このページの本文へ

日本初!?「ハコモノ」建設計画が原因で町長リコールか

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷
風光明媚な静岡県河津町で前代未聞のリコール話が持ち上がっている

 おそらく日本初だろう。箱物建設計画を原因とした自治体の首長失職の公算が大きくなっている。

「こんな箱物を造るなんて、税金の無駄遣い」という話は、多くの地方自治体で耳にする。しかし、それが原因での自治体の首長解職(リコール)となると、ほとんど例がない。10月8日に河津桜で有名な静岡県河津町で、相馬宏行町長を解職するか否かを問う住民投票が実施される。

 解職請求の原因は、子育て支援、文化活動、生涯学習の機能を併せ持った複合施設の建設計画である。同施設は津波の際の避難施設としての役割も果たす。建設費は現在16億7600万円。ちなみに、同町の2017年度予算の歳入規模は38億4000万円だから、約44%に当たる。

 建設費のうち補助金は3400万円。残りは地方債など借り入れによる7億8100万円とこれまで積み立てた基金約6億円を含む一般財源である。補助金以外は町の負担だ。予算規模から見て過大といってもおかしくない。

 同町議会においても、当初から賛否が割れていた。16年3月に建設計画の実施設計予算が可決されたのだが、賛成5票対反対5票で議長裁決による可決だった。

 同年10月に反対票を投じた議員が加わった「複合施設を考える会」が、過大な建設費などを問題として建設延期署名を募った。集まった署名は有権者数約6400人の半分弱に当たる3168人分。

 しかし、相馬町長は予定通り計画を実施することを表明する。それを受けて、今度は4月13日から解職請求の署名を集める活動が始まった。解職請求成立には有権者数の3分の1以上の署名が必要だが、集まった署名数は3分の1を大きく超える2955人分だった。

9月に着工延期を表明

 河津町の財政状態は悪くはない。財源の豊かさを表す財政力指数の水準こそ低いが、財政の健全性を表す経常収支比率、地方債の利払い・償還負担の度合いを示す実質公債費比率、借り入れなど将来の付けの負担度合いの尺度である将来負担比率などは問題のない水準だ。

 だからといって、過大な投資をしていいわけではない。問題は建設する施設の費用対効果を含めた有用性だ。予定の300人前後収容のホールでは使い勝手が悪いのは事実だろう。子育て支援施設、文化施設などについてももっと費用を抑える方策を練るべきだろう。相馬町長は9月6日、着工の1年延期を表明したが、もっと早く表明していれば解職請求成立には至らなかったのではないか。

 解職請求の署名をした有権者が賛成票を投じるとすれば、9月1日時点で6461人である有権者の9割超が投票し、署名をしなかった有権者の大多数が反対票を投じない限り、解職が成立する。その意味で町長が失職する公算は小さくない。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 竹田孝洋)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

カテゴリートップへ

最新記事
最新記事

アスキー・ビジネスセレクション

ASCII.jp ビジネスヘッドライン

ピックアップ