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「ながらスマホ」に問題なし、と軽く考えていいのか?

2017年10月15日 06時00分更新

文● 吉永麻桔(ダイヤモンド・オンライン

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2017年6月の調査によると、ついにスマホ所有率が78%になったようだ。もはや老若男女だれもがスマホを使う時代となったが、それに伴い「ながらスマホ」を街で見かけることも当たり前の風景となってきた。「ながらスマホは危険」と一所懸命警鐘を鳴らしても、一向に減る気配がない。ひょっとしたら、「ながらスマホ」で人生を棒に振るかもしれないリスクを紹介する。(取材・文/フリーライター 吉永麻桔)

「歩きスマホ」で衝突事故なら
賠償責任は免れない?

 東京消防庁によると、「ながらスマホ」で事故を起こし、緊急搬送された人の数が、2016年は過去5年間で最多になったという。世代別に見ると40代が一番多く、20代、30代と続く。40代が一番多いとは少し意外だったが、地図アプリを見ながらの歩きスマホなど、身に覚えのあるビジネスマンも多いのではないだろうか。

 歩行者同士の事故で一番多いのは、衝突だ。過去に25歳の女性と91歳の女性がぶつかり、91歳の女性が大けがをしたことにより、損害賠償を求め裁判になった事例がある。最終的に25歳女性は賠償責任を免れたが、このケースの女性はスマホを操作していたわけではなかった。もしこの女性が「歩きスマホ」をしていたら、事情は全く違っていただろうと分析する弁護士もいる。「歩きスマホ」をしている時点で「歩行者としての注意を払っていない」と判断され、過失ありで責任を負う可能性が極めて高いのだそうだ。

 ちなみに、この25歳の女性が賠償責任を免れていなかったら、780万円の支払いが命じられていたそうだ。

自転車の「ながらスマホ」で
多額の賠償金という例も

 自転車をこぎながらスマホを見ている人もよく見かける。そもそも片手運転をしている時点で道路交通法違反になるのだが、この状態で万が一衝突事故を起こしたらどうなるだろうか。

 これも実際に裁判になった事例がある。夜間に携帯電話を操作しながら、しかも無灯火で自転車に乗っていた人が、歩行者と衝突して怪我を負わせてしまった。100%自転車側に過失があるとして、命じられた賠償金額はなんと570万円。無灯火、ながら運転のダブル過失とはいえ、金額の大きさに驚いてしまう。

ポケモンGOで事故を起こし
一生を棒に振った運転手も

 今はだいぶ落ち着いたが、スマホゲーム「ポケモンGO」のブームが最高潮だったとき、車の運転をしながらポケモンGOをやっているドライバーの問題が大きく取り上げられた。残念ながら死亡事故も起きており、横断歩道を歩いていた小学4年生をはねて死亡させてしまったトラック運転手は、禁固3年の実刑判決を受けている。

 驚くことに加害者であるトラック運転手は、公判で「ながらスマホが危険だとは思わなかった」と述べたという。これは「自分なら大丈夫」という根拠のない自信としかいえないが、相変わらずスマホを見ながら運転をしている人をよく見かける。実際に事故を起こし取り返しのつかない目にあわない限り、「ながらスマホ運転」を改めることはないということなのだろう。

それでもなぜ人は
「ながらスマホ」をするのか

 このように、多額の賠償金、禁固刑など、人生を左右する出来事が自分の身に起こってしまうかもしれないのに、「ながらスマホ」をする人たちが減る気配はない。

 ではなぜそれほどまでして、人は「ながらスマホ」を止められないのか。ある調べによると、「ながらスマホ」で圧倒的に多いのはLINEやSNS、メールだという。すぐに返信しないと相手に申し訳ないという理由が大半のようだ。また地図アプリなどを見ながら歩いている人も多い。「そもそも歩いているときに見なければ、地図アプリの意味がない」と筆者の友人が言っていたこともあった。

 ところで最近電車に乗っていて気になるのは、シニア世代がスマホに夢中になっている姿である。眉間にしわを寄せて一体何を真剣に見ているのだろうとのぞくと、だいたいスマホゲームなのだ。必死の形相で画面をタッチし続けるご婦人も結構多い。なかなか滑稽な風景なのだが、そういう人たちは駅に着くと、必ずといっていいほどスマホを眺めながら歩いて行く。若者だけではなく、シニア世代にも「ながらスマホ」が浸透しつつあるようだ。

 スマホに支配され、「ながらスマホ」をやめない多くの人たちが、重大な事故が起こってからでは遅いということに気づけないのであれば、そろそろ本気で取り締まる法律が必要になってくるかもしれない。


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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