「Japan Partner Conference 2017 Tokyo」基調講演レポート
地銀のネットバンキングからエンタメ業界まで、Azure事例を多数公開
2017年09月04日 08時00分更新
Azureを基盤としたインターネットバンキングを構築
3つ目の注力分野、インダストリーイノベーションでは、Azureを核として、金融、流通・サービス、製造、政府・自治体、教育、ヘルスケアの業種に特化したソリューションを提供していくとした。
まず、金融でのパートナー事例として、マイクロソフトのCSP(クラウドソリューションプロバイダー)パートナーであるFIXERが手掛けた北國銀行のクラウドバンキングが紹介された。両社は、Azureを基盤としたインターネットバンキングサービス「北國クラウドバンキング」の開発を開始したことを6月に発表している。
北國クラウドバンキングは、Azureと北國銀行の勘定系システムを連携し、キャッシュレス、ペーパーレス、印鑑レスの「3レス」で勘定系処理を来店不要で完了させることを目指すサービスだ。従来銀行業務の非対面比率を拡大し、その分、高付加価値の対面業務を増やしていくとする。
ウェアラブルIoTの基盤にAzure採用
次に、ヘルスケアの事例として、ミツフジのウェアラブルIoTブランド「hamon」が紹介された。hamonは、着衣型生体センサーで心拍数などの生体データを取得するIoTソリューション。これまでは、センサーから取得したデータをBluetoothによりスマートフォン経由でクラウドに取集していたが、2018年初頭に、直接クラウドにデータを送信できる専用Wi-Fiトランスミッターをリリースする予定だ。
この専用Wi-Fiトランスミッターの開発にあたり、生体データを扱う機器の特定・認証、および生体データの取得・管理の安全性を強化するために、ミツフジは、ソフトバンク・テクノロジー、サイバートラスト、ミラクル・リナックスが提供する「セキュアIoTプラットフォーム」とAzureを採用した。これにより、認証された端末のみからクラウドへ生体データを送信する仕組みが実現できる。
ライブの盛り上がりをCognitive Servicesの感情認識AIで数値化
エンタメ業界でのAzure事例も紹介された。エイベックス・グループ・ホールディングスは、音楽ライブのイベント会場にMicrosoft Cognitive Servicesの感情認識AIを導入。会場内に設置したカメラで来場者の顔を検知し、ライブの盛り上がりや、演奏されている楽曲と来場者の感情の関係性を分析、数値化する実証実験を開始した。
実証実験の第1弾として、7月に、エイベックス所属のアーティスト「lol -エルオーエル-」のライブツアーにCognitive Servicesのシステムを導入した。エイベックスと日本マイクロソフトは、今後さらなる実証実験を重ね、データやノウハウを蓄積していく予定だ。エイベックスは、同システムを実用化したのち、ライブイベントの効果測定ソリューションとして外販していくことも検討しているという。
AzureとChainerでNHKの白黒映像を自動カラー化
5月にグローバルでマイクロソフトと提携したディープラーニング開発企業Preferred Networks(PFN)の西川徹代表取締役も登壇。Azureを基盤とするPFNのディープラーニングフレームワーク「Chainer」が、「白黒映像の自動カラー化AI」(NHKアート、Ridge-iが共同開発)に採用され、それがNHKの白黒映像をカラー化することに活用されている事例を紹介した。
金融、HRテックで業種コミュニティを発足
これらの業種特化ソリューションの事例紹介に続き、平野社長は、国内で業種別コミュニティ「Industry “x-Biz” Community」を展開していくことを発表した。金融業のコンソーシアム、HRテックのコンソーシアムを2017年秋に設立する計画だ。
また、新しいパートナー支援プログラム「Partner Success for Japan」を開始することもアナウンスした。パートナー向けに、AIなど最新の技術情報、テクニカルトレーニング、マーケティング支援などを提供するプログラムのようで、詳細は近日中に発表される予定だ。