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柏崎刈羽原発、再稼働「合格」が一転見送りでどうなる東電?

2017年09月19日 06時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

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田中俊一委員長は任期中に結論を出すことを目指していたが、一転して柏崎刈羽原発の「合格」判断を見送った Photo by Ryo Horiuchi

 変わりやすいのは、秋の空だけではないらしい。9月13日、原子力規制委員会(規制委)は東京電力ホールディングスの柏崎刈羽原子力発電所6、7号機の再稼働の前提となる審査で、事実上の合格証に当たる「審査書案」を取りまとめる予定を、一転して見送った。

 東電にとって、柏崎刈羽原発は収益改善の大きな柱だ。1基が稼働すると年間最大で900億円ものコスト削減につながる。今年5月に策定した再建計画「新々総合特別事業計画」でも、福島第1原発の廃炉や事故の賠償などの関連コストを捻出するための最大のドライバーに位置付けられていた。

 だからこそ、東電は、原発事故を招いた事業者として世間の厳しい目にさらされようとも、再稼働を目指して突き進んできた。規制委から合格の“お墨付き”を得ることが東電の悲願だったのだ。

 ところが、13日に東電経営陣に届けられたのは、「判断見送り」の一報だった。ある東電幹部は、「取締役会が開かれた前日の12日時点でも、合格を疑わなかった」と打ち明ける。東電は、規制委の態度の豹変に戸惑うばかりだった。

「空白の1日」に何があったか。

 かねて、規制委の田中俊一委員長は「(再稼働について)節目を付ける必要がある」と明言。自身の任期が切れる18日までに結論を出す意向をにじませていた。だが、「任期ありきで結論を急ぐ拙速な姿勢に世間の批判が集中した」(ある関係者)。世論の反発を恐れた規制委が見送りに傾いたとする見方は根強い。

 そもそも、規制委がカメレオンのように態度をコロコロ変えるのは、今に始まったことではない。

 今年7月、規制委が東電の新経営陣を呼び、原発事業者としての姿勢を問いただした際には、東電の回答に対して「口先にしか聞こえない」と突き放した。かと思えば、今月6日の規制委で、「(東電の)覚悟を感じた」(更田豊志・規制委委員長代理)と持ち上げた。

月内にもゴーサインか

 では、柏崎刈羽原発の行方はどうなるのか。

 実は、規制委は月内にもゴーサインを出す公算が大きい。今後、規制委は小早川智明・東電社長が8月に示した「廃炉の覚悟」に法的拘束力を持たせるため、保安規定に廃炉を確実に進める“意思表明”を盛り込むよう求める。再稼働のステップが「法的な枠組み」の下で進んでいることを世間に印象づけることで“拙速”との批判をかわす狙いがありそうだ。

 もっとも、規制委の「合格」は再稼働への最初のステップにすぎない。再稼働には安全協定を結ぶ新潟県、柏崎市、刈羽村の3自治体の承認が必要になるからだ。脱原発弁護団全国連絡会共同代表の河合弘之弁護士は「司法の力で止める」と言い切る。東電が原発事業者としての“資格”を取り戻す道のりは遠い。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 堀内 亮)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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