちゃん これなんか、いまでもいけそうなデザインじゃん。
すーさん Voodooは、Glide使ったらすごく速い。いまは絶滅したけど。会社に入ってよかった~と思いました。めっちゃくちゃ高くて買えないカードですしね。これがドスパラということで、地方のショップでも見られる。検品中に見つけたときの感動と言ったらね。
まっちゃん 価格は10万円にいかないぐらい。いまのハイエンドGPUと変わらないですね。
── ちなみに、売れたんですか?
すーさん これはね、まったく売れませんでした。
一同 ぐはははは(大爆笑)
すーさん 最後すごく安くなって、消えていった。もったいないと思いました。
まっちゃん なんで売れないものをすごいと思うんだよ!(笑)
すーさん 速かったんだよ。
フジヤン 当時はインターネットの情報だって限られているからさ、アキバならともかく、商圏に人がいないと、わざわざ買いに来る人なんていないんだよ。
すーさん 店頭に展示したのを、みんなで見ながら、「すごいね~っ」て盛り上がって「売れたの?」「いやまだ」みたいな会話をたくさんしました。
── 当時でも抜きんでた、バカバカしさでしたからね。