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金融庁が銀行にまたも「警告」、カードローンに続く標的とは

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

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右肩上がりで伸びている、銀行による医療・介護分野向け融資。高齢社会の日本において需要増が見込まれそうな分野だが、金融庁は安易な融資を戒める Photo:JIJI

「次の金融庁のターゲットは医療・介護分野向け融資だという。こうなると、いったいどこにカネを貸せというのか」。ある大手地方銀行の関係者は自嘲気味にそう語った。

 今、銀行は新たな稼ぎ頭を探してさまよっている。日本銀行の金融緩和策によって超低金利の環境が続き、銀行の収益源である預金と貸出金の金利差が急激に縮小。中核事業である企業向け融資の収益性がジリ貧に陥っているからだ。

 そんな中、銀行にとって収益穴埋め策の一つである医療・介護分野向け融資に対して、銀行の監督官庁である金融庁が警鐘を鳴らしたというのだ。

 金融庁が銀行の新たな稼ぎ頭の開拓に対して横やりを入れるのは、この数年間で一度や二度ではない。最初の標的は、銀行が窓口で販売する生命保険や投資信託などの金融商品だった。次に目を向けたのがアパート・マンション向けローン。投資信託や外国債券などの有価証券の運用にも懸念を示し、最近はカードローンもやり玉に挙がっていた。そこに医療・介護分野向け融資も加わるというのだから、前出の大手地銀関係者が途方に暮れるのも無理はない。

銀行の目利き姿勢にくぎ

 しかし、金融庁も見境なくアラートを発しているわけではない。今まで金融庁が問題意識を持ってきたものは大きく二つある。

 一つは、顧客の利益や意向をないがしろにした銀行本位な姿勢が垣間見える事業。前述の金融商品の販売やアパマン・カードローンが当てはまる。もう一つは、有価証券の運用のように、不測の事態が起きたときにコントロールできないほど過度なリスクを抱える銀行が増えてしまった事業。今回の案件もこちらに分類されるようだ。

 複数の地銀関係者によれば、金融庁は地銀との会合において、医療・介護分野向け融資について、業界全体の融資が毎年5%前後増加しているという近年の傾向に触れたという。その上で、医療分野については病床数が過剰となる地域が多くなるという推計を引き合いに出した。介護分野についても業界内の倒産件数が増加中であると指摘。高齢社会の日本では需要が増えるとみられる2分野だが、各事業の将来性を適切に評価するように警告したという。

 ただし、今まで金融庁の“もぐらたたき”に遭ってきた銀行の収益穴埋め策と、今回の案件ではレベル感が違うようだ。「金融業界全体の動向を調査している部署から医療・介護分野に関するレポートが上がってきたので、一応アラートを出した」(金融庁関係者)という程度の問題意識だからだ。

 とはいえ、「われわれが指摘したことは、銀行の皆さんも当然考慮して目利きしていますよね、という念押しでもある」(同)という。今回の一件でひやりとした銀行は、襟を正す必要があるだろう。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 鈴木崇久)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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