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日産とVWがEVでレースに参戦、電動車覇権争いの火蓋が切られた

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

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日産が世界初公開した100%電気自動車のクロスオーバーコンセプトカー、ニッサン IMx

今年で第45回を迎えた日本最大の自動車見本市、東京モーターショーの一般公開が28日から東京・有明の東京ビッグサイトで始まった(11月5日まで)。週刊ダイヤモンドは2017年10月21日号の特集「パナソニック・トヨタが挑むEV覇権」で、電気自動車(EV)シフトが加速する業界の現状をお伝えした。東京モーターショーの出展車両から読み取れるEV新時代の各社の戦略を、全3回のレポートを通じてお届けする。(「週刊ダイヤモンド」編集部 重石岳史)

 「電気自動車の持つ、とてつもないパワーと性能をご披露することになる」――。

 日産自動車のダニエレ・スキラッチ副社長がモーターショーでそう高らかにサプライズ宣言したのが、フォーミュラE選手権への参戦だ。

 フォーミュラEとは、2014年に始まったEVのみの一般公道レースである。当初はモータースポーツ界の傍流とみられていたが、今年、アウディ、BMW、メルセデス、ポルシェといったドイツ勢が続々と参戦を決め、その存在感は急速に高まりつつある。

 そして日産は日系メーカーとして初めて、来年からの参戦を表明した。世界初の量産EV「リーフ」の新型を先月発売し、カルロス・ゴーン会長の言う“EVのリーダー”であり続けるためには、レースに勝って「とてつもないパワーと性能」を世界に証明しなければならない。フォーミュラEへの参戦は、いわば日産が世界のEVレースの“ポールポジション”を守り、トップを走り続けるという意思表示なのだ。

 東京モーターショーでも、そうした日産の野心がありありと感じ取れる。最大の目玉は、世界初公開のコンセプトカー「ニッサン IMx」だ。

 パワートレインは高出力モーター2基を前後に搭載したツインモーター4WDを採用し、最高出力は320kw、最大トルクは700Nm。エネルギー密度を高めた大容量バッテリーで、一充電あたりの走行距離は600km以上を可能とした。

 ニッサン IMxはこれらEVとしてのスペックの強化に加え、ドライバーが運転に一切介在しない完全自動運転を実現する。

日産は「未来のクルマ」を体現

 「プロパイロットドライブモード」を選択すると、ハンドルが自動的に格納され、シートは深くリクライニングし、自動運転が始まる。「マニュアルドライブモード」に戻すと、ドライバーの前にステアリングが現れてシートは適切なドライビングポジションに変化し、運転を楽しむことができるのだ。

 EVと自動運転を組み合わせた、まさに日産が描く未来のモビリティの姿と言えるが、スキラッチ副社長は「決して遠い将来のことではなく、極めて近い将来、実現する。今後数年以内にお届けしていく」と断言する。ニッサン IMxは、世界のEVレースを“ぶっちぎる”ための一手なのだ。

 日産の傘下入りした三菱自動車も、アライアンスのEV覇権の一翼を担う。

 コンセプトカー「MITSUBISHI e-EVOLUTION CONCEPT」は、三菱自が強みを持つスポーツタイプ多目的車(SUV)を進化させたEVだ。人工知能(AI)技術を搭載し、ドライバーの運転技量を問わずに安全で快適な運転を可能とする。

 三菱自は「EVが常識になる未来」(益子修CEO)に備え、これまでの強みを生かしたEVを開発し、他社との差別化を図る。日産、ルノー、三菱自のアライアンスは2022年までに12車種のEVを発売する計画だ。

VWは世界最高峰のレースにEVで参戦

VW「e-Golf」の一充電あたりの走行距離は301キロ。規模小売価格(税込)は499万円(購入時の補助金は約30万円)だ

 一方、フォーミュラEではなく、標高4000メートル級の山を一気に駆け上がることから「雲に向かうレース」とも称されるイクスピーク国際ヒルクライムレースにEVで参戦するのが、独フォルクスワーゲン(VW)だ。

 VWは来年6月、米国コロラド州で開催されるレースに約30年ぶりに参戦し、EVの新記録を目指す。その狙いはもちろん、日産と同様にEVの技術を世界に誇示することに他ならない。

『週刊ダイヤモンド』10月21日号は「パナソニック・トヨタが挑むEV覇権」を特集

 2025年までに23車種のEVを発売する方針のVWも「eモビリティ(電動化車両)のマーケットリーダーになる」ことを表明しており、EV新時代における日産との激しい覇権争いは火蓋を切られようとしている。

 そのVWは東京モーターショーに合わせ、世界的に人気の高いゴルフシリーズのEVモデルの「e-Golf」と、プラグインハイブリッド(PHV)モデルの「Golf GTE」の発売を開始した。EVの日本市場投入は初の試みで、先行する日産リーフの追撃体制を整える。

 今回の東京モーターショーではこれら乗用車メーカーに加え、スズキやダイハツ工業、いすゞなど軽自動車や商用車メーカーもEVのコンセプトカーを展示。業界全体を巻き込んだEVの世界レースが今、まさにスタートしようとしている。


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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