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格安スマホ隆盛の裏に“大手もうけ過ぎ”の構図あり

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『週刊ダイヤモンド』2015年5月16日号の特集は「格安スマホ 最強理由」。その中から、格安スマホが登場する背景ともいえる、大手通信会社のもうけ過ぎの構図を明らかにした部分を紹介します。

 有為転変は世の習いというが、企業の業績は事業環境に左右されるのが常で、長きにわたって高収益を上げ続けるのは実に難しい。

 下の表は、2005年度以降の国内上場企業(金融を除く)の営業利益ランキングの推移である。

 例えば、日本経済を引っ張る“稼ぎ頭”として誰もが認めるトヨタ自動車も、苦しい時期を経験した。08年9月のリーマンショックやその後の歴史的な円高によって、08年度は71年ぶりに赤字を計上。さらに10年には世界規模でのリコールに見舞われ、11年には東日本大震災とタイの大洪水などの影響も被った。さしものトヨタも、この間はベスト10から姿を消している。

 ところが05年度以降、一度もベスト10から落ちたことがない企業がある。NTTドコモだ。日本電信電話(NTT)も同様にランキング常連だが、同社はドコモを連結対象としており、およそ3分の2はドコモの利益で占められる。

 同じ通信でも、固定電話と携帯電話ではもうかり方が違う。全国津々浦々に通信網を敷き、一般家庭まで一本一本電話線を引かなければならない固定電話に比べ、携帯電話の場合は最後の接続は無線で済む。その効率の良さは素人目にも想像に難くない。

 実際、保有する資産がどのくらい効率よく利益を生んでいるか、NTT東日本とドコモの総資産利益率(ROA)を比べてみると、一目瞭然だ。NTT東日本が1%台なのに対し、ドコモは12%前後で推移している。

 株主からすれば頼もしい限りの稼ぎっぷりだが、利用者の感覚でいうと「もうけ過ぎじゃないか」という声も聞こえてきそうだ。

 06年10月、この年に携帯電話事業に参入したばかりのソフトバンクの孫正義社長が、中間決算の会見でドコモとKDDIの営業利益を引き合いに出し、「日本の携帯電話会社はもうけ過ぎ」と批判したことがあった。だが、そのソフトバンクも今やドコモを上回る営業利益を上げるに至っている。

 試しに携帯電話3社(ドコモ、KDDI、ソフトバンク)の営業利益合計と、自動車3社(トヨタ、日産自動車、ホンダ)のそれとを比較してみると、この9年間で4年は携帯3社の方が上回っている。

 厳しい国際競争の下で、為替の変動や関税などの問題とも戦いながら、技術開発や生産性向上に取り組む自動車産業に比べ、国内利用者から月々安定的に通信料を徴収できる携帯電話業界は、楽をしているとみられても仕方ない。


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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