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「日常食になる非常食」に商機、贅沢スイーツからお袋の味まで

2017年09月07日 06時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

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国分グループ本社が発売した「K&K非常用缶詰・食事セット」

 トマトの玄米リゾット、かぼちゃの煮物、ごぼうとジャガイモの和風ポタージュ、ラム酒やブランデーを使った本格的なプリン。

 どこかのレストランのメニューのようだが、実はこれ、食品大手の国分グループ本社が8月21日に発売した非常食なのである。(写真)。

 9月1日の防災の日から二日後、北朝鮮が水爆実験を発表した。東日本大震災や昨年の熊本地震のような自然災害のみならず、「有事」への不安は高まる一方だ。さらに今年は東日本大震災から6年目とあって、非常食の賞味期限(通常は1~5年程度)切れによる買い替え需要も期待され、食品メーカーはさまざまな新製品を投入している。

 冒頭の国分グループ本社の製品は、中身が本格的なだけでなく、缶詰ウォーマーも含まれており、これらの食事を温かく食べることができる。

「東日本大震災の被災者の方々にヒアリングしたところ、被災地に届く食べ物の多くは肉や魚、パンやカップラーメンであり、被災者のニーズに十分対応できておらず、温かい食べ物、野菜、卵、乳製品などが食べられなかったとの声が数多くあった」(柴田樹・国分グループ本社マーケティング統括部主任MD)という。

 一方、スイーツに力を入れているのがトーヨーフーズ。

 15年2月に「どこでもスイーツ缶」としてチーズケーキ、ガトーショコラ、抹茶チーズケーキの3種類を発売したところ話題となり、すでに販売個数は約20万缶を超えている。消費者から「備蓄しておくのではなく、日常でも食べたい」との声が複数寄せられたことを受け、今年4月から食べ切りサイズのミニタイプを発売。また同時期に「どこでもスイーツ缶シリーズ」の第2弾としてカップケーキも発売。さらにババロアも現在開発中で、さらなるラインナップの強化を図る。

食品ロスを減らす
ローリングストックが契機に

 最近の非常食はグルメ化のみならず「日常食化」しつつある。

 背景にあるのは、ローリングストックと呼ばれる備蓄方法だ。非常食は、保存している間に賞味期限が過ぎてしまい、結局、使われぬまま廃棄されることが多く、その食品ロスの量は膨大だ。しかし、備蓄した非常食を日常的に利用して減った分を補充するローリングストックなら、ロスを減らすことができる。

 杉田エースが展開する「IZAMESHI(イザメシ)」シリーズは、14年の発売以降、毎年の売上高は前年比200%以上という成長を続けている人気商品だ。おでん、肉じゃが、ぶり大根など約40種類を展開。今年3月に発売した「マフィン(あずき、オレンジ、チーズの3種)」や「ヨーグルトが隠し味のスパイシーチキンカレー」も好評だ。

「食べない備蓄食から食べる長期保存食へ」がコンセプトなだけに、商品パッケージに非常食っぽさはなく、味も本格的。そのため、「災害時の非常食だけではなく、忙しい朝や病気時の食事、海外旅行、アウトドアなどの際などの日常生活でもおいしく食べてもらえる」(杉田エース)という。

 また、亀田製菓の子会社で、アルファ米の非常食や宇宙食などで知られる尾西食品は、今年6月15日に水やお湯を入れるだけで握らずにできる「おにぎり」を発売。「5年間保存できることから自治体や企業が非常食として購入するケースが多い一方、コンビニおにぎり1個分と軽量で携帯にも便利なことから、アウトドアや旅行などの持参品としての用途の購入客も少なくない」(尾西食品)という。

 非常食の消費者ニーズが多様化する中、今後も各社が創意工夫を凝らした新製品の投入が続きそうだ。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 松本裕樹)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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