AMDの「Ryzen」シリーズとVR対応グラフィックスを搭載し、手頃な価格で高性能を実現した「New Inspironゲーミングデスクトップ」。そのゲーミングパソコンとしての実力はいかほどのものだろうか? また、本当にVRゲームが遊べるほどの性能を持っているのだろうか? ベンチマークソフトを実行して、気になるパフォーマンスをチェックしてみた。
New Inspironゲーミングデスクトップは、構成の違いにより「スタンダード」「プレミアム」「プラチナ」「スプレマシー」の4つのモデルが用意されている。いずれもCPUはRyzenシリーズだが、グラフィックスは「AMD Radeon RX500」シリーズと「NVIDIA GeForce GTX 10」シリーズの2系統が用意されている。今回試したのは、そのうちスタンダードモデルで、もっともベーシックな構成のものになる。
スペックは、CPUがAMD Ryzen 5 1400(4C/8T, 10MB キャッシュ, 3.4GHz Precision ブースト)、GPUがAMD Radeon RX570(4GB GDDR5)、メモリーが8GB(DDR4 2400MHz)、ストレージが1TB HDD(7,200回転)となっている。この構成で、どれくらいのパフォーマンスなるのか、ベンチマークソフトで性能をチェックしてみた。
まず、Windows 10のシステム評価ツール「WinSAT.exe」では、次のような結果になった。
WinSAT.exeの結果 | |
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プロセッサ | 8.3 |
メモリ | 8.3 |
グラフィックス | 8.5 |
ディスク | 5.9 |
グラフィックスが8.5と高いスコアになっているのが目を引くが、プロセッサのスコアもなかなか良い。ディスクはSSDを搭載したマシンに比べると低いが、HDDを搭載したパソコンとしてはマックスの値になる。CrystalDiskMarkで確認したところ、シーケンシャルリードが210MB/s程度で、HDDとしては高速な方だった。
続いてパソコンの総合的なパフォーマンスを見るPCMarkを試したところ、PCMark 8 Home Acceleratedが「4050」、PCMARK 10が「4186」という結果になった。ストレージの性能も影響するのでSSDを搭載するパソコンに比べると不利だが、それでも4000を超えており、一般的なデスクトップパソコンやノートパソコンに比べると高めのスコアだ。
「CINEBENCH R15」を試したところ、CPUのマルチスレッドが691cbとなった。Ryzen 5は4コア8スレッドなので、マルチスレッドのスコアは4コア4スレッドのCore i5より有利で、実際、同クラスのCore i5-7400より30%ほど高いスコアが出ている。
次にグラフィックスの性能を見るため3DMARKを試してみたところ、次の結果になった。
3DMarkスコア | |
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Time Spy | 3249 |
Fire Strike | 8502 |
Sky Diver | 20956 |
Cloud Gate | 23379 |
Ice Storm Extreme | 112846 |
Ice Storm | 121849 |
ゲーミングパソコン向けの「Fire Strike」が8502、DirectX 12を使う「Sky Diver」でも3249となった。エントリー向けのRadeon RX560に比べると倍近いスコアで、本機が搭載するRadeon RX570の性能の高さがうかがえる。
ゲーム系のベンチマークもいくつか試してみた。まず、「ドラゴンクエストX ベンチマークソフト」は次のようになった。
ドラゴンクエストX ベンチマークソフト スコア | |||
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グラフィック設定 | 解像度 | スコア | 評価 |
低品質 | 1920×1080 | 17066 | すごく快適 |
標準品質 | 1920×1080 | 16624 | すごく快適 |
最高品質 | 1920×1080 | 16373 | すごく快適 |
同様に「ファイナルファンタジーXIV: A Realm Reborn ベンチマーク キャラクター編」と「FINAL FANTASY XIV:蒼天のイシュガルド(DirectX 11)」、「ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮の解放者」も試してみた。
ファイナルファンタジーXIV: A Realm Reborn ベンチマーク キャラクター編 | |||
---|---|---|---|
1920×1080 | 標準品質(デスクトップPC) | 17663 | 非常に快適 |
1920×1080 | 高品質(デスクトップPC) | 12518 | 非常に快適 |
1920×1080 | 最高品質 | 11951 | 非常に快適 |
ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマーク(DirectX 11) | |||
---|---|---|---|
1920×1080 | 標準品質(デスクトップPC) | 17663 | 非常に快適 |
1920×1080 | 高品質(デスクトップPC) | 12518 | 非常に快適 |
1920×1080 | 最高品質 | 11951 | 非常に快適 |
ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮の解放者 ベンチマーク | |||
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解像度 | 品質 | スコア | 評価 |
1920×1080 | 標準品質(デスクトップPC) | 11022 | 非常に快適 |
1920×1080 | 高品質(デスクトップPC) | 8875 | 非常に快適 |
1920×1080 | 最高品質 | 8137 | 非常に快適 |
スコアを見てわかるように、DirectX 11対応の「ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮の解放者 ベンチマーク」のフルHD最高品質でも「非常に快適」に遊べるという結果になった。
標準的なVR体験ができるかどうか、「VRMark Orange Room」を実行してみたところ「5711」という結果だった。VRMark Orange Roomでは、5000スコアがVR Readyの目安になるので、それはクリアしていることになる。ただし、ハイレベルなVR体験を楽しむにはもう少し性能に余裕がほしいところ。その場合はGPUにRadeon RX580やNVIDIA GeForce GTX 1060を搭載した上位モデルを選んだ方がよさそうだ。
10万円を切る価格が魅力的なゲーミングPC
ここまで見てきたように、デルのNew InspironゲーミングデスクトップはRyzenシリーズとVR対応グラフィックスを搭載し、ゲーミングパソコンとしては比較的リーズナブルな価格で高性能を実現した製品だ。今回試したスタンダードモデルなら10万7978円という価格で購入できる。ちなみに、執筆時点では15%オフクーポンも使用可能で、適用すると9万1781円と10万円を切る価格になる。
個人的には、Ryzen 7 1700X(8C/16T, 20MB キャッシュ, 3.8 GHz Precision ブースト)とNVIDIA GeRorce GTX 1060(6GB GDDR5)を搭載した最上位の「スプレマシー」モデルも魅力的に感じた。こちらも17万2778円(15%オフクーポン適用で14万6861円)と、ゲーミングパソコンとしては比較的値頃。もっとも、New Inspironゲーミングデスクトップは拡張性が高くアップグレードしやすい設計になっているので、必要に応じてグラフィックスやストレージなどを換装していける。そのため、予算に合わせて現時点で必要な性能のモデルを選んでも後悔はしないだろう。その意味でも、パソコンでゲームを楽しみたいけれど、導入価格はできるだけ抑えたいという人には特にオススメできる製品だ。
試用機の主なスペック | |
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製品名 | New Inspironゲーミングデスクトップ(スタンダード) |
CPU | AMD Ryzen 5 1400 (4C/8T, 10MB キャッシュ, 3.4 GHz Precision ブースト) |
グラフィックス | AMD Radeon RX 570(4GB GDDR5) |
メモリー | 8GB |
ストレージ | 1TB HDD |
光学ドライブ | Tray Loading デュアル Layer DVD Burner |
ディスプレー | なし |
インターフェイス | USB 3.1(Type-C)端子、USB 3.0端子×6、USB 2.0端子×4、有線LAN端子(10/100/1000BASE-T)、ヘッドセット/マイクコンボジャック、オーディオライン入力/出力×5、メディアカードリーダー、HDMI端子、DisplayPort×3 |
OS | Windows 10 Home(64bit) |