1万円台後半は音質以外一長一短
1万円台後半になると、音質の点ではどれも水準以上で、フェージングのような問題も感知できなかった。AirPodsの音が気に入らないというなら、どれも期待に応えてくれそうだ。
ただ、それ以外の性能は、それぞれ一長一短ある。音の性格もそれぞれ違っているから、そこはちょっと迷いそうだ。
音が分厚い ERATO「MUSE 5」
まず、低域に深さを持たせつつ、うまく全体のバランスをとっているERATO「MUSE 5」の、分厚い再生音は魅力的。Bluetoothの接続も安定していて、ドロップも少ない。
イヤフォン本体は大柄で、イヤーチップなどを装着した実測値で8.9gと結構重いが、フィット感は上々。ただし動画の音声遅延は大きく、動画の鑑賞には向かないとこが惜しい。
音ズレ少ない dashbon「sonabuds TWS-H3」
動画の音声遅延で言えば、dashbon「sonabuds TWS-H3」がもっとも優秀。音楽ビデオでも気にならないほど音声のズレは少なく、この点で合格点を出せるのはAirPodsとこれだけだった。
6mm径のドライバーユニットながら、きれいに補正されたBOSEライクな帯域バランスに特徴があり、特にサブウーファーでも付いているような、ディープな低域がいい。AMPS AIRの音は好きだけど、遅延が気になるというならちょっと奮発してdashbonを選ぶという手もある。
エア感たっぷり fFLAT5「Aria One」「Aria Two」
動画の音声遅延は、fFLAT5「Aria One」も、dashbonの次に優秀。映画はもちろん、音楽ビデオでも「ちょっとズレてるかな?」程度には収まっている。しかも、この製品の特徴は、出音の良さにある。
古河電工が開発した素材MCPETを振動板に使った独自のドライバーユニットを使い、解像度の高さからくる音場感の再現性、独特のエアー感はほかの製品にはない魅力だ。
弱点はイヤフォン本体の大きさ。ほかの機種に比べるとフィット感がいいとは言えない。そこが気にならなければコストパフォーマンスの高い製品で、この価格ではベストバイではないかと思う。
fFLAT5には最新上位機種の「Aria Two」もあるが、若干低域に重みを置いたチューニングで、その点を除けば価格ほどの差は感じられなかった。デザインが気に入った方を選んでもいいのではないか。
次回は2万円オーバーのトゥルーワイヤレスイヤフォンをまとめる。
著者紹介――四本 淑三(よつもと としみ)
1963年生れ。フリーライター。武蔵野美術大学デザイン情報学科特別講師。新しい音楽は新しい技術が連れてくるという信条のもと、テクノロジーと音楽の関係をフォロー。趣味は自転車とウクレレとエスプレッソ
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