「LINEMAN」で注文すると10秒以内に電話が……
タイ語が話せないとやや厳しい
LINEの日本にはないデリバリーサービス「LINEMAN」で、タイ飯をデリバリーすることにした。
LINEと紐づけられた「LINEMAN」というアプリを別に起動し、「UberEats」に登録してあるであろうレストラン一覧からレストランを選択。さらにメニューから食事を選択する。
LINEで確認のメッセージが出てOKを押すと、周辺のドライバーが依頼を受け、すぐに電話をしてオーダーを確認してきた。確認ボタンを押してから10秒とかからず担当ドライバーが電話してきたのだから、驚きの対応の素早さだ。
困ったことに、タイではLINEMANにしてもGrabにしてもUberにしても、ドライバーが電話で確認するのが習慣化しているので、タイ人男性と会話できるタイ語能力がないとこうしたサービスは1人で利用できないのだ。
ちなみに、中国でも配車サービスは普及しているが、電話をかけるときは利用者が待っている場所をドライバーが把握できないときくらいで、基本的には電話でのやりとりはしない。
なお、タイ人に聞くと、ネットでオーダー→電話で詳細確認に慣れていることから、ネットのフォームでは対応できないような依頼にも対応する“柔軟さ”があり、デリバリーに見えて「何でも屋」と化すという。
たとえば実際にあったという例では、1人の利用者がご飯を2人分頼んで、LINEMANのドライバーと一緒に食事して寂しさを紛らわすとか、iPhone発売日に自分の代わりにLINEMANでドライバーを並ばせる、といったことができたとか。
ドライバーはサービスごとに制服を着替える!?
さて、やや遠方の店であったこともあり、30分程度かけて緑色の服を着たドライバーが運んできた。
協力していただいた方とともに4人分のカオマンガイを購入し、値段は220バーツ(約660円)、運び賃は25バーツ(約75円)だった。
ドライバーに話を聞くと、普段はメッセンジャーとして働いているが、同種のサービスにいくつもドライバー登録をしているとのこと。
つまり、LINEMANの専属ではなく、どれかのアプリで依頼が来たら素早く仕事受注対応をし、バイクの中にしまってある各社の制服を着てミッションをこなすのだという。
なお100バーツの売上のうち、17.5バーツをLINEに支払うのだそうだ。
タイの実情を無視して市場を開拓する中国企業
もともとのバイクベースの習慣とLINE人気の組み合わせで利用者を増やすLINEMAN。そうした流れをまったく無視するように中国企業がパワーでタイ市場を開拓しているように見える。
中国において街頭広告の物量で認知度とシェアを高めたスマートフォンメーカーの「OPPO」と「vivo」が、バンコクでも嫌でもわかるほどの露出で両社それぞれの認知度を高めている。
中国ネット企業のビッグ2の一角「騰訊(Tencent)」が音楽サービス「JOOX」やライブチャット「VOOV」をリリースし、また地場有力ポータルの「SANOOK」を買収。
また、騰訊の人気スマホ向けタイトル「王者栄耀」をシンガポールの「Garena Online」がタイで運営している。
ゆるゆると変化をしているタイIT事情を、ごり押しで変えようとしているのが黒船、中国かもしれない。
少なくともバンコクで中国ITの企業名やサービス名を結構目にすることがあった。来年はタイのITサービスはどうなるのだろうか。
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